【不徳のギルド】第79話『当たりくじ』――主人公っぽいこと言ってるけど、受け持つのは4の方【ネタバレ感想】
危険を冒してまでツチガミに挑むキクルたち。それはカボクのためではなく、自分たちの意思。
プンプクはキクルたちにツチガミたちを止めてほしいと頼んだものの、決してカボクを正義とは思っていない。フォーネの死の真相を探るべくオックリたちの調査についていくことにしました。
読者たちはもう死の真相を知っているわけですが、それを知った時にキクルたちがどう動くのかが楽しみですね。
マスラオウのような終わり方……にはならないと願います……できる限り、みんなが納得できるような結末がいいですね。そんな結末が、あるんでしょうか?
こちらの話が読めるのは月刊少年ガンガンです! チカエルの日記にくすりとしつつ、不穏を感じみませんか?
前回のあらすじ
ワンダの立ち位置はまだ不明。
エースのワンダが避難所を訪れる。彼は今回のことをどう思っているのか。まだわからない。
若いガード二人組から記憶を読み取るツチガミ。ガードのスキルに気づいたのに、見逃してしまったことを悔いる。
そのガードたちの報告により、ツチガミの存在とフォーネの関係が村のお偉方に伝わり、ツチガミの神性を削ぐための計画――フォーネの殺害が行われた。
ガードたちは自分たちはそこまで悪いことはしていないと反省の色無く訴えるが、自分を殺しに来た相手を逃す道理はないとツチガミは切って捨てた。
町内会のメンバーは、真相を知ったツチガミを前にして責任の押し付け合いを始めた。
プンプクはこれ以上、カボクのためにキクルたちが傷つく必要はないと言いますが、みんなはそれぞれの意思で動き出すのだった。
前話より
自分は灰色だと訴えたところで、彼の目には黒に見える。
今回のポイント
ツチガミが……悲しすぎる。
- ツチガミの過去――慈しみと憎しみと
- 格好いいことを言うキクル――まるで主人公のようだ
- 分断されてしまうキクル達
- すごく主人公っぽいトリュー
ホライゴンは癒やし。
ツチガミの過去――愛する者たちが紡いできた可愛い命たちへ向ける憎しみ
ツチガミとカボクの関係。それは当然ながら昔から悪かったわけではありません。
まあそりゃそうか。
だからこそ、ツチガミにとっては苦しいし、追い払われたあとも近くにいたわけだもんな。
ひどい言い分で追い出されても、それでも離れがたく思っていたほどに愛していたわけです。
ツチガミと、どこかで見たことのある眼差しの老人が会話しています。ツチガミにとっては愛した子たちが紡いできた命。老人でも可愛い子なんですね。
その老人はツチガミのことを尊敬しているのがうかがえますし、ツチガミのこれからのことを憂いてました。ツチガミにとっては愛しい子の子孫という位置づけでも、子孫からしたら伝聞でしか無く、その愛は一方通行。愛を受け取る側の方には守られている自覚もない。
密かにカボクを魔物の脅威から守ってくれていても、歩み寄らなければその偉大さもわからないし、ありがたさもない。だって被害がないから。
そして人間たちの生活も変化してきてます。農業は安定し、ガードも増えたので土地神は不要。
ツチを操るってことだから、農業でもすごく助けてたんだろうなぁ
実子以上にツチガミの存在が心残りだと、その老人は言います。
そしてこの老人の目つきは……どことなくワンダと似ていますね。
そしてツチガミは言うのです。見返りはいらない、と。ただ愛して幸せを望むだけだ、と。
そんなやり取りを一人思い出していたツチガミは、無言で膝に顔を埋めるのでした。
うおおおっツチガミぃぃぃ!
誰かこいつを救ってやってくれよぉ!
本格的な戦闘開始!――分断されたキクルたち
ツチガミに挑むキクルたちですが、戦力差が段違いなのはわかっています。なので神性を削ぐためにまずは通常個体を排除しようと考えます。
ひたむきの索敵で捕まっている人間たちと、通常個体のいる場所。そしてツチガミが単独でいる場所が綺麗に3つに分かれていると判明します。
とはいえ、潜入していることは向こうも気づいてるだろうけどな。
なのでキクルの作戦では、トリューとキクル、回復役のメイデナでなんとかツチガミを抑えて時間を稼ぐ、ということに。
ですがメイデナは怖がりです。不安そうにするメイデナに対して、キクルが……キクルが!
「大丈夫。
お前の事は俺が命に替えても護るから」
ふおおおおおっ!
さすがキクル! 俺達の主人公だぜ!
