【逃げ上手の若君】第二回『やさしいおじさん』――始まる乱世の鬼ごっこ……兄の応援の声が届く【ネタバレ感想】
ということで、『逃げ上手の若君』の第二回をやって行きたいと思いますが、前回もお伝えしたようにまぁ、そこそこにグロい描写があります。
それは肉体的なグロさ、流血もそうですが、行為や出来事に関するグロさもあります。えげつない、と言ってもいいでしょう。
今回はとある人物の行動が非常にアレです。それによってまた別の人物が……となって……「いやでも少年漫画だし。ご都合展開が」という望みは、届きません。
歴史上に起きたこととはいえ、そんなお話ですので、人間の醜さ・苦しい描写が苦手な方はお気をつけください。
そういうものを含めてエンタメとして楽しめる方は今回も大盛りあがりな展開がありますので、↓コチラ↓から実際に見てみてください! ぐぅっと来るし、とある男への怒りが爆発しますよ。
前回のあらすじ
逃げる若君の笑顔が曇る時、英雄は目覚める。
時行は訓練から逃げていた。自分にそんなものは不要で、お飾りな存在でも愛する鎌倉の土地と、そこに住む人々とともに生きられればそれで良かった。
しかし足利高氏の裏切りにより、あっという間に鎌倉は敵の手に落ち、炎に包まれた。
父たちと共に死ぬのだと言う時行だったが、父親から時行のことを任されたという頼重の手により、自身の中に眠る生存本能に気付かされ、生きる喜びを知った。
こうして殺すことで英雄となった高氏と、逃げることで英雄となる時行の物語が始まるのだった。
前話より
つらい。けど、若君はやはり可愛い。
今回のポイント
若君たちが可愛ければ可愛いほど、やつの醜さが目立つ。
- その男の笑顔は、人の皮を被った悪鬼のごとく歪み
- 月夜に佇む少年の姿は儚げで美しく
- 大切な人へ捧げる一振りは、月夜に輝く
史実で残っている出来事。それでもやるせない。
しょっぱなから「嘘だろ」と言いたくなる展開
木々が生い茂る闇の中。松明を掲げる一団がいます。旗を背負っていることから、一般人と言うよりはどこかの武将に従う兵士の集団のようですね。
焦って逃げているような素振りではなく、周囲を伺っているところからして、何かを探しているように見えます。
探してる……ということは、こいつらは北条を裏切ったほうか。残党を探してるってところか?
おそらくそうでしょうね。
必死に身を隠しているのは、時行の兄、邦時。なんとか生き延びていたようです。
息を潜めている邦時に声をかける男が一人。五大院宗繁。邦時の血の繋がった実の伯父(邦時の母の兄)になります。
※伯父と叔父では意味が異なりますので注意。叔父だと邦時の母の弟になります。
邦時は実の伯父ということもあって安堵したのか、矢継ぎ早に質問します。この時、弟の時行のことも話題に登り、諏訪頼重の手で逃されると聞いている、と宗繁は返します。これ、何気ないですが結構大事だなと思ったりします。
この作品の中では時行が跡取りという扱いを受けているため、そんな大切な跡取りの行く先を伝えられている、ということは主から信頼されていたということでもあるでしょう。そこまで意図しての描写かは分かりませんけど。
まぁだからこそ、長男の邦時の護衛を任されたのもあるだろうしな。
そんな二人に迫るのは、冒頭に出てきた一団です。不安そうな邦時。伯父の宗繁が自分が行ってごまかす、など格好いいことを言うわけですが。
一団に近づいて何かを話す宗繁は、邦時の方を指差し、彼らから背中をぽんっと叩かれます。まるで「よくやった」というかのように。
一団が、邦時へ向かって歩いてきます。
邦時が驚いて伯父を呼びますが、宗繁は笑うのです。なんとも醜く響くその笑い声。やがてその顔は歪みに歪み、鬼のようになるのでした。
えっ? おいっ? まさか!?
そ、そんなこと……ない、よな?
……さて。若様はどうなったのでしょう。
嘘だろっ? なんとか言ってくれよ!
