【そのメイド、危険につき】第二回読切――知ってくれて、ありがとう【ネタバレ感想】
あの『そのメイド、危険につき』が見事に連載&単行本化決定ということで、あらためて読み切りのお話の感想をしていきたいと思います。
※話数の単位が分からなかったため、第二話ではなく当記事では第二回読切という表記にしてます。
今回のお話は前回(>>こちら)からしばらく経ったあと。相変わらず10億の指輪ということでメリッサの元にやってくる厄介事を、メイドを演じるのが好きだという元軍人の男アーサーが力で解決している話です。
ただワンパターンかというと、そんなこともなく。今回のお話のメインは『思い出』です。
ここがね……とても……切なくて胸に来ました。
そんな第二回の読切をなんと、作者様がPixivにて上げてくださっています>>そのメイド、危険につき
連載は決定されたとは言え、応援したい! そんな方は第二回が↓コチラ↓に掲載されていますのでこちらもチェックです! メリッサとアーサーのやり取りが最高でした!
前回のあらすじ
護衛を頼んだら、メイドが来た。
メリッサ・アバネシーは亡き祖母からきれいな指輪を相続した。しかしその指輪が10億の価値があることが判明し、身の危険を感じたため、騒動が落ち着くまで護衛をつけることに。
しかしやってきたのはメイド服を着た元軍人の男、アーサー。
最初こそ戸惑っていたメリッサだが、メイドの優雅さに憧れ、それを演じるのが楽しいというアーサーに、羨ましさを抱く。
指輪について不満を言いに着た親戚の男がアーサーを侮辱した時、我慢できなくなったメリッサは毅然と言い返す。
アーサーはそんなメリッサを眩しそうに見てから、暴れ出した男の護衛たちからメリッサを守るのだった。
前話より
わたくし、男ですから。
今回のポイント
自分しか知らないことは、ないのと同じなのだろうか?
- 指輪につけられた『世間の価値』に振り回される
- ただ大事にしたいだけなのに、それはいけないことなのだろうか
- その気にさせるのが得意な奥様
指輪が運んだ出会い。
10億、10億、10億、10億! どこまでもつきまとう呪文。
開始早々、チンピラみたいな男がやってきてメリッサに指輪のことで難癖をつけ、アーサーに銃をつきつけられています。
相変わらず……けど実際、高額の宝くじがあたったとか、そんな情報が漏れたら、現代でもこんな状況に近くはなりそうだよなぁ。
生きていくのに必要なものではあるのですが、変にあると大変そうですよね。お金がありすぎる人たちならこんなことならないでしょうが。
とにかくストレスになりそうですね。疑心暗鬼にもなりそうだし。
メリッサは助かったとアーサーにお礼を言いながらも、このままではいつか人死がでそうだとやりすぎだと思います。が、アーサーは笑顔で「手加減してるから追撃しても問題ない」と言うので大丈夫だ、と彼の体を押したメリッサは動きを止めます。
どうしたのかとアーサーが問うと「硬い」とメリッサは口にし、アーサーは淡々と「男ですから」と返答するのでした。
そうなんだよなぁ。男だって分かるんだが、本当に似合ってるからつい忘れてしまうというか、なんというか。
女装とかでもないし、細身で中性的な見た目でもないんですよねぇ。
けど似合ってる……絶妙なキャラデザです。好き。
護衛として雇ったこのアーサー。護衛の契約書にメイドの服装とメイドの仕事のことも書いてあったそうで、メリッサの身の回りのことをしながら護衛もしてくれます。
最初は驚いたメリッサですが、アーサーはメイドの仕事(オールワークス)も完璧で、部屋が輝いてます。メリッサはこの屋敷に一人で過ごしているので、逆に助かってそうだなと思ったり。
とはいえ、すべての仕事をこなすのは大変だろうから護衛だけでも良い、というメリッサにアーサーは首を傾げます。
「わたくしがメイド仕事をしなかったらメイド服を着ているだけの護衛の元軍人の男です。
意味不明かと」
「メイド仕事をしてても意味は分からないかと」
一応本人も変わっていることは自覚してるんだよなぁ。
アーサーのメイドが好きという理由が、優雅さに憧れた、というのもいいですよね。素敵な理由。
満面の笑顔でメイド仕事をしているアーサーに、メリッサは戸惑いつつもまあいいかと思います。
常識人なメリッサですけど、こうやって認めてくれるところとか、いいご主人ですよね。
そんなメリッサはただ穏やかな日々を過ごしたい……だけなのですが、指輪を狙った人たちやその件を記事にしようとするゴシップ記者、ただの妬みを言ってくる人たちなど、どれもこれもメリッサ本人に興味があるわけではなく、『10億』という言葉に寄ってきた者たちばかり。
おとなしめのメリッサですが、さすがに我慢の限界が来ます。彼女は10億だから相続したわけではなく、亡き祖母の遺品だから相続しただけです。お金を首からぶらさげているわけじゃないのに、先ほどみたいな記者が好き勝手書いたりもするから余計に世間も落ち着かず、好き勝手に言われるわけです。
今回のクズ男
警察に相談に行ったわけですが、そこで待っていた男はなんともやる気がなく「無理」と言います。
は? なんだこいつ? 治安悪化してるってのに何もしないってか?
