【逃げ上手の若君】第六回『盗め綸旨、小笠原館の夜』――あなたからもらった宝【ネタバレ感想】
犬追物の決着。手に汗握る弓矢対決……技術も体格も経験も、圧倒的に不足している若君でしたが、持ち前の逃げを駆使して小笠原貞宗を撃破。さらには逃げながら弓を射る技も身に着けた。
一件落着かと、一息つきたかったわけですが……英雄のもとには騒動がつきもの。貞宗が今度は諏訪の一部の領地をもらうという帝からの綸旨を携えてきた。
一度領地を渡してしまえば、二度と戻ってこないでしょう。
あせる諏訪の領民たち……そんな彼らを救うべく、若君が立ち上がる!?
まぁ、立ち上がったと言いますか、依頼されたと言いますか。綸旨を盗み出そうと盗人とともに屋敷に侵入します
※諏訪の民たちを助けたいというのは本当でしょうけど。
協力者の盗人がこれまた面白そうな子なのですが、まだ他の郎党とは違い、心から信じるには躊躇しそうな相手です。素顔は狐の面で隠され、特殊な技術での変装は見事。しかし誰にでもなれるがゆえに、若君は彼のことを疑ってしまい……?
なんだか二人の仲が深刻そうなのに、敵方にこれまた厄介なヤツがいることも判明した前回。
闇夜の中での聴覚が優れた存在との鬼ごっこは非常に危険。どうくぐり抜けるのか、一目散に知りたくなったならば↓コチラ↓からどうぞ。
盗め綸旨、小笠原館の夜
前回のあらすじ
若君の射撃ポーズが格好いい。
北条の残党の捜索件をめぐる小笠原貞宗との賭け。その対象となった犬追物の勝負に出ることになった時行。
頼重の策により途中までは順調だったものの向こうの腕が上で、追い詰められていくが強敵からの逃げは時行に逃げながら弓を打つ方法を編み出させた。
一度は追い払った貞宗だが、今度は諏訪の領地没収の綸旨を見せてきた。
頼重は時行にとある盗人を紹介し、そのものとともにその綸旨を盗み出してほしいと頼んだ。
盗人玄蕃は金以外は信じないと良い、盗みの条件として時行も共に屋敷へ侵入することを提案し、時行は了承してついていく。
侵入は順調だったが、とある男が二人の侵入に気づき……?
前話より
床に這う耳デカ男。
今回のポイント
耳はマシかと思ったけど、キモいのはキモかった。
- 唐突にタメ口にもなる耳……タメ耳
- たとえ裏切られても、自分からは裏切らない
- パトカー案件かもしれない
- 尊氏という名の化け物
天辺から底辺までの話。
追い込まれた時、あなたならばどうするか
炎。屋敷のあちこちにたかれた篝火と、兵士たちの足元が映されます。あの耳男助房によって侵入に気づいたからでしょう。
あわあわあわっ。
やべぇぞ、時行! 侵入気づかれた!
ご安心ください。玄蕃が気づかれたことに気づきます!
冷静にここから出るぞと告げる玄蕃。それに対して若君は、彼を疑ってしまったからか、罪悪感を覚えた顔をしています。
しかし玄蕃の声はいいですね。子供なので可愛らしさもあるのですが、同時に格好いい感じもして……それでいてふざける時はとことんふざけた明るい声で……素敵!
玄蕃はまだ郎党ではなく、若君の命を守ることはしない。死にたくなければついてこいと言うだけ。実際、ピンチになったならば若君を置いていくことでしょう。
そんな玄蕃を見上げた若君は、無礼だとか言うことはなく、布で髪を上げるのですが……顔を上げた時の目を細めた一瞬! ここを見てください。なんとも色気がある! その後の気合のこもった顔はただ可愛らしい、という感じなんですが……若君の姿に狂った人たちの反応で炎上しただけのことはある(感心)。
どこに感心してんだ!
ここでOPに入ります。このOPもなんだか癖になるので、いつかちゃんと語りたいところ。
耳は喋る。
逃げ上手の若君の特徴? というか。原作者の先生の特徴と言って良いのかは分かりませんが、ちゃんと『敵が優秀』というのがあります。
ん? 敵が有能って当たり前じゃ?