歴史は変わらない。……邦時の喉が張り裂けそうな叫び声が、心臓に刺さります。
若君に襲いかかるのは、裏切りの連続
なんとも不穏なシーンから暗転し、またあまり良くないような声。必死に逃げるための乱れた呼吸の音。甲高いその息遣いの持ち主は若君こと、北条時行。
真っ赤に燃え盛る中を、彼は必死に走ります。
アニメでのここの描き方が筆で描いたような、良い粗さがあって、より必死な感じが出ていて好きです。
これってどう考えても夢、だよな。
いや、まぁそうか。うなされるよなぁ。
ちなみに漫画版ではこの夢のシーンはないですが、より凄惨さや若様の苦しみが伝わってくるのでアニメぐっじょぶですね。
とはいえ、子どもの悲鳴じみたこの呼吸音はなんとも痛々しくて、聞いているだけで苦しくなりますが。
まだアニメを実際には見ていない方は是非見て、聞いて欲しい。大人の声でも心苦しくなるでしょうが、子供って考えるとより、ね。
しかし夢の中で響く「時行様ー」という頼重の声とギラびやか(誤字ではなく)な笑顔も、別の意味で悪夢ですね。
現実においてもやはり若君は寝苦しそうにしていました。無理もありません。そんな若君に迫るギラびやかな笑顔の男。爽やかな声も出せるはずなのに、全然爽やかに聞こえない「時行様ー」の声がこれまたいい味が出てる。
ちなみにめっちゃ後光が強すぎて眩しいので、色や光に敏感な方は頼重対策にサングラス用意したほうが良いかもですね。
なんの忠告だよ!
しかしこの『逃げ上手の若君』のアニメは、アニメ調のタッチと筆のようなやや古風さを感じさせるタッチを同じ場面で同時に使って、独自の雰囲気出している気がします。私が知らないだけかもしれませんが。
日本画と現代の絵をいい具合に融合させたような、そんな雰囲気です。
※と、偉そうに言ってますが日本画について詳しくないです。すみません。
ここの後光部分もよく見るとそういうタッチで描かれ、手前に映っているワラ? もそんな気配がします。そういう目線で見るのも面白いアニメですね。
で、可愛い寝顔だなぁなどと楽しげな雰囲気の頼重に雫が目を押さえながら注意します。悪夢にうなされているのだと。
って、おい。子供の寝顔を見るのが好きだからって。
いやでもわかりますよ。子どもの健やかな寝顔は癒やされます。
……うなされてる姿は胸が苦しくなりますが。
しかしコンプラが厳しくなった昨今。大丈夫な発言なの? とか思ってはしまいますが放送されてるので大丈夫だったんでしょう、きっと。
このあとも、ほっぺにキスするくらいなら良いだろう、とかたぶん欧米ならアウトかもですね。
ちなみにこの「キスするくらいは」と言っているシーンは頼重の不気味(褒め言葉?)な顔のアップになっていて、背景は赤と黄色ですがアニメ調ではなく、水彩画というか筆で描かれた感じなので色合いに対しては若干優しい雰囲気でありつつも、「ギラ」という文字はそれはもうギラついたデザインとなっている上に、アクリルで塗られたようなとてもハッキリとした色合い。
しかしその輝く目から放たれる集中線は、やはり筆っぽいタッチ、という……本当にいい具合にいろんなタッチを混ぜてきていて、面白いです。
悪いな。銀づちこういうの好きだから、今後も突然饒舌になるかもだが、良かったら付き合ってやってくれ。
頼重のキスが迫る中、ぎりぎりで目覚めて天井へ逃げる若君。さすがの逃げ足。
そんな若君の格好は前回とは異なっており、神職っぽいものになってます。まぁ、あからさまに良いところの坊っちゃんという格好をするわけにはいかないでしょうからねぇ。
ここでちょっとファンタジー要素が出てきます。未来が見えるという頼重。変に未来の知識があるらしく、未来では「寝起きドッキリ」と言うそうだとか堂々と言ってのけます。
そして「てってれー」と言いながらドッキリの看板を掲げる雫ちゃんがすごく癒やし。可愛いよ雫たん。
時行の眼の前に立ちふさがる現実
ツッコミを入れた若君は、状況を説明してくれます。どうやらまだ鎌倉から出られていないようです。鎌倉の出口がかなり厳重に見張られているみたいで、中々出られないとのこと。
そりゃ向こうからしたら、不穏分子の北条の生き残りは徹底的に排除しておきたいだろうしな。
監視、という言葉に続く若君の心の声がなんとも切ない。
あちこちに見える御旗は見覚えのあるものです。自分の家の家臣だった者たち。
で、ここでまた漫画の一コマが流されます。
正直なぜわざわざ漫画そのままをここで持ってきたのか、私にはよく分からないのですが、もしかしたら1話につき1場面はそういうのを入れる方針なのかもですね。
幕府に忠誠を誓っていたはずの者たちが簡単に裏切った、と落ち込む時行。
これ、時行からしたら周囲が簡単に裏切ったように見えるわけですが、冷静な第三者。神の視点から見た時にはどちらが悪いとも言えない話だったりもするんですよね。
あとでも出てきますが、この時代は御恩と奉公の時代ですし、裏切りに対する考え方は正直現代と変わらないはずです。一度裏切った人は、その後、ずっと「裏切った人」という目で見られるわけです。つまり信用できない人になります。
そんな中、主君を沢山の人が裏切った。そう。裏切ったのは一人二人ではないのです。
これはそれだけ北条家に対する不満が家臣たちにあった、ということです。
父親の喪に服して戦いを断った高氏を無理やり戦場へ向かわせたとか、報奨があまり出なかったという話も聞きますしね。
それが本当だとしたら北条も「うーん」とはなるよな。
まぁ、現代なら他の方法がとかは言われそうだが。
現代日本ならストライキとかデモ行進とかでしょうかね?
