【不徳のギルド】第84話『神に届く力』――聡明じゃないけど受け入れてくれた人【ネタバレ感想】
ワンダの連れであるハゴンはどうしようもないクズであるというのが分かった前回。ピンチなオックリを救ったのは、なんとフユウデのネームドになっていたカンゼボウ。
崖から落ちたプンプクたちも怪我をしつつも元気だったり、トリューがキクルが呆れるほどの頑丈さをもっていたり、ワンダがかなり幻術師としてとても優秀だったりも判明しましたが、なんといってもコインが気づいてはならないこと……「戦う理由がない」に気づくというお話でしたが。
それでもガードとして戦っているノマたちがいるわけで、キムジナーとの戦いはどうなるのか。
皆が必死な中であまりやる気のないコインはどう動くのか。
何より今回はノマが『いろんな』意味で大活躍するので、私含めたノマふぁんは大歓喜!
ノマが『吸われる』のをじっくりたっぷり見たくなった方は、不徳のギルド14巻で! ノリなし!
前回のあらすじ
ハゴンこの野郎。
キョボクのガードであり屍術師であるハゴンは、キクルたちの存在に気づいて彼らが事件の真相に近づいていることを知り、オックリたちの後をつけていた。
ただ「死んだ人間を操りたい」という欲望を叶えるため、仲間を言いくるめ、今回の騒動に加担したというハゴン。
しかしオックリが自分も行ったことがあるため強く出ることが出来ず、ハゴンはそんな彼女を追い詰めるが、妹を守るためにカンゼボウがフユウデのネームドとして姿を表し、彼を追い払った。
キクルたちはメイデナのおかげで回復し、幻術師ワンダもツチガミ相手にどこか自信アリゲ。
そんな中、ハナバタが捉えられてピンチのノマたちだが……コインは自分が戦う理由はないんじゃないか、とそんなことに気づくのだった。
前話より
コインの言葉は正しい。
今回のポイント
ノーマ♪ノーマ♪ノマー!
- キクルからいろいろと学んでいる(意味深)ノマ
- コインの影――表と裏の心
- ジジババたちの言う『最高傑作』
- 神髄=運転免許
- たとえ幻と分かっていても、受け入れる
ホアンカのヒロイン力と、コインの全力の叫び。
ジリ貧の戦いを制するのは
キムジナーと対峙しているノマ。多少呼吸は乱れていますが、お得意のマナコントロールや魔法のタイミングをしっかりと絞ることで消費を抑えながらうまく戦っているようです。
素直じゃないキムジナーが「無駄がない」と内心で褒めてますね。
目眩ましや距離感の取り方なんか、まさしくキクルの戦い方って感じだな。
さすがノマ。ちゃんと学んでますね。
しかしキムジナーには奥の手……そう、人質がいました。もうマナも吸いつくされたようで、かなり辛そうなハナバタがあのツボミから現れました。ハナバタに突きつけられる鋭いツルに、ノマは武器を地面に置き、遠くへと飛ばしながらポケットの中を探っていました。
その武器はコインの方へと飛んできます。
マナを温存して戦っていたノマは、今のキムジナーからすると良いマナ供給源。そのままノマは詠唱を封じるために口を塞がれた状態でキムジナーに取り込まれます。
キムジナーはハデス以外の魔物たちが心配なため、そちらに向かおうとしますが……隠れていたコインが飛び出してきました。かなりへっぴり腰で、こんな戦いで命をかけたくないという彼女の本音が見えます。
キムジナーとしても、逃げ腰のコインを相手にする気はありません。基本、彼らは人殺しを好んでいるわけではありませんからね。
コインの本音と影
コインからしてみたら不満だらけです。そもそもカボクに来たのも特訓のご褒美としてでした。みんなと回ったのも楽しかったコイン。それでもキクルと一緒じゃなきゃ彼女にとっては意味がないのだと。
コイン、普段の言動はアレですがこういうところ普通に乙女なんですよねぇ。
なんであいつらのために命張らないといけないのか、と言ってるな。言い方はともかく、心情としては分かるぜ。
キムジナーもコインのヤケクソのような叫びに呆れつつも同意してます。だからこそ戦う気がないなら見逃すと言ってます。やっぱりなんだかんだ言いつつ、まともな人に対しては優しいキムジナー。
ですがコインは自分のため――キクルに褒めてもらうデートをするため――に頑張るのだと叫びます。ぐぅんっと伸びる影。キムジナーは理由のわからないことを叫んだコインを不思議がりますが、そんな彼の背後から伸びた影がその体を貫きます。
