【不徳のギルド】第83話『彼の岸』――過ちは同じ。けれど違うのだと、彼は言う。【ネタバレ感想】
フォーネの死の真相に迫るオックリたちですが、そこにやってきたのは屍術師の男。どう考えてもフォーネの死に関係している男でした。
ツチガミのもとにガードを送ったと言っていたカボクの人たちですが、たしかにこの男はいませんでしたね。この男はむしろ存在の影が薄くなっていたくらいです。
しかしながら今回はこの男が一体『何をしたのか』『何故そんなことをしたのか』が分かるのですが……これがまた……。
うぐあああっ!
となる感じでしたし「うおおお」という展開もありますし「だよねー」というところもあって……今回も面白かったです。
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元気よくやってきましょう!
※更新したのは8月14日なのですが、話数が前後するため更新日を8月7日に変更しております。ご了承ください。
前回のあらすじ
フォーネ……この表紙の未来が見たかった。
フォーネの死の真相を追っていたオックリたちは、事故ではなく他殺だと気づきました。
キクルはこれ以上の神性をツチガミに集めないよう、地上でショウキに神性を集めていました。
広い視野で自分に挑んできたキクルたちに、ツチガミは油断することなく襲いかかってきます。
フォーネの死は偽装されたものだと気付いたオックリ。犯人は自分と同じ屍術師と幻術師。犯人はカボクではなくキョボクのガード。
そしてキョボクの幻術師といえば、エースのワンダ。ワンダがツチガミの元へとたどり着き、オックリたちのところには屍術師が襲いかかるのでした。
前話より
逃げてオックリー!
今回のポイント
兄さん!
- 小物感と無敵感
- お姉さんになるのはまだ早い
- ワンダが格好良く決めているが……?
- コイン……気づいてしまう
けど、コインはやる時はやる……たぶん。
初めて声を聞いたときから……
キョボクのガードであるハゴン。屍術師である彼は、当然フォーネの死に関係しているはずです。
つーか、なんでこいつがここにいるんだ?
カボクの人たちがツチガミの元にガードを送ったという話をしていました。当然ハゴンもそのメンバーに入りかけましたが、ワンダが人命優先だとその場に残ったのでなんだかんだと理由つけて彼も残ったらしいです。
ツチガミを舐め腐っていたカボクのガードとは違い、ハゴンはネームドであり神様であるツチガミがどれだけ強いかをしっかりと認識していました。化け物だ、と。
普通はそういう判断になるはずなんですけどね。
おかしな教育され続けたせいか。ツチガミが優しくしすぎた結果か、舐めてたもんなぁ。
ハゴンが「敵を甘く見すぎ」と言っているのには激しく同意ですね。凡人が徒党を組んでも勝てるわけない、とちゃんと現実を見ています。化け物の相手は化け物に任すべきだと。
しかし「同じ化け物に任せるべき」の「化け物」って誰ですかね?
普通に考えたら……まぁ、ワンダ、か?
そうしてなんとか村に残ったハゴンが魔物を倒していると、やたらと慣れたように魔物を倒していくよそ者がいることに気づきます。しかもプンプクが一緒にいる、ということで屍術師のスキル「幽体離脱(正式名称はアストル)」を使ってキクルたちの話を盗み聞きしていたようです。
以前、キクルたちの頭上で彼らを見ていた『不思議な生き物……? 物体? 火の鳥っぽい感じの雰囲気がある何か』があったのですが、どうもそれはフェニザスクとかではなくてこのハゴンだったみたいですね。
そのお話は第78話です>>【不徳のギルド】第78話『異なる同じ黒』――何が正解かは、自分の意志で決める【ネタバレ感想】
78話読んだ時は、フェニザスクの話もあったのでそれかなと思っていたのですがコイツだったみたいです。
つーことは、全部コイツには筒抜けかよ!
肉体持ちだったらキクルによって気配察せられた可能性がありますし、そこも合わせてうまく噛み合ってますね。
キクルたちが事件に首突っ込みそうだと思いながら、まさか真相までたどり着くとは思わなかったというハゴン。フォーネを殺しておきながらまったく反省している様子はありません。
オックリが責め立てますが、ハゴンは「そんな道徳など知らない」と叫びます。屍術師なんて、死骸を操るジョブ。頭がぶっとんでるんだよと開き直ってます。
理由はただ一つ
そしてハゴンは告げます――1度人の死体を操ってみたかった、と。
は? おま、まさか……え? 嘘だろ。そんな理由で?