いやぁ、意外とそうでもないことってありますよ。
ただ威張っているだけで無能な敵とかね。
しかしこう、ちゃんと敵が優秀である、というのは良いですね。敵のデザインが中々にグロさがあったりするのですが、能力もちゃんと優秀というところがよりハラハラ感と、倒したときの爽快感を生み出してくれるわけですが。
助房が部下たちを引き連れています。ボイスが無駄に格好いい。
蔵を取り囲むわけですが、玄蕃たちも気づいているため……完全に包囲される前に爆破という派手なことをしながら飛び出てきます。
玄蕃はさらに何かを投げます。どうやら煙幕のようで、殆どのものが玄蕃たちの姿を見失います。
そんな中、部下の一人から弓を奪うように手にする助房。
聞こえるって、おいおいおい、まさか。こんな中で当てられるのか?
それもありますが、この『聞こえる』の表現方法良いですよね。縄を登っている若君の姿を映しつつ、ぐるぐると回っているのが耳も表していて……。
ちょっと言葉で伝えにくいですが、目ではなく、耳で若君たちを捉えている、というのが分かる感じがして私は好きですね。
そして放たれた矢は、若君の衣服を壁に縫い留めるように刺さります。
驚く玄蕃と若君ですが、弓の腕自体は貞宗に及ばない、と悔しがる助房。この闇夜でそこまで撃てたら大したものだと思いますが、それだけ貞宗が異様ということでもあり、一度勝ったとは言え直接の対決ではないので、今後の対決も楽しみになってきますねぇ。
兵士たちが屋敷の外へと向かっていきます。亜矢子と狐次郎は先程の爆発などが玄蕃からの合図だと、馬を駆っていきます。囮のようです。
二人共見事な乗馬技術だな。
素人ではありますが、乗馬の姿勢が美しいと感じました。馬の動きにも違和感なく、ぬるぬる……イイ。
戦国ものというのもあるからか。ここらへんの描写もこのアニメは丁寧な気がしてすごく好きです。物語に直接絡むことではないとは言え、馬とかに違和感覚えるとちょっとね。
火を掲げ、屋敷の外を捜索する兵士たち。右往左往する彼らを横目に、助房は冷静に考えています。馬の鳴き声や走る音はするものの、塀からその馬までを駆け抜ける子供の足音、はしなかった、とね。
あー、たしかに。
大人と子供じゃ足音の重みは違うか。
歩幅もどうしても違いますし、侵入するため軽装備でもありますしね。
すぐ近くに潜んでいる、ということに気づく助房が手を伸ばす……その先に描かれる若君と玄蕃。
玄蕃は仮面つけていますが表情が分かっていいですねぇ。ハラハラするぅ。
正確にある程度の場所を予測する助房。怪物から逃げるホラー映画な雰囲気を少し感じます。
これぞ隠れ鬼、逃げてるって感じるなぁ。
そうですね。今までも『逃げ』ではありましたが、今までで一番逃げてる、隠れている感じは強くするかもです。
庇護者である頼重もいませんし、最初の鬼である伯父は逃げつつも自分から倒しに向かいましたし、牛鬼は偶然出会い、貞宗との犬追物は逃げと言うより『避け』であり『攻撃』と、今まではゲームで言うところの避け※タンク的な感じでしたからね。
※ゲームでのチームプレイで、敵の注意を引きつけて積極的に攻撃を受け止める盾となり、味方全員を守る役割のこと
基本的には今後も若君の役割はこの避けタンクになるのでしょうが、今回のお話は相手に姿を見せないところからして、本当に隠れ鬼。有名な某ホラーゲームの青い鬼さんがちょっと頭に浮かびました。
話がそれましたが、玄蕃もまた考え込みます。彼が得意としているのは視覚を使っての騙しだそうで、助房の地獄耳には通じません。今更ではありますが、若君を売ろうか、などとも考えます。
逆に言うと、それまでは売るつもりはなかったってこったなぁ。
世間知らずをからかいたいだけだったそうですが。
でも本当は、誰か味方を求めていた、とかだと個人的にはとても燃えるのですが、その内心は彼のみぞ知る。
玄蕃の脳裏には、自分が若君の姿に化けた時のシーンが思い浮かんでいました。自分を疑う若君の姿が。
だから彼はほくそ笑み、ここに若君を置いていこうと決めます。
たとえどれだけ心が揺さぶられようとも、自分からは決して……!
