【ハイキュー!!】第4話『頂の景色』――ずっと見たかった景色がそこには広がっている。【アニメネタバレ感想】
最強の敵だったならば、最強の味方。
中学最後の公式試合にて敗北した最強の敵であった影山とチームメイトになった翔陽。喧嘩ばかりの二人は、しかしチームメイトとしての相性は抜群!?
先輩たちが密かにそんな期待をしているとは知らない二人は、影山のセッターをかけて3対3の試合に挑みます。
体格だけで全ては決まらない、と言いたいところですが、やはり現実として体格はとても重要。相手の新1年生はどちらも高身長。翔陽たちはどう立ち向かうのか。
気になる3対3の試合内容。悪態をつきあってばかりの影山と翔陽の、それぞれの力がガッチした瞬間が見たくなったなら、↓コチラ↓からどうぞ! スカッとします!
そんな二人のやり取りを読み返したくなった方は、原作の1~2巻です。
前回のあらすじ
どれだけ仲良くても、チームメイトではなかった。
部活に交じることが出来ないため、主将に内緒の早朝練習をしていた翔陽たちだったが、影山はレシーブもまともにできない翔陽を勝ちに必要だとは思わない、とトスは上げてくれない。
悔しい翔陽は三年の正セッター菅原に休み時間に手伝ってもらいながらも必死に練習を重ねていた。
外で練習していた二人のもとに他の1年生二人がやってくる。長身の男子生徒月島が影山を挑発するが、絶対勝つと意気込む翔陽たちに対して勝負にやる気はなさそうな素振りを見せる。
試合前日、大分上達した翔陽を認めた影山がついに翔陽へとトスをあげた。
翔陽と影山は月島たちに勝つぞと気合を入れるのだった。
前話より
チームメイトからトスが上がる幸せ。
今回のポイント
影山の『コート上の王様』の本当の意味。
- 勝ちたいがゆえのトスだったのに、そこには誰もいなく
- また翔陽の前に立ちはだかる壁
- ここに――いるぞ!
一人では決して見ることの出来ない、壁の向こうの景色。
コート上の王様……孤独な王様
3対3ということで、向こうの1年二人には主将である澤村が入ることに。え、と不安がる翔陽ですが、澤村は攻撃力なら田中が上だと謙遜します。
そして翔陽たちを煽りに煽る月島。冷静さを欠いてくれればいい、という作戦みたいですね。澤村がいい性格してる、と苦笑します。
が、その挑発に対してめちゃくちゃキレるのが田中。そして田中は怒りをパワーに変えられるタイプのようで、試合開始早々から溢れるパワーで月島のブロックを吹き飛ばして得点にします。
こりゃ田中は煽っちゃ駄目だなぁ。
影山に対しては効いてそうですが、田中に対しては失敗だったでしょうね。
そんな活躍を見て翔陽は「俺も」と思います。最初は翔陽にはトスを上げないと言っていた影山も、翔陽のことを少し認めてくれましたからね。
翔陽にトスがあがり、彼のジャンプ力を初めて見たマネージャーや他の部員が驚きます。……が、ボールは月島のブロックに阻まれました。
その後も翔陽のスパイクは止められ続けます。これはまだ翔陽が普通のスパイクしか打てないというのも影響してますね。クイックと呼ばれる速い攻撃ができず、ブロック側からすると攻撃が読みやすい。
田中だとパワー押しできるかもだが、翔陽は体格からしてもパワーで押すのは難しいよなぁ。
ブロックを避けたいところですが、山なりの滞空時間が長いトスではなかなか難しい。
とはいえクイックが100%正解というわけでもないんですけどね。攻撃が読まれたらブロックにつかまりやすいので。
あと、月島がブロック上手というのが単純にありますね。私はブロック苦手だったのでね。
ブロックってアタッカーと同じタイミングで飛べば良いわけではなく、タイミング重要ですし手の形や飛ぶ位置も大切。後何よりも身長。月島は頭良さそうですし、身長にも恵まれているのでブロックとしては理想ですね。
