【逃げ上手の若君】第十二回『がんばれ時行、鎌倉奪還のその日まで』――主君に恥じない武将として【ネタバレ感想】
前回は普通の戦いというよりも、説得という側面が大きい話でしたが、今回はその逃げ戦の本番です。
大勢を率いる将として、自分だけが逃げるのではなく、一軍を逃がせるようになれという頼重の言葉に従い、血気盛んな将軍たちを説得して撤退戦をすることになった時行たち。
ただ、兵士の家族である女子供を先にいかせようとしたり、と守ろうとしているのはこの殺伐とした世界においても最低限の倫理観はあるのかなぁと思わせてくれますね。
とはいえ、追いつかれたらどんな目に合うかわかりません……若君は一体どんな逃げを見せてくれるのか!
気になる最終回、今日も元気良くやっていきましょう。
前回のあらすじ
平穏な景色……からの。
麦の収穫時期。麦に関しては税をかけないという諏訪での決まり事を、新国司はしないがしろにし、民も見せしめに殺していた。
それに耐えかねた諏訪神党の保科が兵を挙げたが、諏訪からは援軍は出せない。頼重としても保科に死んでほしくないため、時行達逃若党に保科を説得して逃がしてほしいと頼んだ。
しかし時行たちが見た保科たちは完全に頭に血が上っており、ろくに話を聞いてくれそうにない。
少し頭を冷やさせるために戦わせることに……ただ、相手は倍以上の戦力。日が暮れるまで全滅しないように、時行たちは全力でサポートすることにした。
時行は自分の郎党たちが命を張っているのに自ら死ぬ考えを崩さない保科に怒り、「あなたの死に様に興味はない」と良い、結果が勃発するが新必殺技? で説得に成功した。
逃げることになったが、相手は追いかけてくるようで……?
前話より
さぁ、逃げ戦の始まりだ。
今回のポイント
弧次郎が格好いい回。
- 鬼気迫る騎馬戦
- 戦の要
- 大人と子供
そしてはじめに戻る。
未来というものは確定ではない
今回は速攻でOPから始まります……このOPも最後かと思うと感慨深いですねぇ。
頼重のシリアスな口調。彼は未来が見えるとは言え、その未来は確定ではなく、「生きられるからいいか」と手を抜けば当然、死ぬこともある。そんなあやふやなもの。
なるほど。確率が高い未来が見えるのか……いや、未来のアドバイスを受けていない時の未来が見えるって感じか?
どうなんでしょう?
そういう細かいところはわかりませんが、絶対に死なないから若君を出したというわけではないみたいですね。
そもそも絶対があるのならば……北条の滅亡自体を防げたかもしれませんしね。
一人閉じこもり祈りを捧げる頼重。こういう姿は本当にイケメン。
必ず生きのびられるかは分からない。けれどこの戦いが若君のためになる、と信じているのです。
そして場面は戦場へ。
戦の要
相変わらず動きが良いですね。ぬっるぬるしてます。騎馬の動きが良いんですが……良すぎて人によっては酔うかもなぁとは思いました。
米丸という国主直属の武将が追いかけてきます。男は皆殺しで女と子供は山分けだと。捕まった女子供がどうなるかは……まぁ、あえて口にはしませんがわかりますよね。
労動者としては男のほうがいいだろうが、反抗的な力を持っている輩を活かすリスクは高いしなぁ。
そういうところも、人の業といいますか、グロさが本当によく描かれてますね。
敵側の表情も鬼のように変貌していて……こうね。違う意味でグロい、松井先生節がよく描かれてます。
数に劣っているため、なんとか敵を分散させたい。というところで、玄蕃の変装術を使って米丸に化け、部隊のいくつかを分けさせて他の場所から攻め込ませます。
基本的に戦力を分けるというのは愚策に入りますからね。
ただこの策を練られるってことは、しっかりと玄蕃の能力を吹雪が把握しているということで、郎党たちの絆がここから垣間見えてほっこりします。
そして引き付けた敵たちを倒していく保科党。少数ながらかなり精鋭が揃っているようです。四宮という助太刀に来たキャラクターが弓得意なようで、中々に格好いい姿を披露してくれています。
個人的には四宮が割と好きです。……苦労してそうですが、そういうところも含めて良し。
一方の保科も中々強く、敵を薙ぎ払いながら、御使い――若君に「生きると決めた我々も強いだろう」と自慢げに言います。とはいえ、やはり数では負けているため、女子供を先に逃がした後は自分たちも逃げなくてはならないということになります。
話題は弧次郎についてになります。弧次郎には自分の判断で動いてくれるようにと若君は命じていて、彼は貴重な騎馬要員として戦場を駆け回っていました。
時行の弧次郎に対する信頼がよく分かるなぁ。
弧次郎は自分の弱点をしっかりと自覚していました。まだ子どもで体ができていない自分では、大人とまともにやりあえない。そのため、ピンチになっている味方の救援をしては離脱、というのをしていました。
機動力を駆使しての良い作戦ですね
そしてそうやって戦いの全体像を把握。今一番大切にしないといけない場所を理解します。そのためには自分ひとりだけではダメ、ということで助太刀を求めます。
この助けを求める相手たちは保科軍でもキャラが濃いメンツなんですが、その誘う場面では弧次郎のツッコミが冴えるのでぜひともここは本編でご確認を!