立ち上がる玄蕃に、若君は驚き、そして焦った顔をします。こんなピンチの中に置いていかれたら当然そうなる……かと思いきや、それは何も置いていかれることへの恐怖や焦りではありませんでした。
焦りの表情が病んだようにも見えるので、病み顔好きにはたまらなかっただろうなと思います。
注目するのそこかよ!
ってか、いねーだろ、そんなやつ!
親方……世界は……広く、奥深いものですよ。
!?
自分だけなら逃げられると自信を持っている玄蕃。それは逃げ足というよりも、音を立てずに動ける、と思っているから。自分の動いた音には気づかれない、とね。
またここの表現方法がいいんですよ。玄蕃の心の中の声と若君の心の声が交差していて、原作を知らない初見勢からすると「若君、そりゃ裏切られたらショックだよな」という風に最初は思ってしまう。
しかし若君は「隠れ鬼ではこの距離で動くのが一番危険だ」というのをよく知っていたのです。だからこその焦りだったのです。
南北朝鬼ごっこ、という文字と刀を構えている助房、そしてそんな助房の刀に首を捕らえられているような玄蕃。
そして喋りだす、耳! キモい!
は?
耳が喋るって何……耳が喋っとるー!
玄蕃が気づいた時には刀が振られており、闇夜に血が飛び散ります。
が、完全に振り切られることはありませんでした。大太刀(野太刀? ちょっとハッキリ聞き取れませんでしたが、たしかにかなり大きめの太刀に見えます)が木に刺さったからです。
よくあるファンタジーでは木ごと切られていますが、たしかに現実だとこんな大きな刀では木々が生い茂る中は小回りがきかなくて不利ですよね。刺さった刀を抜こうとしている助房を尻目に、走り出す若君と玄蕃。
転げるように逃げる若君の……その背中にはハッキリと赤色の線が斜めに走っています。どうやら玄蕃をかばって切られてしまったようです。
うおおおおおっ時行ぃぃいいいいい!
幸い、刀が木に当たったこともあり、かすり傷だとすぐに立ち上がって走り出す若君に、玄蕃はなんでだと問いかけます。玄蕃は明らかに若君を見捨てようとしてました。
若君は、疑ってしまったことを謝りたいのに玄蕃が死んでしまっては詫びれないから、と言います。
そう言われた玄蕃の、無言で目線を下げる姿が彼の葛藤を表しているようですね。
若君は、かすり傷とは言ったものの、傷が響くのでしょう。頬には弾のような汗を浮かべ、苦しげに眉を下げて口を開け、痛みを堪えるように胸の付近を掴んでいます……が、この若君を上から見下ろしたようなドアップ……スタッフ、分かってるぅ。
若君はそんな中、普段よりも苦しそうな声で「自分はこころも体も弱い」と言います。だからきっと今後も玄蕃を疑うだろう、と。それでも
「それでも、私からは絶対に君を裏切らない」
裏切られまくった若君が口にすると、重みが増しますね。
うおおおおおっ時行ぃいいいいいいい!
玄蕃と一緒に逃げるのが楽しく、自分ひとりでは逃げられない鬼からでも玄蕃と協力すれば逃げられると考え、期待が湧く。
一緒に逃げているところの描写、詳細は述べませんががこれまた良いです。是非見ていただきたいですし、なんといっても蔵から逃げ出す時に布を頭に巻く場面がありましたがそこの続きの表情が描かれていて、続きあったんかい! とツッコミ入れつつもこの表情が若君らしくて良い!
キリッとした顔で終わっていたのかと思いきや、あの後で笑顔を浮かべていたのです。さす若。
「たとえ君が絶体絶命でも。
たとえ君が裏切っても。
逃げる時は、必ず一緒だ」
わあああああかぎみぃぃぃぃぃぃぃ、可愛いいいいいいいい!
いいセリフといい顔……ってうるせぇ!