バックスタブ(背後の一突き)。
今まで何度かコインの窮地を救ってきたスキルですが、それを発動させるためにコインはイズナのもとで影について考えていました。
コインは「影は自分自身」だと思ったようです。
イズナが理由を聞くと、イズナが影というものについてのコインの答えとして、『お勉強じみた答えを期待してないと思う』と。
お勉強じみた答えってのがコインらしくていいな。
そんなコインを笑いながらも促しているイズナがまじ先生。
でも考えてみると、今まで発動したときって本音を叫んでるときだったよなぁ。
コインの説明に合わせるようにウネウネ動いている影がなんかかわいいですね。
変に影について説明すると習得が難しくなるからこそイズナはあまり言わなかったようですが、そんなコインの説明を聞いているイズナはどこか嬉しそうで……そしてやはり、答えは言ってはくれませんでした。
キクルとの修行もこんな感じだったんですかね。親子みたいな姿を想像すると可愛らしい。
イズナはキクルに対する言動厳し目だが、良い保護者(指導者)してるなぁ。
そんな回想シーンを終えて、再び現在へ。
バックスタブは背面から受けることで硬度とか関係なく貫通攻撃になるんだとか……安定して&タイミングよく使えるようになったら強いですね。
人間のスキルに詳しいというのは、フォーネからもそうですし、本とかで学んだのでしょうか。
……セイテンみたいに、人間のガードと一緒に戦う未来が、どこかにあったのかな?
……あった、かもしれませんね。
キムジナーは弱いフリ(演技)をされたと怒ってますが、コインは「本当に弱いんだ」と逆ギレしてます。さすがコイン、ブレない。
ただコインには防御手段がないことをすぐに見抜いたキムジナー。手数で対応できると思ったのですが、突然力が抜けます。マナが吸えなくなったのです。
キムジナーは魔物ですからマナを感じ取れます。ノマにはまだマナがあったのを知ってるので動揺します。いえ、むしろ彼もマナを吸い取られています。詠唱も封じているのになぜ、と。
ノマが擬態を解く時用にとイズナからもらっていた『学術”吸の式”』の効果でした。
おおっやるなぁノマ。
ノマのマナがなくなるだけでなく、魔道が繋がっているためキムジナーもマナを失ってしまう、と。
マナを温存してたのは、マナの補給先として自分が取り込まれるのも計算してたわけか……ほんと、キクルの弟子っぽいなぁ。
そしてこの魔道、というのが後々重要な話になるわけですが、今回は置いておきます。
マナがすっからかんになったノマ……しかしながらそんな事情を知らないためでしょう。キムジナーは不足し始めたマナを欲してさらに吸おうとするのでした。
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外では呼吸を乱して弱っているキムジナーに、コインが気迫のこもった顔と叫びを上げながら襲いかかります。
中々乙女らしくない言葉叫んでいますね。
うおっキムジナー! 動けないのに!
コインの刃がキムジナーに……刺さる前に、コインの体に突き刺さるように突撃したのはホアンカでした。
キムジナーを殺したいほどにくんでいるか? という彼女の問いに誰も「うん」と頷くことはありません。
でもさっきコイン「死にさらせ」とか言って
まぁそれはそれ。これはこれです。
ホアンカはキムジナーにも問いかけます。殺すつもりなんてなかったでしょう、と。キムジナーは目をそらして悪態をつきますが、ノマは分かっていました。キムジナーには最初から殺意がなかったと。
最初からそうだよな。
完全に不意をついていたのに、分断させただけで、致命的な攻撃って感じじゃなかった。
ハナバタもそれが分かっていたので切り札の狂花を使わなかったんですね。
キムジナーは目線をそらしたまま「馬鹿な選択だ」と言います。キムジナーという存在もまたハデスに神性をもたらしている一人。なのに「狩らない」のはおかしい、と。
それに対してのホアンカの言葉が、これまたとてもいい。
「子供を殺さなければ解決できない戦い」の方こそ…よほど馬鹿げています!
良いこと言うじゃないか、ホアンカ!
