【転生悪女の黒歴史】死亡フラグ55――代わりの席など存在しない【ネタバレ感想】
前回は変態仮面としてソルやギノフォードたちと接し、本来の彼らの役目とハッピーエンドについてイアナが考える話でした。
今回はイアナの決心がまたゆらいでしまいます。それでもイアナは黒歴史を正さないといけないのです。
作者として、歪めてしまったこの世界を。たとえその手を血で染めたとしても。
恐怖に震えながらもなんとか前へ進もうとしているイアナが見たい方はコチラから!
前回のあらすじ
ソルと仲良くなりたかった。自慢の主でいたかった。だけど彼の役目は自分(イアナ)の殺害。なのでイアナは彼を突き放す。
ギノフォードが好きだった。恋をしていた。自分を選んでほしかった。だけど物語を正すためならば彼を昏睡させることもイアナは辞さない。
ヨミは自分を愛するが、愛の見返りは決して求めない。自分の味方でい続けてくれるなら、いつかそのぶんを返したいとイアナは願う。
コノハになりたかった。彼女のようになれたなら日々胸を張って過ごせると思っていた。そんな彼女がハッピーエンドを迎えることを、イアナは願っている。
イアナはコノハたちと一旦別れようとするものの、日食という災いが起きていると聞いて、手助けをするために彼女たちについていくことに。
そのさきに待つ黒歴史を、正すために。
前話より
誰かに打ち明けたって良いんだよ。
今回のポイント
ソルがやってくれました!
- 本来の流れのおさらい
- 誰かを助けるということは、誰かが代わりに死ぬ
- 手が、すべったぁあああああ!
いやまて、一番最後のだけなんだそれ!
本来の流れのおさらい
まずは、いま起きている日食問題について、なにがマズイのかを改めて考えてみましょう。
- リリー王国にてオロチの弟が殺され、その不条理からオロチは姿を変えてコノハに同行&武器ゲット
- 武器を手に入れたことでニゲラの町のご神木を浄化できた
- 御神木の浄化によって助けられた人A(日食の知識あり)が仲間に
- Aが仲間に入ったことで、アルビドゥス王子が仲間に入る
- 日食事件解決!
というのが本来の流れらしいですね。
※本誌では3段階に分けてましたが当記事ではさらに分類してます
んー、現状で言うと、1では弟は死なず、けどニゲラの町のご神木は浄化できたけど、仲間って増えたか?
それが増えていない状態なので、これからどうなるのか分からないという状況です。
これはタイムリープものとかでよくある改変したら色々と変わってしまった、というやつですね。
そして変わってしまったがゆえに、未来を予測することも難しくなってしまった、と。
シーズン2を飛ばせばシーズン3は見れないのでビデオ予約は忘れるな!
佐藤コノハは思い出します。
学生の頃、予約しておいたはずのアニメを見た時……話が分からなかったときのことを。
登場人物たちが自分の知らないことを話している。そう! つまり
ああ……抜けてしまったか。
そうなんです!
間が抜けてしまって、頭の中が「?」になった上に、やらかしたあああという虚しさが押し寄せる、あの現象(?)!
覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか
今、黒歴史の世界もまた、そのような自体に陥っているのです。間が抜けてしまったがゆえに、この日食をなんとかできるのかがわからない。
2巻の内容をすっ飛ばして3巻へと物語がスムーズに繋がるわけがないんですよね。
描写がないだけでちゃんと起こるべきことが起きているとかならばまだしも、完全にすっ飛ばしているわけですから。
うぅ、たしかにな。
いろんなやつと協力してなんとかするって流れなら、コノハだけの力じゃ足りないってことでもあるし。
封印の失敗の可能性が出てきて、そうすると黒歴史通りなら死ななくて良かった人が死ぬかもしれない。
誰かを助けるということは、誰かが代わりに死ぬ
その夜、イアナはどうすれば良いのか考えながら眠りにつきます。そこで夢を見ます。日食で大勢が死ぬ夢を。
夢の中で現れたミカが言うのです。イアナの行動のせいで黒歴史が変わって、死ななくて良い人が死んだ、と。
それでも必死に倒れる人たちを助けようとするイアナでしたが、やめるようにと言ったのはイザークでした。
「結局
自分が助けたい人のことしか頭にないんだよね――イアナは」
まあたしかになぁ……そこは否定できん。
でもそりゃそうだろとは思う。顔も名前も、下手すれば存在すら知らないヤツのことを考えてなんていられないし
そうなんですけどね……自分の行動で死んだのかもしれないと考えると、やはり怖くはなってしまいますよね。
そしてイザークに「モブ殺し」なんて言われてイアナは目が覚めます。
テントの外がザワツイていることに気づいて何があったのかと聞いてみると、日食の影響で凶暴化した魔物に殺されてしまった人たちがいたそうで……イアナはテント内で震えます。自分のせいで死んだのかもしれない、と。
指定席に別の人間を乗せる
翌朝、神官の馬車に乗れない神官がいました。それを見て、イアナは思ったのです。
自分がしてきたのはこういうことだ、と。指定席に別の人間を乗せたから、本来その席に座るべきだった人はそこに座れなくなった……席を失った人たちはどうなったのだろうか、と。
シュヴァルツ・レ・シュヴァリエに怒りを覚えている場合じゃなく、間違えていたのは己の方だ、と。
うぅ、ここらへんは難しいよなぁ。
自分にとって大切な人を守りたいってのは、当たり前の欲求だとは思うんだが。
ヨミ――何かを察する
どうするべきなのかと悩むイアナに、ヨミが何かを察したのか声をかけます。周囲に人がいなかったので仮面を外すのですが……?