と、思わず叫びたいくらい、今回の話で一番の良い笑顔を浮かべる若君なんですが、ただただ笑うだけでない、体の動きが良い。
前方を見ながら走っていた若君が玄蕃の方へ顔を向けながら言うのですが、ちょっとくどくない程度の体のくねりといいますか、首の傾げと言いますか……いやっ、とにかく見ていただいたらわかります!
私のこの足りない言葉で若君の表情や動きが気になった方はぜひとも↓コチラ↓からどうぞ! 見ていただけたら多分分かっていただけるかと。アニメならではの動き、最高でした。
盗め綸旨、小笠原館の夜
衝撃を受ける玄蕃。そして背景が輝き、影絵風の雰囲気があるイラストが出てきてナレーションが若君について語ってくれます。
うおおおっなんだこの表現方法! いいなぁ、これ!
細かい描写は省きつつも、若君のことだと分かる表現とBGMにナレーションが組み合わさって、いい雰囲気ですよね!
最後、走る時行の影が郎党たちの影になるのもいいぜ!
私はあまり原作について詳しくありませんが、原作をリスペクトしつつも、アニメならではの表現に置き換えているのが、ホント好きです。
目と耳VS狐
そしてとうとう出てきた貞宗。とはいえ、今は夜。夜目はあまり効かないと悪態をつきながらも見事に馬を走らせている彼でしたが、そんな彼の後ろに突然乗ってくる誰か。
市川助房です。
なんで抱きついてるんだ!?
これが親父ラブ?
という冗談はさておき、さり気なくタメ口の助房……いいキャラしてる。
タメ口を気にしている貞宗と、キモいくらいの満面の笑みの助房。相変わらずやたらと二人の距離は近いです。
隠してある馬へと向かっている若君と玄蕃。しかし出血が多いのか、若君の顔色はあまり良くありません。よくありませんが、息苦しそうな若君にエロすを感じてすみません。
と、そこへ放たれる一本の鋭い矢。玄蕃が雷かと思うようなその矢を、避けた若君。色っぽい。
この避ける瞬間、スローモーションで見ていただきたい。若君、めっちゃいい表情してます!髪の流れ方も良い!
絶対普通に見ていたらはっきりと見ることが出来ない表情までちゃんと描いているアニメスタッフ。こだわりがすごい。
玄蕃はただ呆然としている感じだから、時行の避ける能力の高さが浮き彫りになっていいな。
しかし刀では切れなかったのに、矢では割れる木……。
そこはツッコんでやるなよ!
若君にはわかりました。間近で見たその矢を誰が放ったのか。そしてやっぱり苦しそうな若君がエr
それはもう良い!
玄蕃としてはまさかと思うわけです。この闇夜でそんな距離を正確に撃ち抜けるはずがないと。
情報通でしょうから、貞宗の弓の技術に関しては知っていても、知っているのと実感するのはまた別ですし、今は耳の助房もいるのでなおさらでしょうね。
しかしそれよりも問題は、若君の体力がもう限界に近いということ。馬までは未だあるにも関わらず、若君は倒四つん這いで荒い呼吸を繰り返しています。
そして弓を構える貞宗。の目元で助房の耳が手負いの方をやろうと言い、貞宗の目玉がそれに同意します。
……自分で書いていて、ここらへん未だによく分からないのですが、慣れる日が来るのでしょうか? 耳と目が喋るって何?
玄蕃は舌打ちして走り出していましたが、別にそれは若君を置いて逃げたわけではなく、目に見える借りは返さないといけないからだ、と苛立たしそうです。
そして月を背景に「おもしろ合体」しているおっさん……あ、いえ。おじさま方の前に姿を表す玄蕃。まとめて相手してやる、と顎を上げて見下すように言ってのける玄蕃は格好いい! 木の枝に手を絡めているのもいいですねぇ。
ファンが出来そう!
ここで玄蕃を見た助房は玄蕃の正体に気づきました。玄蕃の父親、という話が出てくるので前回の話に出てきた仮面の男性は玄蕃の父親だったみたいですね。
風間は諏訪氏の関係者ではあるんだな。
玄蕃は父親の代に一族を追放されたみたいなので、関係な……いや、若君のことが気になったのはそこら辺もあるかもですね。
玄蕃は犬のような仕草でおちょくります……いや、狐面だから狐のマネ? ただ私、そんな狐には詳しくないのでとりあえず犬っぽい動きということにしておきます。すみません。狐についてまた今度調べておきます。
別にいらねぇよ!
