【不徳のギルド】第92話『楽園追放』――1番の功労者、家を失う【ネタバレ感想】
はぁ……前回は、素敵な結婚式が見れましたね。
いえ、素敵ですけど悲しみでもあるわけですが……だってこんな騒ぎが起きることがなかったら……。
言い出したらきりがありませんけどね。
けれどもせめての救いがあった……それだけでも良かったなぁと思える名シーンでした。どうか向こうで幸せに過ごしてほしいですね。
で、今回はその後に起きた話になります。キクルたちはセイテンとハデスマンが消えた後、どうしたのか。ホライゴンの身体もキクルの前からなくなっていて、彼がその異変に気づかないとは考えられません。
あとなんといっても……町内会。彼らが反省もせず、これからものうのうと生きていくのか……そんなこと、誰にとっても許せないですが、マスラオウの時は人間のしでかしたことを隠蔽されてしまったわけです。
マスラオウに関しては本人が望んだのもありますけどね。
※セイテンが人間たちに受け入れてもらうため。
今回のキーワードは『カボクの誇り』です。
町内会のメンバーがどうなったのかをいち早く知りたい方は↓コチラ↓からどうぞ!
諸悪の根源だぁ~れだ?
前回のあらすじ
左手が会いに来た。
20年前。村を追い出されたツチガミ……しかしそこで、里からでてきたばかりのフォーネと出会った。
不思議な空間でハデスマンはフォーネと再会する。彼女だけではなく、キムジナーたちも合流し、ハデスマンはみんなに謝った。
しかしフォーネは他の神様たちのおかげでキムジナーたちは帰れるのだと言った。
自分たちもハデスマンたちと共に逝くと言うキムジナーたちにフォーネは首を振り、凹むハデスマンを励まして左手を差し出した。
ハデスマンは渡せないと思っていた指輪を、家族に見守られながらはめ、キムジナーやプンプクは二人の結婚式を、笑顔で見つめるのだった。
前話より
指輪をあなたに。
今回のポイント
食事が喉を通った。通ってしまった。
- 破ってしまった
- 泊まっていきなさい
家を失った。
楽園がそこにあると信じていた
今回も初っ端からアクセル全開です。
道徳の話が出てきます。暴力盗み暴言は駄目だ、という誰かの独白。人に優しく接しましょうという、幼い頃に学ぶ道徳心。
さて。誰の声なのか。
すべての人が他者を思いやることができたなら世界は『楽園』になるのだと、今も信じている誰か。
ここで幼い誰かの姿が描かれています。満面の笑みを浮かべた、片目だけ見える独特な髪型の子ども。
ワンダ……今って……
すべてを知り、すべてを終わった『今』……この幼少期ワンダの笑顔が辛い。
貴重な幼少期ワンダの姿と、その可愛らしい笑顔を直接見たくなった方は↓コチラ↓からどうぞ!
ここからも感情のジェットコースターが来るので、皆さん、心を落ち着けてお進みください。
トリューのバンダナよ、早く回復して
ページをめくるとキクル達の方に場面が変わります。
寝転がって空を見上げていたトリュー。彼はマナを感知できます。しかし距離があるため、若干自身なさそうにしつつも「終わったみたいだ」と報告しました。
バンダナがなくて髪型が違う感じに見えるんですが……バンダナある方が個人的には好きなので早くバンダナ回復してほしい。
我儘!
というか、バンダナ回復ってなんだよ!
キクルはそれを冷静に聞きます。ホライゴンの遺体がなくなったことは気になっているものの、調べる手段や余裕がないことも分かっています。
普通なら慌てて「なんとか調べなくては」とボロボロな状態で無理やり動いて取り返しのつかないことになる、なども起きそうですが……さすがキクル。そういうどうしようもないことは、意識に置きつつも変に手出ししない。
これ、言葉にすると簡単ですが実行するのは難しい。焦って変に動くほうが事態の悪化を招くことも多いですからねぇ。
前回、力を振り絞って周囲一体を土魔法で抑え込み、血を流していたトキシッコですが無事にひたむきが治療していました。今は白魔法が使えませんから、ひたむきがここにいてよかったですね。
ひたむきがオネムじゃなくてよかったですねぇ。
今は無理やり魔法で意識覚醒していたはずで、あとで反動が来るっぽいのですが。
大分羨ましい姿勢で治療を受けているトキシッコ。そのまま寝たいとか言ってましたが、トリューも出血中。こっちの治療も頼むと叫んでます。
一方で一番の大怪我を負っていたけど自力で治した? キクルはメイデナとワンダがいるところに近寄ります。
自分たちはこれから町内会の人達を探してくるから、自分の足で警察に行け、と。
罪は変わりませんが、出頭しろ、ということですね。
自首じゃないのか?