襲撃がおきないと直接の介入が無理、というのはわかりますが巡回増やすとかはできそうですけどね……警察としても治安の悪化は困るはずですが
10億持っているなら有名税だ、とか10億ごと面倒見てやるとか……警察として最悪ですね。
メリッサに手を伸ばした警察の手を、ついてきていたアーサーが掴みます。護衛ですからね。格好いい。
この、割って入っているコマの迫力が良い! アーサーの腕の筋肉もがっちりしているのが分かって良い!
こいつ、逆ギレしてアーサーのことおかしな格好とか言ってるが、ギャンブルでスッたとか中々だな。
あげくの果てにメリッサの悪口まで言おうとしてましたね。
この悪口の内容がね……まじで最悪で。それは人として言ってはダメだろというやつなのですが……いやたしかにね。状況的に勝手な推測でそう思ってしまう人はいるかも知れませんが、直接本人にぶつけるなんて。
アーサーが蹴り飛ばしてくれてよかったです。私が漫画の世界に入って殴りたくなりました。
具体的に何を言ったのかは、直接見て確認を。いや、マジでメリッサの気持ちを知っている読者としては苛立ってしょうがないです。
ドアを吹き飛ばすようにぶっ飛んでいった警察にちょっとスッキリ。
しかしメリッサはそんな警察に向かって銃を撃とうとしているアーサーを止めています。が、アーサーはかなり怒っているようです。メリッサのことをよく知りもせずに、と。彼女のために怒っている。
が、今度はアーサーのことを蔑む警察官。よく警察になれたなレベル。というより、この世界の治安は中々アレなんでしょうかね?
メリッサもさすがに文句を言おうとしますが、「二人まとめて捕まえてやろうか」とかまで言い出してくる男に、アーサーがメリッサの体を引き寄せてこう言うのです。
「やってみろ。
触れさせんがな
指一本」
ふぉーっ! これはかっけーな!
表情もこれまた良いんですよ! 男らしい険しい感じの!
屋敷でメイドしている時はにこにことしているだけに、このギャップがたまりません。
置き去りにされていく思い出
屋敷に戻ってきてから、メリッサはずっと怒ってます。アーサーの仕事っぷりも知らないのに、と。自分のことよりアーサーについてのことを怒ってるみたいですね。
アーサーのお茶を飲めば分かる、と思うメリッサですがアーサーは自分が望んだ人にしかお茶は入れない、と言い切ります。感動するメリッサに、アーサーは様々なお茶を振る舞ってくれます。
メリッサは平気そうなアーサーに「大丈夫なのか」問いかけますが、彼はケロッとしてます。
「相手が至らないだけ」と言い切れるのは強ぇな。
アーサーは自分が暴力的だと言うことには気づいていますが、だからこそメイドの優雅さに気づいて憧れ、今それを行えているから良いのだと。
メリッサはそういう風に思えたら良いのにと、指輪を見つめます。
役所に相談に行ったり、新聞記者に電話して記事にするの止めてくれと言ったりしてますが、10億、という言葉が彼女を振り回します。
庭で一人、考え事をするメリッサ。庭も整えられていて、どうやらアーサーはそんな仕事までしているようです。
キレイな花を見て彼女が思い出すのは、亡き祖母との会話。祖母は骨董品屋でその指輪を見つけた時、ただ「キレイだ」と思ったそうです。自分が見つけた中で一番綺麗だったから、メリッサにあげたいと言ってくれた、そんな思い出のあるもの。
ただきれいなだけの指輪なら良かったのに、と呟くメリッサ。ですがそんな祖母の笑顔も10億という言葉に圧されて自分しか見えない状況は、彼女にとってはとても苦しくてたまりません。
(おばあさまの笑顔 思い出
塗りつぶされて
見えなくなって 私しか知らないのなら)
「ないのと一緒なのかな…」
うぅ、メリッサぁ。そんなことないんだぜぇ。
と、屋敷の方から悲鳴が。また襲撃者が来てアーサーが締め上げているようです。慌てて立ち上がったメリッサですが、手に持っていた指輪が池? に落ちてしまいます。
知っていてくれる喜び
アーサーがメリッサを探して庭へやって来た時、メリッサは池に入って必死に指輪を探していました。服が汚れていますが、気にはならないのでしょう。
焦った表情と、途切れ途切れの言葉が、彼女の動揺を伝えてきます。
もちろんその動揺は、10億だから、ではない、というのは読者には分かってますね。
メリッサはしばらくここで探すと、アーサーに言いますがアーサーはむしろ彼女に着替えを促し、自分が池の中に入っていきます。
ここ! ここがまたいいんですよ! アーサーがエプロンと手袋を外すんですが、手袋を口で噛んで、袖をめくってその鍛えられた腕が見えて
うおああああああああぐゃあああああ!