話しつつも玄蕃を狙う貞宗。その位置を正確に伝えようとする助房ですが、直前で玄蕃が木を蹴った事によって多数の鳥が飛び立ってしまい、あちこちからする音に錯乱してしまいます。
音に敏感すぎる弊害ですね。
これが例えば殺し合いの場であったならば、玄蕃に勝ち目はなかったでしょう。しかしこれは化かし合い。どちらかというと思考が硬い武人である貞宗たちにとってはなんでもござれの玄蕃は相性が悪い。
玄蕃の動きは武士たちとはまったく異なり、さらに言えば暗闇は貞宗にとっては天敵。玄蕃に翻弄されます。周囲をまるで幽霊のように飛び回る狐面。
が、そんな中でうろたえるだけの貞宗ではない! というのが良い!
おおっこんな中でも冷静に弓を放ってるな! 敵ながらあっぱれだぜ!
矢は現場に当たり……当たったかと思いきや、貞宗にくっついているはずの助房が姿を表して貞宗の名前を呼びます。もちろんその声も助房のもの。
瞳にハートマークが浮いているのは原作再現なのかアニメオリジナルかは分かりませんが、なんか好き。
さすがに動揺してしまった貞宗。
玄蕃は助房の顔のまま縄? のような何かを振るい、貞宗の弓の弦を切ってしまいます。卑怯だと叫ぶ貞宗ですが、玄蕃がそんな言葉気にするわけもなく。
たしかに玄蕃が言う通り、若君ならばこういう仕掛けに目をキラキラさせそう。
いつの間にか木々の間に張られていた縄が貞宗たちの体を馬から落とさせます。
紙は燃やして遊ぶものだと言う玄蕃。その背後に見える屋敷からは……篝火だけでない出火が見えました。よく萌えて、燃えてます。
絶叫する貞宗。
屋敷の出火を背景に、忍びについてのナレーションが入ります。
へぇ。忍びの表記が出始めたのはこの時代からなのか。
文字として残らなかっただけな可能性はありますが、少なくとも発見された記録の中では太平記が最古なんだとか。
武士の価値観ががらりと変わった時代ということで、若君と玄蕃こそがこの時代に適応できる人間、と言っても良さそうですね。どこかの伯父ではなく。
と、火に気を取られている間に玄蕃は姿を消していました。そして助房の耳は囮たちが手負いのものに近づいているのを聞き取ります。
貞宗は弓を構えようとしますが、弓の弦が切れていてはどうしようもありません。
玄蕃の術中にハマったと叫ぶ貞宗ですが、やられた側でありつつもしっかりと強者感があって良かったですね。彼と正面から戦える日が楽しみです。
ボロボロな若君を見た亜矢子と狐次郎は玄蕃に文句をいいますが、若君は玄蕃のおかげだと、楽しかったなと笑います。
玄蕃の脳裏には、亡き父の言葉が思い浮かびます。もしも主を見つけたならば、という。そして若君の馬に飛び乗ります。頭に乗られた馬の表情が可愛い。
国一つで契約、か。
折れたな。
不払いは許さないとか、払えなかったら子供や孫にも請求する、という言葉は普通だと脅しなんですが。
時行のやつ……自分の子供とも遊んでくれるのかって、きっらきらしてるなぁ。
若君は結構大人びた表情をすることが多いのですが、こういうところを見ると子供らしくて良いですよね。可愛い。
忘れがちですが、まだ10歳にも満たないはずですしねぇ。
しかし、これで郎党にもツッコミ役が増えて、安堵できますね。若君も結構ボケ気味ですし。
安心するところそこかよ!
見事初依頼達成な逃若党
後日、諏訪領地へやって来た小笠原の兵士たちを、諏訪の民たちは追い払います。追い払いたいなら綸旨を見せろ、とね。
つっても、また綸旨発行されたら終わりじゃ?