ただ、ちゃんと名前を覚えていないのは自分が悪いというのも狐次郎はしっかりと分かっています。今度からはちゃんと飯時にでもちゃんと挨拶に行こうと決めていました。
まるで現代社会と同じようですが、実際、将として彼らを率いる立場になるならば、彼らの顔と名前を覚えているのは大事なことでしょうね。
そんな中、吹雪を見つける弧次郎。事前の話し合いとは違うところにいる彼に駆け寄ると、ぐったりとしていて慌てますが……。
腹減ってただけかい!
いや、吹雪らしいが。
ちょっとア◯パンマンっぽいセリフネタが入ってるみたいですが、まじで吹雪は燃費が悪いですねぇ。頭もいいし、武技も優れているのに。
弧次郎はしっかりするように言います。吹雪の頭脳が逃若党の要だと。
それに対して吹雪は違うと否定し、戦場を献身的にかけずりまわって味方を鼓舞する将こそが要。弧次郎が逃若党の副将だと、吹雪はハッキリと告げ、自身の持ち場へと戻っていくのでした。
要となる副将同士の対決
保科党の人たちが吹き飛びます。狐次郎が見れば、そこには向こうの将、米丸がいました。
無能かと思いきや、しっかりと武力は持っているようですね。
うおおおおっここの罵りあいと、気迫のこもった絵、かっこいいなぁ!
線が濃く、青年マンガっぽいイラストで、声優さんたちの声も迫真でいいですよね!
あえて動かないイラストを持ってくるのがニクイ。
ここで馬の速度とその速度で突進してくる人の威力についてのナレーションの解説が入ります。
ただでさえ体格に差がある弧次郎と米丸がぶつかればどちらが不利か。あまりにも明白ですね。
うおおおおっ弧次郎ーーー!
一度ぶつかっただけで大怪我はさけたものの、ダメージを受けたのは弧次郎のみ。こういうぶつかり合いは米丸のふくよかな体型があまりにも優位。
二度目もなんとか防いだ弧次郎ですが、まともな打ち合いはできません。
保科党の人たちが弧次郎にひくように言いますが、それができないことを狐次郎は理解していました。この場にいる騎馬の武将は弧次郎と米丸のみ。敵側だけ騎馬がいる状態というのは、非常に不利になります。
ただでさえ数で負けているのでそんな状況にするわけにはいきませんね。
米丸はそれがわかっているから、保科党の騎馬ふたりをそっこうで馬から落としたのか!
意外と将軍として優秀みたいですね、米丸。
三度目はついに腕を切られてしまう弧次郎。そんな彼に保科党の面々が声をかけますが、何故かみんな狐次郎の名前を知っていて、狐次郎は不意にそんな事に疑問を持ちます。
答えは単純。
私の郎党で、私の友
昨日からずっと若君が狐次郎の名前を呼んでいて、保科党の面々に自慢そうに告げていたからです。
それを聞いた弧次郎は照れたように顔を少し赤くしますが、同時に気合のこもった目をします。主君に恥じないように力で勝てずともせめて人たちは浴びせないとと、彼はなんと馬の上で立ち上がり、主君である若君のように身軽な身のこなしで米丸の首の横に傷をつけます。
首は急所で、鎧にも隠されていないところ……ですが米丸八名称を避けます。
傷はついたが、かなり浅そうだな。
その傷によって米丸は激昂しますが、まだまだ元気そうです……傷の場所が場所だけに血を止めないといけないでしょうが、満身創痍なのはその傷を与えた狐次郎の方です。
もう力があまり残っていない弧次郎に対し、傷をつけられたということで米丸は彼を痛めつけようとします。
が、それが隙を生み出しました。
逃げの怪物の副将――目覚めのとき
騎馬は動き回ってこそ力を発揮します。逆に言うと、止まっていればただの的。米丸が動きを止めたことで、彼の体を掴んで引きずり落とす者たちがいました。
そう。
保科党のものたちです。
周囲を見れば、米丸を援護する敵軍を全部保科の兵が倒していたようです。
やるじゃねえか、おっさんたち!
だてに無駄に顔やキャラがうるさいだけじゃねえな!