現代日本の法律では、自首はまだ罪が明らかになっていない場合のみ。そうでない場合は出頭だそうです。不徳のギルドの世界で言い分けるのかは分かりませんが。
そもそもガードが殺人したら極刑だそうなので、自首だろうと罪が軽くなることはないと思いますが……そもそも、ワンダは罪が軽くなることを望まないでしょう。
素直に言うことを聞くと思ったワンダですが、返事がありません。気付いたキクルが彼を薙ぎ払うと、その姿が幻であったことが判明します。
いつからそうだったのかは分かりませんが……。
メイデナは逃げたのかと言います。けれど、判明してきた彼の性格からして逃げるとは思えません。キクルもそう思ったのでしょう。逃げたのならばマシだ、と彼の言動を振り返ります。
ワンダはハデスマンが従えていた魔物から色々と情報を聞いていました。ハデスマンが神性を帯びた攻撃しか受けないということもそうですが他にも色々と。
その色々には、町内会の人たちがどこに捕らえられているかも入っているに違いない、と。
カボクの誇りでカボクの恥
場面がこうして町内会のもとに向かったワンダに切り替わるんですが、とても自然な繋げ方ですね。地味にすごい。
ハデスマンが倒れたため、牢が開いていたみたいですね。外に出ていた町内会のメンツ。ワンダを見て歓声をあげます。彼らはあくまで一般人で戦えません。不安はあったのでしょう。
さすが『カボクの誇り』と言って彼を出迎えます。
牢が壊れたことでハデスマンが倒されたのかと予測していたものの、ワンダの口から直接聞いて彼らはこう言います。
「これで諸悪の根源は断たれた訳だな!!」
諸悪の根源だとぉ! こいつら! まったく反省してねぇ!
それを聞いた時のワンダの表情が……。背景の洞窟を描いているだけの縦線が、まるで彼の心情を描いているようにも見えます。
この後もひどいんですよね。ハデスマンに対して言いたい放題で笑ってます。
彼らの笑い声を聞くワンダ。目を閉じている彼は一体何を思っているのでしょう。
もしかしたら、これが町内会の最後のチャンスだったかもしれません。ここでまだ反省していたのならば、ワンダも少しは……。
自分たちのせいだとは少しも思っていない彼らは、誰一人として反省も、ハデスマンのことを悲しむこともなく、今回の騒動で他の誰かが犠牲になったかもしれないなどと考えるそぶりもなく……意気揚々と村に帰ろうとします。
ここから少しの間音が消えたようにセリフ枠も、オノマトペもまったくなく、笑顔で歩き出す町内会と……静かに涙を流すワンダが描かれます。
一筋の涙をこぼしたワンダが何かを口にしてます。
ここのワンダ……目は見えないんですが、だからこそ……この一筋の涙が悲しい。
しかもあれか。前髪で隠されている左目の方から流れてるな。
突如地面に表れた大穴。誰もがそこに落下します。ただそこには水があったおかげで特に怪我はないようです。
しかしこの落下中に今回のタイトル「楽園追放」が、表示されるんですけど……文字がバラバラで落下していくように描かれているのが、なんとも苦しい。
ここで今回の冒頭に戻りますね。ワンダは皆が皆、あの道徳心を持っていれば楽園があるはずと思っていたんです。
いや、今も……。
だからこそ彼は、その楽園にふさわしくない者たちを追放した……のかなと勝手に思ってます。個人の感想です。
で、ただ落下しただけではもちろん追放とはなりません。首下くらいまである水が、どんどんと熱くなっていきます。
暴力を振るってはいけない。人に優しく接する……それらを破ってしまったと思うワンダ。
フォーネを殺してしまった日も普通に食事をして眠ることができたと話し出します。
そして……自分たちのような「悪党」は楽園にいてはいけない、とね。
この現象がワンダのせいだと気づく町内会。彼を責め、どうして自分がこんな目にと叫びます。
少しでも被害者の苦しみを理解しようというワンダに「異常者」「カボクの恥」とまで言ってのけます。
カボクの恥はどっちだよ!
一応ワンダも殺すつもりはないようです……いえ、死んで楽になるなんて許されないと思っていますね。
彼らの叫び声が響き……後々、町内会メンバーは無事? に発見されたようです。
テレビのニュースでは彼らの悪行が報道され、全身やけどで発見された、と。
ワンダ……エースとして、もっとたくさんの人たちを守っていけただろうに
町内会という悪の巣窟が近くにいたせいで……
家なき子
ニュースではカボクの村で起きた地震や騒動はハデスマンが起こしたことは報道されましたが、同時に彼と繋がりがあったガードを町内会が事故死に見せかけて殺害した、とハッキリそこまで公開されてます。
大火傷を負っていなかったとしても、その地位は完全に剥奪されたことでしょう。
ただ、カボクの村の地位も下がりましたけどね……。
一番責任ある奴らが大火傷を負ったから、村への厳しい目は少しマシになる、か?