それが、大丈夫になったみたいです。
というのも、綸旨を発行してくれる京都にはすごい行列が出来ていました。自分こそが北条討伐において多大な活躍をしたのだ、という報奨目当ての人々が。
もちろん大半が嘘の証言とは分かっていても、中には本当な場合があります。そして真実であるにも関わらず報奨をくれなかった、というのは恨みを買うこととなり、それはあらたな火種にもなるのでちゃんと調べないわけにも行かない。
全部の真偽を調べていたらいつ終わるかわからない状況でした。
そして光とともに帝が「めんどい」と言ったことで、北条家以外の土地は現状維持、となったのでした。
ここで子どものように悔しがる貞宗と、なだめる助房(しれっとタメ口)たちが……なんとも良い。敵でキモいところもあるけど愛着が持てる。
愛着持てる敵って大事だよなぁ。
憎める敵も重要ですが、こういう存在も必要ですよね。
諏訪では小笠原たちを追い払ったとして勝利の宴が開かれていました。
頼重が時間稼ぎ、と言っていたのでひとまず綸旨がなくなればこうなる、というのが分かっていたのでしょう。
若君の傷の手当をしながら感謝の言葉を述べる頼重に、若君はどこか自慢気に笑って上機嫌に体揺らします。可愛い。
狐次郎が玄蕃の加入は心強いといい、それで尊氏を暗殺できるんじゃとまで言いますが……ここで頼重が表情を変えて尊氏について話し出します。
尊氏は暗殺では殺せない、か。
笑顔の化け物
後醍醐天皇の皇子『護良親王(もりよし・しんのう)』が尊氏を襲撃します。
とてもイケメンですが、うp主はそれよりも「なんて読むんだったっけ」と焦ってました。
知ってたんですが、喉から出てこなくてマジで焦りました。
尊氏に啖呵を切る護良親王に対し、尊氏は笑顔で将軍就任への祝を口にします。
おいおい、会話が成立してねぇぞ。
ちなみに何度も尊氏の命を狙っているそうです。
護良親王は尊氏の笑顔に対して何かを感じていたそうで、必ずそのうち父である帝に逆らう時が来るから自分が倒す、とのことです。
そうして護良親王が連れていた者たちと尊氏が戦うのですが、その武力は圧倒的で。
ですが圧倒的でありながらもどこか不気味さを感じさせるその武の表現が圧巻です。横にされた刃。その向こうに描かれた護良親王の配下たちの首が切られます。真っ赤な血がまるで滝のように流れる中、戦っているとは思えない優雅な佇まいの尊氏と、不思議な魅力を感じる音楽。
この音楽……美しい気もするが、不気味さもある。不快さを覚えるようで、耳に優しい気もする……たしかに不思議かもな。
それらが一体となって醸し出す雰囲気……うーん、これはすごい。
どんな音楽とどんな描写なのか気になった方はぜひとも本編をご覧ください。
盗め綸旨、小笠原館の夜
そんな尊氏を見た護良親王は、自分の直感は正しかったと確信します。尊氏は化け物だ、と。
まるで子どもと遊んでいるかのように首を落としていく尊氏に、それでも立ち向かおうと知る親王。
しかし相手にはなりません。片手間に親王の相手をしながら全員を殺した尊氏は、親王の刀を素手で受け止めつつ、親王の方へ向いて膝をついて頭を下げました。
個の武では叶わないと思い知るものの、味方と強力すれば倒せるはず。そう期待をする親王を絶望に引き落とすかのように、騒ぎを聞きつけ駆け寄ってきたものたちが、皆が皆尊氏の元へとかけよりその身を心配するのです。
血だらけのその場所は非日常であるにも関わらず、皆自分も血だらけになりながら尊氏を案じ、親王の方を見ません。
ここらへんになってくると音楽は本当に不気味なものになっていき、壁にまで血が飛び散る中で「きゃー、尊氏様よ」という黄色い悲鳴がなんともそぐわず、さらに不気味です。
そして親王が言う(心のなかで)には、昨日まで味方であったものたちが尊氏に駆け寄っていったようです。
重たい音とともに門が開きます。その門の先には帝がいます。
親王は呆然としながらも『扉を開けてはいけない』と悲痛に叫ぶのですが、尊氏の名を口にする大勢に押しやられ、その声はかき消されます。
白黒で描かれる大勢の住民たちと、カラーの尊氏(笑顔)と親王(絶望)がなんとも言い難い魅力で惹きつけられます。
帝と叫ぶ親王と、そんな親王の方を振り返り、先程までの満面の笑みとは異なる表情で笑う尊氏。背景に描かれた菊。彼の足元には沢山の人?