乙女なコインとハナバタが言われてみたい、とか思ってますね。
それくらい格好いいキクルに、あのメイデナが無言で頬染めてぱくぱくしてます……可愛い。
と、ここでネームドたちの話になります。キクルたちにはプンプクから聞いた話しか情報がありませんし、プンプクも実際に会ったことはないわけですが、話を聞くだけだと温厚な魔物たちです。
しかしトリュウはショウキから聞いています。ツチガミについてきていた一匹がいるはずだと。少なくともの一匹とは戦うことは考慮しておくべきで……そうなると戦力をさらに割かないといけないわけですが。
と、ここで時が止まったようなコマ割りになります。目を見開いた状態のキクルやトリュー。その背後に迫る巨体――キムジナー。
直前で気づけたのはキクルただ一人。メイデナを守りながら攻撃を避けるキクル。ヒュダイとトリューは攻撃を受けて吹き飛ばされ、コインは人質に囚われました。
ここでもキクルはミス。
気配を消す術があるとは聞いていても、もう存在が知られているからそのスキルは使わないと思っていたんですね。
今回は珍しくキクルのミスが続くなぁ。
ツチガミの方が一枚上手、とも言えますね。
やはり知能のある相手は厄介です。
しかしひたむきの五感すらごまかして近づくことができる、というのはヤバい能力ですね。ひたむきの索敵能力は作中でもトップクラスですのに。
キクルはすぐに判断し、ひたむきとトキシッコを囚われの人たちの救助へ向かわせます。特にひたむきは無尽蔵のマナの持ち主ですから、囚われてしまったら大変ですね。ただでさえとてつもないマナ総量の違いがあるのに、無尽蔵になったら手のつけようがありません。
ひたむきたちを逃がしたあとの問題は、このままではツチガミと眼の前の魔物とで挟撃される可能性があること。誰かがこの個体を食い止める必要がある。
ノマとハナバタは救助にはひたむきの索敵があればいいと考え、キクルとメイデナを逃がすことにしました。キクルとしてもそれが一番だとわかっているものの、少し逡巡してしまいました。なぜなら今回は、いつものように助けには入れません。
ですが、他に方法はないと彼女たちに背後を任せることにしました。
当初とは違う役割分担
ツチガミへの道を進もうとしたキクルですが、その道が塞がれていました。ひたむきたちが向かった先も閉じられていますし、トリューたちが飛ばされてた方角はツチガミの方。
ボスを相手にするのは二人のエースなはずでしたが、こうなったならば仕方ないとキクルは雑魚処理に回ることにします。離れないようにと声を掛けると、メイデナがしがみついてきます……可愛い。
この二人は兄と妹みたいな感じがして和みます。
キムジナーやハナバタたちの方はどうなっているかというと、キムジナー視点になります。彼としてはツチガミから土地神級がいると聞いていたので分断を図ったわけですが、それらしき存在はいませんでした。
ショウキのことだな。
あいつは土地神ではあっても、人間の味方ってわけでもないもんなぁ。
近づいてもマナを感じなかったキクルのことが気にかかるキムジナー。自分の攻撃を避けたことも驚き。
ひたむきを養分にしたかったと思う彼ですが、とにかく目の前に集中しようとしますが……ハナバタが名乗って、彼の名前を聞いてきます。ただの魔物ではなく、人として接するように。
ここのキムジナーの目元のアップのコマがまたイイ!
ただただ憎んでいるわけではないという葛藤が見える。
そして名乗りを上げるキムジナー……なんというか、キムジナーたち側を応援したくなってきてしまいますねぇ。エロ展開とかそういう意味ではなくて純粋に。
一方、ひたむきたちの方には敵はいない……はずでしたが、水の中を通ってやってきたのはホライゴン。トキシッコが終わったと思います。
が、礼儀正しく挨拶をするひたむきにホライゴンは通してもイイのかな、とか言ってます。
もう私、このホライゴンのファンです。好き。
相変わらず主人公しているトリュー
そしてボス部屋への通路に吹き飛ばされたトリューとヒュダイ。ヒュダイは腹をくくる、と気合を入れます。
なんか死亡フラグ立ってそうで怖いな。
個人的には装備とかも格好良く好きなので生き残って欲しいところです……クールで常識人だけどシスコンなのもいい。
しかしトリューは意外だと思っていました。縁もゆかりも無いカボクのためにヒュダイがここまで動くことが。
ヒュダイにも思惑がありました。先日のエース交代に繋がる事件。そのせいでイバラには不名誉なイメージがついてしまいました。その汚名を返上したいのです。妹が生まれ育った街を誇れるものにしたい、と。
あの妹ちゃんがそんなちゃんと考えてるかはものすごく謎ですが、イイお兄ちゃんではありますね。
そしてツチガミと対面する二人。ショウキが来ていないことを言うツチガミ。ショウキが来ない分、二人が貧乏くじを引くんだなと。
土でできた槍がショウキへと飛んでいきますが、ショウキはそれらを弾いて言うわけです。
「あ?
何言ってんだお前。
当たりくじだろうが!!!」
キャー! トリュー格好いい! 主人公ーーー!
たしかにこれは格好いい!
格好いいが、お前さん……主人公はキクr
笑うツチガミ。当たりを引いたからもう10本と槍が増えます。6本をヒュダイに任せようとするトリューなのでした。
まとめ
いやぁっいいですね! この、少年漫画っぽい展開! それでいて、ひたむきたちのところはまた変わった展開になりそうで全然読めないし……そしてやっぱりツチガミにはただ死ぬという未来しかないのは辛いし、なにか違う気がしてしまう。
他の道を、どうか……。
でも、ツチガミにとってはどれが幸せなんだろうな……愛する子たちの子孫に手をかけてしまったわけで
向こうからの裏切りとはいえ、辛いですよね……。
死こそが開放という捉え方も……たしかにありますね。辛い。
辛いなぁ、というのをトリューの少年漫画っぽい展開とひたむきたちの「どうなるのか分からない」雰囲気が中和してくれてますね。
分断されてしまったわけですが、分断されたからこそな希望溢れる展開があるのだと、そう信じてまた次を待ちましょう!
では、ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
こんなにドキドキ・ワクワクするツチガミ編。読み返したくなったならば12巻からです!