なんだ? ヨミ、ちょっと驚いてるな
ですね。イアナの表情の描写がないんですが、どういう顔をしていたのでしょうか。
イアナはヨミに「自分を正しに行ってくる」と告げます。この時のイアナの表情は一切描写されておらず、ヨミの表情変化だけがあります。
なんとも切なそうにイアナを抱きしめるヨミにご注目!
イアナは、オロチの弟を生かしたことが間違いだったのだと、リリー王国に戻ることを決めました。
手が、すべったぁあああああ!
聖女の杖に傷ができた、ということでオロチとイアナは修理のため一度リリー王国へ戻ることになります。
明確に描写はされていませんが、杖に傷をつけたのはイアナなのでしょう。
そして、オロチの弟、テナー君は殺されました。
えっ? いきなりか!
場面が切り替わってすぐに……ですが
テナーくんを殺したのはミカたちでした。イアナもそのことは決意していたのですが……でも、遅れてやって来たオロチの前でイアナは自分が殺したように見せかけます。
そして黒歴史通りになり、日食の時期もズレて延長されたようです。あとはオロチが今の学者風の見た目から中二病満載の姿に変わるだけなのですが……どうも様子がおかしい。
そんな醜い女は、この世でイアナただ一人だろう
と、そう言い放つのは、オロチから事情を聞いていたギノフォード。彼はイアナに対する憎しみを増大させていました。
自分の愛する人が大切にしている妹に対してこんなにも言うのは、なんというかギノフォードらしくはないよなぁ
ずっと信じてくれていた分、ギャップがありますし、ギノフォードが登場するたびに好感度が下がって行ってしまいますねぇ。
今回もイアナ推しからきっと鋭い目を向けられているでしょうね、ギノ。
イアナに祖母を殺されたと思い込んでいるとはいえ、ギノの様子がおかしすぎて本当に心配です。コノハから振られそう。
一番の目玉。ソルが皿を落とす
はい、そしてやってまいりました、ソルファン……いえ、ソルイア歓喜のシーン。
冷たい目をしたソルが「手が滑りました」なんて言って、皿を落とし、ギノフォードの罵詈雑言を遮ったのです。
やるじゃねえか! ソル!
とはいえ、まあ今回はここで終わりなんですけどね
終わりかよ!
ですが誰がどう見ても、ソルが本当に手を滑らせたとは思わないでしょう。次回、ソルが活躍してくれそうですね!
ワクワクして次を待ちましょう!
まとめ
イアナがまたぐるぐるとお悩みモードに入っています。またイアナらしくない感じがしてしまいますが、でもこうして悩むところもイアナらしいといえばらしい。
まあ俺っちがイアナの立場としても迷うは迷うだろうけどな。物語通りに進めて、物語で起きる不幸に見て見ぬふりをするのかどうか。
難しい問題ですよね。物語を変えたら、当然物語と同じには進まないので、どこかで別の誰かが苦しむかもしれない。
でも、未来なんて誰にもわからないことを知っている、というのがおかしい状況ではあるんですが。
とにかく、イアナはイザークの仇であるシュヴァルツ・レ・シュヴァリエを嫌ってはいるものの、その方針がやはり良いのだと受け入れようとしています。
黒歴史を正そうとするイアナ。そんなイアナを憎むギノフォード。そして主従の誓いを交わしたソルは――?
ソルを非常に応援したい。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
オレっちはギノの行く末が心配だぜ。
次に期待するか。じゃあまったなー!
怒り狂うギノフォードと対抗するように「手を滑らせる」イケメン執事ソルのお話が見たい方はこちらから!