言葉失ってる! 深呼吸しろおおおお!
いやぁ、マジでアーサーいいですわ。ぶっ刺さる。
しかも口にする言葉も男前。
思い出を沈めるなって言ってくれるんですよ。
知ってるからですね。メリッサにとって指輪は祖母との大切な思い出のものであって、10億云々ではない、ということを。
そして指輪が無事に見つかった時、泥だらけのアーサーにメリッサは何度もお礼を言っていて、アーサーは微笑んでるんですが……このシーンも良い。
上半身を曲げ、顔を覆っているメリッサと、そんな彼女を暖かく見下ろしているアーサー。
あえてメリッサの表情は映ってませんし、アップになっているわけではないんですが……だからこそ良いと言うか。
うおおおっ良かった。良かったなぁ、メリッサ!
その気にさせるのがお上手で
着替えを終えたメリッサとアーサー。アーサーの着替えはものすごく早いです。
と、そんなところで襲撃してきたのがチンピラを引き連れたあの問題の警官でした。どこまでもどうしようもない男です。こんなことしたら首になるでしょうに、完全に殺して証拠隠滅を図ろうとでも考えたんでしょうか。
指輪を手にできれば借金も返せるし、自分を蹴り飛ばしたアーサーもやれると一石二鳥だとか言ってます。……クズですが、馬鹿ですね。
ここまで有名な指輪だから、すぐに足がつきそうなんだが……。
時代設定的に今よりは昔ですが、さすがにバレそうですよねぇ。……まぁ、裏に詳しいのかな?
……まぁ、頭がよかったらそもそもギャンブルで借金抱えることにはなってないか。
それもそうですね!
クズだなと正直に口にするアーサー。塩対応中のアーサーの表情がマジで格好いい。
またアーサーのことをとやかく言ってくるんですよ、こいつが。アーサーが10億の指輪狙いなんじゃないかとか、ね。
おそらくアーサーはそんなことを言われてもまったく気にしないでしょうが、メリッサの我慢の限界が来ます。「違う」と大きな声で否定するメリッサ。
アーサーは自分のために怒ってくれたメリッサに、「上手だ」と言うのです。
「俺を その気にさせるのが」
ぃぎゃああああ! その目とその顔と、体格差はやばいぃぃぃ! ひええああああっ。
大丈夫か! しっかりしろおおお!
メリッサに対してはいつも「私」と言っていたアーサーがいきなり「俺」で「男の顔」してくるのがマズイ。メリッサの体を抱き寄せて、額に……!
ぃぎゃああああああ……(がくっ)
ああ……叫びすぎてイッたか……。
そしてアーサーにより、その場は制圧されます。
また壊れてしまった屋敷にメリッサは凹みます。凹むものの、少し表情は晴れやかです。最初こそ10億の指輪なんてと思っていたものの、そのおかげでアーサーという護衛でメイドに会えた、と。感謝を述べます。
アーサーもまたメリッサに会えて良かった、ありがとうと返すわけですが、後ろから耳元で囁くように言ってて……メリッサが真っ赤になって固まっているのがよく分かる。そりゃなるよ! こんなイケメンに囁かれたらさ!
うおおおっ早くくっつけと思ったりもするものの、あくまでも雇い主とメイドという関係が、イイ!
まとめ
ということで、今回もアーサーがひたすら格好いいし、メリッサは良い子だし、良いコンビです。なんかすっごくお似合いな二人です。
ってか、本当に突然の「男」はやめて……刺さる……(ぜぇ、はぁ)
死にかけてる!?
しかももう続きが見れないのかと思いきや、連載決定とか! おめでとうございます! おめでとう私! 続きが読めるよ、やったね!
というか、この記事書いている時点でもう続きの話も読んでいるので、はやく記事書きたい……書きたい……。
ということで、次回もお楽しみに!
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
アーサーの格好良さがつまりまくっているし、メリッサとの良いコンビ感にぎゅっとくるお話を応援したくなったならば↓コチラ↓からどうぞ!