うぁぇ、綺麗だけどなんかこえー。
芸術性を感じさせるのに、笑顔なのに……怖いですね。
そして帝らしき人物の手が赤子から伸びたへその緒をきる描写があるわけですが、おそらくこれは自身の子より尊氏を選んだという意味、かな?
この不気味さが、アニメ調とはまた異なるあのこのアニメお得意の違う塗りや雰囲気と調和させながらじっくりと描かれます。
特にセリフなどないにも関わらず、飽きないどころか目が離せなくなる。いやマジですごい。このアニメで使われた絵が直接見たくなりますね。
そして再び場面は諏訪へ。
悲しそうな顔の若君。残念ながらもう服は着て……という変態チックな発言は慎むことにしますが、笑顔の若君とそんな若君を抱き上げて笑っている尊氏の姿がとても自然で美しく見えるだけに、なんとも言えない気持ちになりますね。
本当に、尊氏の目的がわからない。
京都の権力争いで、帝の御子に圧勝って、やべーな。
しかし頼重の情報網はすごいですね。やはり朝廷に味方がいそうですが、親王が味方だったのか。別の人か。……そこも気になるところ。
頼重は真剣な顔で、そんな頂点と言って良い男に立ち向かう覚悟はあるのかと、改めて問います。
若君も狐次郎も真剣な顔をする中、亜矢子がそこへ駆け込んできます。緊急事態のようです。慌てて真剣な顔のまま立ち上がる若君。
亜矢子が言います……玄蕃をなんとかしてくれ、と。
一体今度は何だ!
小笠原が攻めてき……は?
玄蕃が酔って巫女にセクハラしまくった上に部屋中を飛び回り、小便撒き散らすといいながら何かを振り回しているそうです。
何を振り回しているかはあえて言いません。察してください。
そしてアニメスタッフ。その何かへとカメラを寄せていくのは止めなさい。
大暴れの玄蕃に怒った男性たちは今にも刀を抜きかねないみたいで……そんな頂点の話から底辺の話になってしまった若君。真っ白でふやふやした顔になってます。
狐次郎が呆れながら向かっていく背後で、頼重も珍しくふやふやした顔になっているのが面白い。
若君も向かおうとするのですが、頼重に先程の返事をします。その返事がまたいいんですよねぇ。
ここも詳細は述べません。ざっくり言うと頼重への感謝の言葉であり、彼から貰ったものを宝と呼び、どれだけ尊氏が強かろうとその宝を集めて立ち向かう、と。
ガッツポーズする若君が可愛すぎて辛い。
最後、ワチャワチャしつつもナレーションが良い感じに閉め……てくれそうだったのに、何かを振り回す玄蕃のドアップで終了です。
いい話だったのに台無しだよ!
まとめ
ということで無事に綸旨を盗み出し(燃やした?)て時間を稼ぎ、その間に領地問題は無事に解決した上に、強力な味方も手にした若君。
すべてがすべてばんばんざいかと思いきや、京都では護良親王が権力争いで尊氏に敗北。その武は圧倒的であり、求心力もまた異常。何を企んでいるのかわからない不気味さを伴っています。
そんな尊氏に何かを振り回しながら詰め寄る玄蕃……。
ちげぇよ!
衝撃強くて記憶が変になってるぞ!
ハッ、失礼いたしました。
ともかく、改めて敵の強さを再認識した若君ですが、頼重がくれた様々な宝を手にして向かっていくだけだ、と言うのでした。
しかし今回はいつも以上に若君の色気が目立つお話でした……こりゃ目覚めちゃう人出てしまうな……。
だからあんまりそういう発言やめろ!
今、いろいろ厳しい世の中なんだぞ。
そんな世知辛い世の中にしょんぼりしつつ、今回はここまでです。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
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盗め綸旨、小笠原館の夜
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