もしくはSNSで袋叩き?
ネット怖ぇ!
とまぁ、その時の情勢だったりどちら側の視点に立つかで悪役がどちらかが変わってしまうわけですが、この物語は時行が主人公なのでどうしても高氏が敵にはなりますね。
ただ、この時点では高氏がどうして裏切ったのかは描かれていないので、この物語の高氏がどういう理由で謀反を起こしたのかは気になるところです。
燃え盛る中でなぜ半裸になっていたのかも気になります。やけどしちゃう。
それはどうでもいいだろ!
時行にとって高氏は、とても優しい存在だったようです。ですからその分、優しげに笑っていた裏で幕府を裏切る算段をしていたのかと思うと、余計にショックなのでしょう。
一見仲良さそうに見える二人の姿が場面にも映りますが、まだまだ高氏の描写が少なくて、彼が何を考えていたのかは分かりませんね。
しかしアニメ版だと高氏の瞳の色はすごく特徴的なんですけれど、これもなにか意味があるんですかねぇ?
と、ここで雫が若君を励まそうとしたのか。今は神職の格好をしているからごまかせると服装の説明をしてくれます。やはり服装変わっていたみたいですね。
ここで若君は頼重に問いかけます。鬼ごっこで天下が取れるとホンキで思っているのかと。
武士と逃げるってイメージ的にも結びつかないよなぁ。
暗愚と言われた高時でさえ腹を切って自害しているあたり、ひたすらに逃げて生き延びるというのは、当時の価値観とはたぶんそぐわないでしょうね。
時行と邦時は幼いからこそ、高時は逃がしたのでしょうし、子供故に逃げることはまぁギリ許されそうな気もしますが。
頼重ははっきりと頷きます。彼が言うには、時行が英雄となる姿がバッチリ見えているみたいですね。
だからとりあえず双六でもして過ごそうと頼重が取り出したボード(紙?)には「未来乃双六」とあって、その後の雫のセリフからしてどう考えても◯鉄です。ピーチです。
どうやら未来を見て彼が作ったものらしいです。
一緒にやろうと頼重は若君に声をかけますが、そこに若君はおらず……若君は頼重たちは信用できないと思いながら走っていました。
まぁ、あの言動で信用しろというのが難しいよな。
最も知りたくなかった事実
自分で幕府の生き残りを見つけようと、焼け落ちた鎌倉の街へと来た若君。炭になった家は筆で描かれたタッチで、そんな中を鮮やかな色合のアニメ調の若君が歩いていくのでより非現実感があっていい雰囲気です。
BGMが消え、何の音もしない(若君の音以外がない)中、何も声を発せずにただ周囲を見渡す若君の姿がなんとも悲しい。
と、誰かの話し声がしました。どうやら潰れた鎌倉の町からなにか金目のものでも手に入らないかとやって来た者たちのようですが、なにもないと言ってますね。
明らかに焼け落ちてますし、ほとんどはもう奪われたあとなのでしょう。
声に慌てる若君がめっちゃかわいい。
隠れようとしていた若君の耳に、二人の会話が届きます。二人組の片方が最近行われた処刑を見てきたそうなのですが、その処刑された人物が……北条邦時だというのです。
思わず否定しながら飛び出してしまう若君。声がかすれているのが悲しすぎる。
漫画版だとここで邦時が伯父である五大院宗繁によって逃されたと話を聞いていたという話が入り、家系図のようなものが表示されますが、アニメだとないので歴史に詳しくないと少し関係性がわかりにくいかもしれませんね。
そこらへんを知りたくなったなら、漫画版を読まれると良いかもしれません。ただ、漫画版では時行は正室の子とありますが、時行の史料は少ないらしく、正確な母親は不明(おそらく二位殿)という感じで、しかも側室だそうです。
という違いには気をつける必要がありますが、それでもここから歴史を学ぶきっかけにもなるかもしれませんし、気になった方は↓漫画版↓もぜひ見てみてください。アニメとはまた違う描写もあり、これはこれでいいんですよねぇ。
ピンチに陥った若君を助けてくれたのは彼を追ってきた頼重でした。
そして二人組から詳しい話を聞きます。なんでも邦時は伯父の手によって敵方に売られた、とのことです。