そして月島はずっと王様のトスについて煽ります。敵も、味方も置き去りにするトス、と。
しかしこういうスポーツ系はスコア管理とかが大変だったりするんですよね。昔ならともかく、今のバレーはポジションがくるくると回りますので、誰が今どこにいるのか。ここにいるからサーブが誰で誰が前衛でスパイクが打てて、ブロックして……結構こんがらがります。
今回はまだ3対3なのでまだマシですが、本格的な試合だとスコアと敵味方の配置はかなり大切なのに、あまり気づかれにくい苦労で大変だったろうなって思ったりします。
と、影山のサーブの順がやって来ます。ジャンプサーブ。かなりの威力でしたよね。影山自身も自信があり、これで何点か稼ぐと思っていたところ、澤村にしっかりとレシーブされてしまいます。
なるほど。
澤村はレシーブが得意な選手か。
田中のような攻撃力はないものの、安定したレシーブしてくれる選手がいるのはチームとして大きいですね。
簡単に抜けると思うな、という澤村に格好いいと言う翔陽。漫画では特に翔陽のセリフないんですが、背後に翔陽の声が入っているのはなんとも彼らしくていいですね。
影山の過去――トスの先に誰もいない恐怖
自慢のサーブも止められた影山に追い打ちをかけるのは月島。やけに突っかかるので翔陽がなんなのかと聞くと、コート上の王様の真意を口にします。
影山が凄いから他校がつけたあだ名……ではなく、チームメイトが呼び出した、と。
ああ、独裁者、か。たしかに言動とか中学のチームメイトとのやり取り見ているとそういう感じするな。
烏野の入部の際に、自分でレシーブもトスもスパイクもできたら、なんて言ってましたしね。
自分が自分が自分が、となりすぎた結果、実力はあるのにベンチに下げられたそうです。
影山の回想シーンに入ります。相手チームのブロックが高く、自チームのスパイクが防がれていました。だからブロックを避けないと、と速さと高さにこだわり始める影山。他のチームメイトがブロックに捕まったスパイカーに声をかけている中、一人で思い悩んでいるのが……本当に一人で戦っている感じですね。
そして次のトスからスパイカーが追いつけないような素早いトスになります。スパイカーが文句を言えば、それでも負けたくない影山は一人で勝つ方法を考えて、俺のとおりに動けと言ってしまうわけですね。
チームメイトに頼ることが出来たら良かったんですが、影山は頼るということが出来なかったんですよね。
この時、完全にチームは崩壊してしまったんでしょう。チームメイトの目線と監督の表情がなんとも言えません。
影山だけが悪いわけではないとは思うんですよね。けど、上手く行かなかった。そしてトスを上げた先には、誰もいなかったんです。コンビミスではなく、もうついていけないという意思表示。
そして監督もそれを悟ったのでしょう。影山は実力はあるのにベンチ入りとなったのでした。
もっと……もっとコートに立っていたい
場面は現在へ。その決勝のせいでビビっているのかと言う月島に、田中が何か言おうとしますが澤村が止めます。影山のトラウマを超える意味でも、今は上級生が関わるべきではないと思ったのでしょう。――本当に学生なのかと言いたくなるくらいに落ち着いてます。
影山は月島の言葉を認めます。トスを上げた先に誰もいないのは怖い、と。
影山……口悪いけど、お前も色々悩んでるんだなぁ。
一瞬場がしんとしますが、翔陽が首を傾げました。中学の頃の話だ、と。自分にはちゃんとトスが上がるから関係ない、と。なにか問題あるのかというくらいに月島に向かっていく姿に澤村も田中も思わず笑います。
影山も翔陽に詰め寄られて「勝つぞ」と言われて少々タジタジ。
影山は致命的なくらいにコミュニケーション能力ないですからね。
で、月島は月島で、そんな翔陽にイラッとしてるな。
こいつが捻くれてしまった過去も知りたいところだぜ。
そのうち出てきますのでお楽しみに!