そんなハゴンの元に舞い込んできたのは「バレない手段」と「大義名分」だったわけですね。バレたけどしょうがないと笑うハゴンを見ながら、オックリは考えてしまいます。彼女もまた、兄を守るという大義名分のもと、罪を犯したことがありました。
オックリは自分も同じなのかと思ってしまったのでした。
で、ここでハゴンは気になることを言っています。反対していた誰かを誘導した、と。
おい! それって……!
ここでは明記されないのでここまでにして……オックリは何も言えず、自分を抱きしめていました。彼女は分かっているのです。偶然彼女の犯した罪は、周囲の人達によって受け止めてもらえただけで、ハゴンのような相手に対して強く言う資格はないのだと。
ハゴンはそんな様子のオックリを見て察したのです。彼女もしたことがあるのだと。彼女の頭を掴み、「誰に」「どうだった」を楽しげに聞いてきます。
オックリは何も言い返せず、涙するわけですがそんなオックリを見て、ハゴンは口元を歪めます。
「初めて見た時からその生意気なツラ
ずっと歪ませてやりたかったんだ」
勿体ないが、フォーネと同じように処理するというハゴン。動かないとと思うオックリですが、自分なんかがと思って動けずにいる中で、彼女の背負ったカバンの中から声がします。――大丈夫!僕が付いてるよ!という、それはカンゼボウ人形の声です。
と同時に、カバンからフユウデのような手が伸びてきてハゴンを掴んでました。ハゴンが腕を払って距離を取ります。そしてオックリの前に立つのは、カンゼボウでした。
うおおおおっ兄貴ぃぃぃ!オックリを助けてやってくれ!
ギルドの許可が降りるまで正体を明かさないという約束があったとは言え、妹を守れなければ意味がないと彼は堂々としていました。
それを見たハゴンは「実の兄をか」と興奮したように言いますが、一応今の状況は法には触れていないそうです。
そう言えば、以前、キクルの家に来た時に「利用価値」が云々と言っていたような……?
なんとですね。カンゼボウ、残留思念のフユウデと一つになった結果……フユウデのネームド(個体名カンゼオン)としてギルドに登録されているんだとか。
そうして姿を表す巨大な魔物。フユウデですから手を駆使したデザインですが、それでいて神々しい雰囲気もあり、格好いいです!
って、ここでタイトルの「彼(か)の岸」か。岸は騎士もかけてるのか? にくいねぇ。
さぁ。騎士までかけているかはわかりませんが、仏は完全に入っているでしょうね。悟りの境地。
フユウデのネームドなど聞いたことがないのでしょう。ハゴンが理解できないでいる間に、カンゼボウがその巨大な手で彼を挟みました。実態がないはずのフユウデですが実際に痛い上にマナを奪われ、さらには寒いんだとか。夏なのに。
フユウデは気奪(げだつ)というスキルでマナを吸収するため、マナや熱を奪った、ということなのでしょうね。
何も出来ないハゴンに対し、カンゼボウは妹とハゴンの違いを語ります。妹は罪を犯したがそれに向き合っている。命を大切にして友人を大切にする心がある。
てめぇと一緒にすんなってことだな。かっこいいぜ、兄貴!
ハゴンはネームド(トチガミ)を避けたはずなのに、その先でまたネームドにぶつかってしまったわけです。情けなくもがくがくと震えています。弱者にしかいばれないタイプみたいですね。
震えているハゴンを見下ろして、カンゼボウはこう言います。
「…あぁそれと
初めて声を聞いた時から
そのツラを恐怖と苦痛で歪ませてやりたかった」
いいねぇ、言うねえ!
負けセリフを吐きながら逃げていくハゴン。証人がいるので彼に先はないから追わず、仲間を助けに行く二人でした。
よっしゃ、銀づち! 今からカンゼボウ人形買いに行くぜ!