北条の子ですからね。斬首となるわけですが……この時にちらっと映る邦時の姿には殴られたあともあり……「おいたましい姿だった」という男の言う通り、本当に……痛ましい。
あああああ、まじかぁ。
ご都合展開来ないかなぁと、私も画面の前で祈ってしまいました。
そして若君は、ストレスからでしょう。嘔吐してしまいます。裏切りの連続は、幼い彼がすぐに受け止めるにはあまりにも重い現実でした。
信頼していた家臣たちの裏切りに加え、実の伯父の裏切りですからね。誰を信じたら良いのかわからなくなるのも仕方ありませんし、この絶望したような表情が……本当に苦しい。
落ち込む若君を励まそうとしたのか。頼重がまたギラ付いた後光と笑顔で若君を正気に戻します。そして五大院の姿が見える、といってそちらへと向かうのでした。
見えるって……めちゃくちゃぼやけてるがっ?
しかしこの雑さかげんがとってもいい。声をつけたり地味に動かしたりと、謎のこだわり見せているのがとても良い!
そして兄・邦時の仇を打つと決めた若君。これが英雄への第一歩、というところでしょうか。
兄の仇討ちと仲間
騒いでいる五大院宗繁がいます。
どうやら、実の甥っ子を我が身可愛さで売ったその所業が相手方にも忌み嫌われて報酬ももらえず、追い出されたそうです。
当然のことながら、いざという時に敵方に裏切るような存在など、誰も仲間にしたいとは思いません。だって自分も裏切られるかもしれませんからね。
なにか事情がある。もしくは事が起きる前から相手方に通じていたならまだしも、事が起きてからころっと裏切ってきた相手を重宝するなど愚かすぎます。
とくに戦乱の世なら、安心して背後を任せられない存在が味方にいるなんて恐ろしすぎますからねぇ。
時代によってはそういう裏切りの存在には報奨どころか、処刑をするということもあったという話も聞きます。
追い出されるだけで済んだのはラッキーくらいか。
もしくは本当は処刑されるところだったのを、逃げ出しただけだったのかも?
事実は分かりませんが、その行いが周囲に広がって誰も相手にしなかったというのがわざわざ文献として残されるくらいですから、宗繁が当時の人達に忌み嫌われていたのは間違いないでしょうね。
という、よく考えずともわかる理由から、このお話では追い出された五大院宗繁ですが、当人はその当然がわからないらしく、邦時が側室の子だったからかと考えます。
この『逃げ上手の若君』では若君こと時行が正室の子であり後継者ということになっているため、時行の首があれば今度こそ出世できると考えます。
うわぁ。清々しいほどのゲスっぷりだな。
そして声優さんの演技がすごい。格好いい声から情けない声、ゲスい声と、同じ登場人物と分かるけどという絶妙な声の違い……しびれる。
人生を双六に例えて、自分がいち早く上がるためには邦時「程度」じゃ駄目かなどと言っているので本当に人間として終わっていますね。
表情もね。人として終わっている描き方で……本当に清々しいほどのゲス男っぷり。
醜く歪んだ恐ろしいその顔はまるで鬼。
思わず若君も引いてしまうほどの顔です。
で、ここから敵を討つための準備をしていくわけですが、アニメでは丁寧に描かれています。そして漫画の方ではすでに登場していた若君の仲間となる登場人物たちの紹介が入ります。
女の子と男の子。どちらも若君と年齢は同じだそうですが、女の子は身長がかなり高いですね。亜也子と弧次郎。彼らは武芸に秀でているんだとか。
時行は武芸の稽古はサボっていたし、これから戦っていくなら一人ではどちらにしろ無理だからなぁ。
ここで完全にピーチ電鉄っぽい画像が流れます。ちょっと大丈夫なのかと心配になりますが、大丈夫だったんでしょう。
だいぶ未来の双六で遊んでいる子どもたちに若君のツッコミが発動します。
ちゃんとした挨拶に加え、仕える側の方の描写もはいるのでアニメだけで見ていても感情移入しやすくなっている感じがしますね。
月夜に舞う逃げ上手の英雄