個人的にめちゃくちゃ刺さった。
月島が気合で身長差は埋まらないと言ってますが、まさしくそれで。影山はトスを上げる先を田中にしようとします。翔陽ではまだ月島に勝てないので。
しかしその時、すばやく駆け抜けた翔陽が影山を呼ぶんです。
「影山! いるぞ!」
中学最後の試合。トスを上げた先には誰もいなかった。けど、今そこに確かにスパイカーがいました。田中に上げようとしていた影山は瞬時に切り替えて翔陽へとトスします。
ジャストミートとはいかず、フェイントのような当たりになってしまいましたが、それでもなんとか当たりました。
影山は「いきなり何を」と言いかけますが翔陽が大声で遮ります。ボールは来た、と。影山の中学のことなんてしらない。自分にとってはどんなトスもありがたいものなんだ、と。どんなトスも飛ぶから自分にもってこい、と。
中学時代の翔陽はまともなプレイ環境にいませんでしたからね。
セッターの役目
アイキャッチがここで入りまして……可愛い翔陽と怒る澤村、可愛い菅原が出てきますのでぜひ確認してほしいです。このアイキャッチは当然アニメオリジナルですからね。
そして菅原は同じくセッターとして、影山の実力をまじまじと感じ取っていました。何せ影山は最初田中に上げようとしていたのです。なのに翔陽の声に応じてすぐに切り替えたにも関わらず正確なトスをあげたわけですからね。
前方にトスを上げるのも難しいのに、後ろ、それも当初と違うところにとなるとどれだけ難しいかということですよ。
二人の攻撃を見た田中が「クイック使えるのか」と問いかけます。クイックとはざっくり言うと素早い攻撃のことです。
さっきの翔陽のスパイクとか、中学の時のセッターがミスったトスを打った時のとかなんですが、翔陽は必死過ぎてどうやって打ったか覚えていないみたいです。それでもなんとか打つと主張する翔陽に、さすがの影山も「合わせたことないのに速攻(クイック)は無理」と言います。
名門校とかプロの試合では当たり前のように行われてますけど、ほんと難しいですからね。
月島が向き不向きについて言います。小柄な翔陽はスパイカーには向いていない、と。翔陽はその言葉を否定しません。否定せず、それでもあの姿に憧れてなりたいと思ってしまったから、自分はこの体で戦う、と。
そして少しでも長く、コートに立つんだ、と。
コートに立っていたい……その言葉に影山はハッとします。ベンチに下げられた後もずっと影山はその気持でいましたからね。
凹んでいた影山の目がまっすぐに翔陽を見ます。スパイカーの前の壁を切り開くのがセッターだ、と。
そして翔陽に速攻の説明をするわけですが「運動神経で打て」とはこれまた無茶苦茶です。田中がツッコミいれてますが、とにかくやってみることにした影山と翔陽。
が、まぁ……そう簡単に上手くいくわけはありません。翔陽も「こんなに早いの?」と唖然としてます。何度も失敗し続けます。
失敗続きでまた言い争う影山と翔陽ですが、そこに菅原が声をかけます。そのままでは中学のままだ、と。翔陽のすばしっこさという利点を影山が奪っている、と。
とはいえ、菅原もうまく言葉には出来ませんが、技術はないけど素材はピカ一の翔陽をもっと上手く使えるんじゃないかと。
菅原はセッターです。だからこそ余計に影山の技術力を高く買っていました。複雑な心境もあるでしょうけど、腐るのではなく正面から影山の実力を認めてます。そんな影山ならば翔陽をもっと上手く活かせるはずだ、と。
これ、言葉にするのは簡単だけど難しいよな。才能を見せつけられた時、どうするかっていうのはさ。
自分にはないものだ、という菅原に田中が否定の言葉をかけようとするのを澤村が止めます。一度ちゃんと聞いておくべきだ、と。
本当に勝ちに行くなら、仲良しかどうかとかでレギュラー決めるわけには行きません。やはり実力が物を言います。
影山は敵のブロックが見えている。なら、仲間の動きも見えるはず。
菅原は良いこと言ってるんだが、まだ学生なのもあって表現が曖昧だな。
なんか上手いこと、という言葉に影山は余計混乱します。が、翔陽のセリフを思い出して彼を振り返ります。
影山は翔陽の運動神経が羨ましい。それだけのポテンシャルがあるのに、うまく扱えていないからもどかしい。もったいないと思って余計に苛立つみたいですね。
だからその能力を全部自分が使う、と。
壁の向こうに見えた、頂の景色
影山は言います。翔陽の一番のスピード、一番のジャンプで飛べと。ボールは自分が持っていく、と。
持って行く?
そう。影山が翔陽のもとにボールを運ぶのです……もちろん、手で持ってではなく、トスとして。
と言ったところでわけわかりませんよね。
ちなみに漫画ではここで1巻が終了で2巻に入ります。
翔陽はブロックのいないところにマックスのジャンプで飛ぶだけ。影山のトスに合わせようとしなくて良い。影山がすべて合わせる、と。
普通はスパイカーがボールを見ないなんてありえません。そもそもめちゃくちゃ怖いです。空振るはずだという翔陽にそうかもしれないがやりたいという影山に翔陽も頷きます。
結構大きな声なんですけど、周囲には聞こえていないようで「なにするんだろう」みたいなことが話されてます。
影山がすごく集中します。ブロックの位置。スパイカーの位置。翔陽のジャンプの位置はどこだ、と。この位置この角度だ、と。
ドンピシャじゃねえか!