最初はチョロっと出てくるだけかと思っていたのですが、ハデス編のヒロインですね。
ちなみに良いシーンの間に、コインは言い訳してます。自分も別に本当に殺したいとか思っていたわけじゃない、とね。コインのこういうところが憎めなくて好きです。
それはさておき、キムジナーはフォーネの言葉を思い出していました。フォーネ以外にも、キムジナーのことを受け入れてくれる人が絶対に現れる、という彼女の言葉を。
ちなみにフォーネは中々良い性格していたのがこの回想でよくわかります。
やり取りが年頃の男子と姉や母、みたいな感じだなぁ。……家族っぽい感じがすごくするぜ。
最高傑作は運転免許証のようなもの
一方、閉じ込められる中、言い争っていた長老たちはようやく争っている場合じゃないと落ち着いたようです。
そして何やら気になる発言が……ワンダは「カボクの生み出した最高傑作」などと言ってます。
ワンダは純粋にカボクを守ろうとしてくれているのに、モノ扱いかよ。
本当に、喋れば喋るほどゲスさだけが際立ってきますねぇ。
それにしても神髄?ってなんだ? 習得ってことはスキルなんだろうが。
場面はハデスたちへ。
ワンダがその『神髄』を使います。技名とか格好いいですし、幻術に囚われたハデスの描写がまるで一枚の絵画のようで……これは何度も見たくなる。
不思議の国のアリスっぽい不気味な雰囲気なんですけれど、個人的にはできればカラーで見たい、と思っちゃいました。
どうやら各ジョブに一つだけある奥義みたいなものらしいです。その力はあらゆるものを貫き、神様にも傷をつけることができるんだとか。
いや、トリュー。面白そう、とかで覚えられるものじゃないだろ!
キッくんの運転免許が妙に的を得ていますね。
神髄についてはキクルもイズナから学んだそうで、ガード数万人に対して一人の割合レベルだそうです。
けど実際、トリューが「神髄おぼえてきたぜ」とか気楽に言ってきても驚かないですね。
トリューがそもそも誰だ、とワンダのことを聞いてますが、常識人のヒュダイがキョボクのエースだと改めて説明してくれていますね。この中ではいちばん有名だそうです。
ワンダを指さしてるトリューの指を押さえているヒュダイ……いいコンビだな。
そんなやり取りの中、冷静にワンダを見つめるキクル。ツチガミはワンダのことを「待っていた」と言いました。ツチガミがわざわざ待っていた、ということは……と、おそらくキクルは察したのでしょうね。
ツチガミは幻術の才能に驚き感心しつつも、冷静に幻術を解こうとしていました。しかしそんな彼の前に現れたのは、愛しい存在、フォーネ。
悲しげに見開かれたハデスの目。視力が低いモグラの彼の目にも見えるその姿。もう見ることのできなくなったその姿が、彼の前に存在するわけです。
幻術と分かっていても、すぐにその存在を拒否するのは流石のハデスでも難しいのでしょう。思わず彼女の名前を呼び、彼女が近づいてくるのを拒否できません。
ハデスのお腹に刺さるナイフ。ナイフを手にした血みどろのフォーネが「あなたのせいだ」とハデスを見上げながら言ってくるわけです。
うおおおっもう、これ以上ハデスを傷つけるのはやめてやってくれよぉ。
そしてハデスの現実の体にも、傷ができるのでした。
まとめ
というところで今回は終わりです。……キムジナーたちがうまく行っただけに、ハデスのところは胸に突き刺さりますね。
あと、ところどころ出てくるフォーネの姿がな……もう、実際には見れないのかと思うと。
余計に泣けてきちゃいますね。
- VSキムジナー戦はノマによる時間稼ぎがこうをそうし、間に合ったホアンカの手によって皆無事で終結
- カボクの長老たちは、周囲を自分たちが利用するコマにしか思ってない
- 神髄という各ジョブの奥義を習得しているのがワンダで、その攻撃は神にも通じる
- しかし、ツチガミはそんなワンダを『待って』いた
- ツチガミは幻影の中で、恋人フォーネに刺され、その傷は現実の彼の体を傷つけた
傷をつけた、とはいえハデスにずっと幻術が効くとは、正直思えないんですよねぇ。
ほんと……どういう決着になるのかが不安な話だな。
少しでも、彼らが傷つかない決着を祈るだけですね。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
ハデスが幻術に囚われ、幻とはいえ愛しの存在と再会できた瞬間を何度も見返したくなったなら↓コチラ↓からどうぞ。