どうでしょうね……正直、ハデスマンを悪く言っていたのは町内会のメンバーだけではありませんからねぇ。避難所にいたおじいさんたちも中々酷かったですし。
ワンダはハッキリと殺人容疑として報道され、命に別状はないが全身やけどで病院に運ばれたとか。
やけどですからね……一生苦しむというのはそのためでしょう。
そして他にもたくさん犠牲者がいたわけですが、一定数がフェニザスク神のおかげで蘇生されたようです。罪のない人たちだけでしょう、多分。
さすがにハデスマンを殺しに来たガードたちは蘇生されてないと思います。
しかも自分の信者である白魔法使いが巻き込まれてますしねぇ。
どこまでが蘇生対象だったのかは今回の話では分かりませんでしたが、始まって止まれなくなった一連の事件の結末としては、もっとも良い終わり方だったかもしれませんね。
ちなみにニュースの途中でそのニュースを聞いた一般人たちが映っているんですが、「また推しが逝った」と叫んでいる女子高生らしき子がいます。
サランというあのクソ男を推していたこともあるっぽいですね。
人を見る目を養ったほうが……って、こっちのエースは芸能人みたいっぽいから人間性把握は難しいか。
ニュースでは町内会がした悪さに関しては報道してましたが、解決したのが外のガードとか詳細まではさすがに報道してませんでしたね。
で、ここでハデスマンのことを「ネームド(強化個体)」ではなく「シンボル(唯一個体)」と言っています。
コレに関しては不徳のギルド第12巻のおまけでエシュネが解説してくれているので、詳しく知りたい方は↓ソチラ↓をどうぞ! 土地神や神格化についても解説してくれてますよ!
ついでにフラグも立ててます。
ざっくり言うと、土地神が人に敵対した場合はネームドじゃなくてシンボルって呼ぶらしいぜ。
と、そんなニュースが流れた後に薬物で捕まったアイドルの話が出るんですが……ここで誰かがテレビを消します。
飲み物を運んでいるのがキクルで、テレビを消したのは……サンでした。今回キクルの家に来たのはサンみたいですね。
借りていたキクルの服を返しに来たんだとか。気にしなくてもというキクルに、若干涙目で怒るサン。
というのも戦いが終わった後。サンを迎えに行ったキクルは、顔を抑えているサンを見つけました。彼女の下半身からは……何かがこぼれています。
近くにはマナボトルの瓶がたくさん転がっているのでマナボトルの中身かもですね!
魔物たちは急に話せなくなったようで、遠くに行かせたとのこと。ハデスマンは倒せたんでしょと確認してくる彼女に頷き「ご苦労さま」とサンを労うキクル。
服にはかかっていない。スキル使っている間動けなかったのだと体を震わせているサン。
泣くことはないと慰めようとしますが、泣くわけないだろうと目からマナボトルを流しながら怒るサンでした。
あのサンだからこそ、この表情が刺さる性癖の読者多そうだなって思いました。
それを思い出したキクル。話題を変えようとセイテンのことを聞きます。セイテンも大変でしたからね。
身体は大丈夫ですが、それよりも心のダメージのほうが大きかったみたいです。
セイテン……そう、だよなぁ。スッキリとはいかないよなぁ。
ただここで、ミシュリーからある報告を受けた、とあります。それで元気を少し取り戻したそうですが……どういう報告か。
キムジナー、ホライゴン、チカエルはハデスマンがいないと理性を保てません。ですが彼らは戻れる……生き返るという話が前回あったわけですが……。
そして報告したのがオックリではなくミシュリー……となると、プンプクが関係しているのでは、と個人予想。
プンプクが神性を帯びた魔物だというのは判明しました。彼女も神性無くしそうですが、今彼女には他にも繋がりがありますから……
それにキムジナーたちが彼女を神性化し、そしてプンプクが彼らを従える、というか。そういうスキル的なものを覚えたなら……。
一応全知全能? スキルの生みの親てきな神様が関わっているならプンプクとかにハデスマンのスキルを覚えさせることも出来るでしょうし……どうですかね?
最初はオックリがとも思いましたが、完全に生き返るとなると屍術師は関係なさそうです。
生き返れるならそっちの方がいいしな!
詳細はわからなくても、せめてもの救い、とキクルも言っているので悪いことではないでしょう。
今度はサンがキクルを慰めます。人と同士の諍いまで気にするな。今回も一番の功労者はキクルだ、と。
一応、セイテンが討伐者になるわけですが、セイテンはサンの魔物として登録されているため、討伐者に名を連ねるのはサンになります。
そしてサンはもじもじとします。セイテンから、励まされてキクルのところにやってきたわけですが、色々と理由つけながらキクルの家に泊まろうと……いえ。
キクルの家を買い取るから、キクルを家に泊めてあげよう、と口にするのでした。
まとめ
ということで無事に解決し、キクルは家を失うというお話でした。めでたしめでたし。
めでたくねー!
ってか、前半と後半の温度差やばすぎるだろ!
感情のジェットコースター……それが不徳のギルド!
前半の「楽園追放」とかは本当になんともいえない居心地の悪さが合ったわけですが、後半の「楽園(自宅)追放」はいつもの不徳のギルドが帰ってきたという。
楽園って自宅のことだったのかよ!
ということで、一番の功労者のはずなのに自宅という楽園を失ったキクル……どうなるんでしょう?
では、ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
サン姉さんの貴重な漏れ……泣きが……いえ……あの……可愛らしい姿やいつもの女王様っぷりを見て自宅を奪われたくなったならば↓コチラ↓からどうぞ!
そんな不徳のギルドの最新刊(25年1月時点)を見たくなった方は↓コチラ↓からどうぞ!