……すっかりはまってしまいましたね。
お姉さんになるのは難しい
一方、落ちた二人。プンプクは無傷でミシェリーが倒れていますが……生きてはいるようです。どうやらダメージを肩代わりするスキルを密かに使ったようですね。
けど、普段は一人で魔物と戦っているのでうまくいくか心配だったのでしょう。うまく行ってよかったと思うミシェルでしたが、その事は言わずにプンプクの運が良かっただけとウソを付くところが、良い! 年長者だけあります。
やっとお姉さんらしいことが出来たとミシェリーはホッとします。
前衛である分頑丈なミシェリーですが、それでもさすがにしんどそうですね。自己回復スキルを使ってゆっくりと回復しているみたいです。
そこへオックリの声が響きます。二人を呼んでいて、ミシェリーはできる限りの大きな声で応じますが、オックリには聞こえずプンプクが返事してました。
中々全部に格好つけるのは無理みたいですが、その分ミシェリーと良いコンビになれそうですよね。
この件が片付いても二人でいてくれると微笑ましくて良いなぁと思ったり
一方洞窟では
ヒュダイが目覚めました。かなり危なかったみたいですが、メイデナのおかげで助かったみたいですね。メイデナ、魔法さえ使えれば優秀ですからね。
そう、だな……使えれば。
もう一人、当たれば強い、もいますね。
トリューもお礼をいいますが、まだ術かけてもらってないのに瀕死状態で動いていて、あのキクルが「動けるのおかしい」と言ってます。やはり完全にキクルとは逆のタイプ……いわゆるVitタイプ(体力・耐久力が高い)の前衛みたいですね。
どばどば血が出ているのに動いています。
エースはやはり化け物揃いですね。こんなトリューですらずっとエースになれなかったというのはカンゼボウが強すぎたのと、ショウキという魔物が相棒であることも影響してそうですね。
この二人組の謎もはやく知りたいぜ。
そして幻術師であるワンダは、通常ならば光を見せないと幻術にかけられないのに、五感全てに左右する幻術が使えるんだとか。これはスキルとの適性が高い場合、通常より強力な効果をもたらす存在がいるとかで、サンが該当しますね。
散布したマナに触れたり音を聞いただけで幻術にかかるのは厄介ですね……とはいえ、ツチガミには神性さをもった攻撃しか通じませんが、ワンダは問題ないと自信アリゲ。
ちなみにワンダですが、以前セイテンとオックリが飲み物を買いに行った時に登場してました。女の子好きっぽいのがどうやらワンダだったみたいです。最近気づきました。
第73話で、名前は出てませんがオックリが「この片目の男」と内心で気づいてましたね。
確認したくなった方は第13巻をどうぞ! ワンダがしょっぱな登場して、ハゴンの名前も出てます。
でもさ。もしかしたらワンダってハゴンに良いように言いくるめられただけかもだよな?
まだ分かりませんが、そうであったとしたら……。
…………。
個人的に気に入っているコマは、ワンダとのやり取りの背後で回復魔法を受けてやたらとキラキラしているトリューです。めっちゃキラキラしてます。そんなにキラキラさせる必要ある? というくらいにキラキラしているのでぜひ見てほしいです(笑)。
コイン……気づいてしまう
キムジナーと戦っているコイン。逃げ回って消耗しているのか、息が乱れています。
たしかハナバタが捕まってマナ供給源にされちまったんだよな。
はい。ですが、だからこそノマはキムジナーのスキルはマナ消費が多いのだろうと予測。消耗を狙おうということでしたが、小技すら出せない今のコインは足手まといにしかなりません。
ノマが一人でなんとか対応してますが、消耗を狙うということはそれだけハナバタはマナを吸われるわけです。かなり辛いですね……けど、シリアスなバトルの間に挟まれる貴重なエッなシーンになってます。
ここを見ると「不徳のギルドだな」という安心感がありますね。
どこに安心感覚えてんだよ! いや、たしかに不徳のギルドらしいけどよ!
コインは落ち込みながら考えます。ハナバタを助けないといけませんし、ノマが一人で頑張っています。皆命がけです。
けど、それらの要因を作ったのはカボクのお年寄りたちなわけでして。コインはこう思うのです。
「私が頑張る理由なくない?」
そんな事実に彼女が気づいたところで、今回は終わりです。
気づいてしまいましたね。
ガードとしての信念があるキクルはともかく、コインにはたしかになさそうだな。
まとめ
と、今回はなんといってもカンゼボウ兄さんが格好良かったですね。
妹の犯した罪を否定はせずとも、それでも妹の苦悩を理解し、彼女を守るために立ち上がる。……いいですね。しびれます。
- フォーネの死体を操ったのはハゴンであり、ワンダをそそのかしたのは……?
- カンゼボウはフユウデのネームドとしてギルドに登録されている(めっちゃ強い)
- お姉さんになるのは難しい
- トリューはめっちゃ頑丈(キクルが呆れるレベル)
- ワンダは幻術使いとしてはめっちゃ優秀そう
- コイン、自分が戦う理由がないことに気づく
という感じでした。あちこち場面が変わるので状況把握が難しいですけども、少なくともオックリたちはしばらくは安全そうですかね。3人が合流できればプンプクも結構戦えそうですしなんとか。
一番心配なのはやっぱりキクルたちだよなぁ。相手は本気のツチガミだし
さて。これからどうなるでしょうね。ということで今回はおしまいです。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
あっちこっちで物語が進んでいくツチガミ(ハデス)編を復習したくなったならば、むっちむちな警官の彼女が目印!
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