これだけ見ていると影山頭いいんですけどね……学業には全く生かされないという……良い意味でも悪い意味でもバレー馬鹿。
その素早い攻撃に月島も付いてこれず、翔陽のスパイクが決まります。
翔陽が「手にあたった」と大げさに喜んでいますが、すべて見ていた澤村が唖然として言います。翔陽がさっき、目を瞑ってスパイクを打っていた、と。
月島も田中も……トスを上げた影山でさえもその澤村の言葉に驚きます。
これ、上手いのがちゃんと翔陽の目元が見えないように描かれているところです。
目を瞑っていたのは澤村の発言でようやく分かる、という。
ジャンプしてからボールを打つ瞬間まで翔陽は完全に目を瞑っていたわけです。そんな中で影山がピンポイントでトスを出した。
目を瞑ってスパイク打つなんてコワすぎますよ。普通はできません。
そんな状態で飛んだ翔陽は手にあたったと大興奮して影山に手を見せてますが、影山は影山でまさか目を瞑っているとは思っていなかったので大声を出します。ボールを見るなと言ったのは影山ですが、まさかねぇ。
でもまぁボールが目に入ったら見ちゃうよなぁ。
気持ちはわかりますが、だからといって目を瞑って飛ぶなんて……怖いですって。
100%信じて飛ぶのってそんなに簡単ではありませんが、今の翔陽にはそれしか方法がありません。勝つためにそうするしかないならば、翔陽はするのです。
そして翔陽のバネも反射神経も、自分のトスなら活かせると影山は目を輝かせます。
翔陽の囮が効くようになれば田中もより打ちやすくなります。次もボールは自分が運ぶという影山。
でしたが……まぁそうそううまくは行きません。顔面にトスをくらう翔陽。天才影山といえど、さすがにコート上の他の動きを全部把握するのはしんどいですし、どんぴしゃでトスを持っていくのは中々大変です。けど、面白いと彼は思います。
ここ、地味にマネージャーと翔陽が会話してるんですがアニメオリジナルですね。翔陽は美人に弱いらしく、やたらと緊張した素振りが見えます。
顔面にトスを受けながらも、100%他人を信じて飛んでいる翔陽のことを信じられない月島。けど、澤村は翔陽はそれでもまた飛ぶんだろうと言います。信じるなんてすごいよなと。
翔陽はうまく行かないなと思いながらも、先程うまく言った時の感触を覚えていました。手にしっかりと当たるかの感触。それは翔陽が大好きなスパイクの感触。
もう一回。
翔陽と影山が思います。
月島はまた翔陽に上げて失敗だろうから田中だけカバーをと思いますが、翔陽の迫力に何かを感じ、山口もブロックに呼びます。
ブロックを超えるのは翔陽には難しい。ならば、避ける。素早い動きで横に避けた翔陽。月島が慌てて追いかけますが……翔陽のジャンプのほうが早い。月島の手が最高到達点に来るより先に、翔陽の手の位置のほうが高い場所にきます。ボールもまた、翔陽の手のひらの中に。
中学の試合ではブロックに捕まってばかりだった翔陽。あの壁の向こうはどんな景色なのかと。翔陽は閉じていた目をゆっくりと開きます。開けた視界の中をボールが突き抜けていきます。
手にあたった感触。キレイにハマったトス。
影山と翔陽は、拳を握りしめて喜ぶのでした。
まとめ
今回は影山の過去、王様の異名の真意が判明しました。自己中の王様。独裁者。
だけど翔陽にとってそんなことはどうでもよく、チームメイトからのトスが彼にとってはとても大切でした。
そして影山は今までスパイカーが自分に合わせるようにと要求してきましたが、今回のことで自分がスパイカーに合わせるということを知りました。これは大きな差ですね。
バレーボールなんていうチーム力が何よりも大切なスポーツにおいて「俺が全部できたなら」なんて考えていた影山の大きな意識改革、の始まりを感じさせますね。
翔陽にしても今まではチームメイトに恵まれませんでした。そもそもチームメイトが存在してませんからね。そんな翔陽からしても、信頼できるチームメイトが出来たというのは大きい一歩でしょう。
そんな二人がこれからどうなるのか。烏野高校排球部がどんなチームになっていくのか。それはまた次回に!
では、ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
一人では決して見れなかった壁の向こうの景色。それを見たくなったならば↓コチラ↓からどうぞ!
原作では1~2巻がこの部分に該当します! 漫画は漫画ならではの良い雰囲気があるのでこちらもぜひ!