二人がかりで米丸を羽交い締めにして、弧次郎の名を叫びます。これは弧次郎の手柄だと、将の首を譲ってくれます。
これは弧次郎が戦場で駆け回って味方を助けてくれていた、その活躍を認めてくれたからだな。
そして狐次郎は……『みんなと戦うの楽しい』と思いながら刀を振る姿は、逃げの若君の副将として恥じない姿に見えました。
一番の敵は――
一方で国司軍の本陣では、相変わらず麻呂が叫んでます。いつまでかかるのかとか、霧のせいでよく見えないとか。
耳が良い助房は霧の中でも音を聞いて、一進一退の攻防が続いていることに気づきます。ですが、数で有利なため、互角の戦いを続けていたら自分たちのほうが勝てると余裕な様子。しかし女子供には逃げられる、と淡々とつげますが、国司麻呂はそれは駄目だと叫びました。
女を必ず手に入れるのだとギャーギャー喚いています。
なんつーか……絵にかいたような無能でわかりやすい悪役だな。
若君たちの方に感情移入しやすくて助かりますね。
護衛がいなくなる、という助房に対してこれだけ有利だから行けとかなんとか……どう考えても愚策を口にする麻呂。
助房は仕方なく出陣しますが、水音を捉えます。明らかに味方のものではない騎馬が走る音――吹雪が単騎で敵陣へと突入してました。
そして保科党の方では、見事妻子たちは安全圏に逃げることに成功。保科党の皆も撤退準備に入り、若君にも安全圏へと促しますが……若君は残ると言います。逃げろと諭した責任云々と言うその背中に保科は感涙します。
いや。時行の場合はただ逃げるのが楽しいだけだと思うが。
さすが親方。
まさしくその通りで、若君はキラキラと輝いた笑顔で「もったいない」と思っているのでした。
退却の鐘が鳴る中、顔だけは平和そうなあのモブ兵がこれまた……いや、何をしているかはぜひとも見て確認してください。ぐちゃぐちゃしてます。
退却していく保科軍。追いかけようとする国司軍ですが、殿を務めている若君が工法への射撃を行っており、簡単に追いつくことはできません。
そうして足踏みしている間に、吹雪が国司に迫ります。直前で助房が気づいて戻りますが、国司は怖気づいたかと喚くだけ。
単騎で近づいた吹雪は国司を切りつけます……が、殺しはしません。それはわざとで、無能な敵将は生かしておくと役に立つ。
そして吹雪が逃げた先には無数の旗。国司軍の兵はそこにいないはずという報告に国司は怯えます。霧のため、はっきりと見えないので普通はたしかに怖いですね。ついさっき敵が自分に切りつけたという事実も踏まえて。
助房は旗から音がしないから偽装かもと冷静に告げますが、怯えきった麻呂には通じません。米丸を呼び戻せとか云々と叫び、ガクブル震えてます。
仕方なく助房がフォローをしますが、助房はこの無能な国司が自分たちにとって不利になると確信もしてました。
いっそのこと殺してもらっていたほうが助房たちにとっては助かっただろうなぁ。
だからこそ吹雪は殺さなかったわけですね。おそろく、殺すことや大怪我を負わせることは不可能ではなかったでしょうが。
負けたが、勝った
敵が退いていくのを見て、保科軍は喜びに包まれながらも退いていきます。若君も笑顔で退却していくわけですが……しかし一緒に退却できないものたちが道に倒れているのを目にします。
そう。戦は、勝っても負けても犠牲者がでます。
顔を曇らせていた若君のもとに狐次郎が戻ってきます。活躍できたのかと聞く吹雪に答えたのは本人ではなく、一緒に米丸を仕留めた保科党の男たち。
一緒に戦って絆が芽生えたみたいでいいよなぁ。
保科が褒め、証拠の首はと聞きますが、狐次郎は首はあえて取らずにおいてきたようです。学べたこともあるから、と。
それにそもそも、保科は今まさに領地の半分を失った状態なので、狐次郎に報奨を渡すこともできません。
保科はこんなにも清々しい負け戦は初めてだと、領民からの歓迎を受けながらスッキリした顔をしていました。そこに広がる笑顔は、生き延びなければ見ることができなかったもの。
このあとナレーションが保科のその後について説明してくれるのですが、個人的には生き延びた狐次郎と一緒に米丸を倒してくれた保科党の将軍たちがわちゃわちゃしている一枚絵がとてもぐっと来ました。
可愛い子を可愛がるようでいて、共に戦った仲間という感じのいい笑顔をしてます!
仲良く帰宅する若君達。若君達が勝ったことをすぐに知って琥珀たちに伝える頼重。
そんな終わりから、このアニメのはじめ。やたらとリアルに始まった第一話を彷彿とさせるリアルな描写の戦の映像が流れていき……昔の絵巻風に帰宅する若君と頼重たちの再会のシーンが映されます。
感動の再会……って、セリフないのか!
そうです。なんとセリフも何もなくED曲が流れ始めます。
面白い終わり方ですが、続編への期待感ももたらしてくれる感じで、個人的にはとても好きな終わり方でした。
何より、第一話を思い出させてくれる描写は中々にくいですねぇ。
面白かったです。続き……是非見たいのでこれからも応援していきたいと思います。
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まとめ
ということで最終回でしたが、原作の方は続いているから話としては終わり感がないかもしれません。けれど、郎党達の絆、他の者たちとの絆や敵の強大さがわかってワクワクしましたね。
若君も今回の撤退戦で、戦を経験したのでこの経験は大きいでしょうね。
これが今後、どういうことに繋がっていくのか、とても気になります。
若君は今でも色気すごいのに、年齢重ねたらどうなるのかも気になりますしね。
……18禁アニメになるんじゃないか?
ハッ!たしかに!
18禁にならない程度に、若君の魅力を思う存分に描いた続きを待ち望みます。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
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