夜。
神秘的な雰囲気が漂う中、若君が剣を手にします。
若君が一人だけのその場所へ、五大院宗繁が、なんとも情けない姿でやってきます。
アニメだと若干わかりにくいですが、漫画だと弧次郎たちの紹介がここで挟まらず、あの双六云々の続きがこのシーンになるのもあって、彼の思考が語られます。
時行の首を持って行く。そのために時行がどこにいるのかを考える。ずっと鎌倉で育ったのです。どういう場所で隠れるかについてはある程度予測が立つ。……そうして宗繁は若君の元へとやってくるのです。
やや木々が開けたその場所で、月の光を浴びて立つ若君。瞳に浮かんだ涙は誰を想ってのことだったのか。
まだ10歳にもなっていないはずなんですが、すでに美しさの片鱗を見せているのが恐ろしい。
に対して、時行をただの獲物としか思っていない宗繁の醜さときたら。
このあとの宗繁の演技がまたいいんですよ。間抜けな顔と間抜けな声に気が抜ける仕草。
駆け寄ってくる宗繁。その場に留まる若君。……しかしある程度宗繁が近寄ったところで、若君は「なぜ兄を売った」と問いかけました。
そして隠れていた亜也子と弧次郎が宗繁に襲いかかるも、それを防ぐ宗繁。どうやら、ある程度の武力があるからこその邦時の護衛でもあったみたいですね。
でもなんで半裸になるんでしょう?
で、ここで『南北朝鬼ごっこ』という表記が出てくるんですが、鬼の姿となった宗繁と若君の小さな姿。賽の鬼と名付けられたこの描写がすごくいい!
おおっかっけーな!ワクワクするぜ!
そしてこのバトルシーンがよく動く動く!
ちゃんとお金かかってるなぁと感心しました。
どこに感心してんだ! いやまぁ、すごいしそういうの大事だけど!
とはいえ、所詮は大人と子供です。体格は圧倒的ですし、経験値も足りてないでしょう。三人がかりだろうと押されます。
ここでさらにえげつない描写が出てきます。なんとこの宗繁。実の甥っ子を売りつけただけでなく、組み倒して殴りつけていたみたいです。処刑される瞬間、ぼろぼろだった邦時の姿はどうやらコイツが一番の原因っぽい。――いやほんとゲス。こんなに清々しいまでの悪役はそういないくらいのゲスっぷりですね。
しかも主君の子を売れる自分には適応力があるとか思ってやがるぜ……やべーな(頭の中が)
双六のような描写が入ります。その双六の先には時行の姿が。時行とは血が繋がらないとはいえ、遠慮なく襲いかかる宗繁。ほんとクズ。
追い詰められる若君。
が、頼重が亜矢子と狐次郎を呼びよせます。そして時行をよく見ろと言うのです。
時行は宗繁の太刀筋を読んで避けていきます。一歩間違えば死が待っていますが、それをどこか嬉しそうに避けていくのです。
んでもって、この上気している若君がマジで可愛いのなんのって。
つーかこの避けていく描写かっけーな! いいぜ!
こういうの大好きだ!
そして改めてそんな主君に仕えてみないかと狐次郎たちに問いかけ、彼らはそれに元気よく返事をし、再び戦場へ。
さっきまでは若君を守ろうとしていましたが、それではダメなのです。
とはいえ、攻撃の方はてんでだめなので隙を作って上げる必要があります。
一方で宗繁は避けるばかりの若君にいらだちを覚え、それでいて自分を見つめる目にゾッとしたものを感じました。これだけ逃げ上手なのです。もしも一生、逃げ続けながらクビを狙われ続けたらどうなるだろうか、と。
動揺したところに、狐次郎たちのフォローが入ります。守るのではなく、逃げる主君に敵を差し出すように、と。
そして月夜を背にした若君の一撃が、恐怖に叫ぶ宗繁のクビを落とすのでした。
普通は残酷な描写でウッと思うところなのですが
なんかコイツなら……と思っちまうな。
戦いの中で死ねたならまだいいのでは、という見方もできちゃいますしね。
兄の言葉
そして、場面は突然戻ります。それは二人で蹴鞠をしていた第1話のシーン。屋根の上まで登った蹴鞠が落ちてきたあの場面ですね。
飛んで転がった宗繁のクビとまたリンクさせてます。
平和だった頃の兄弟のやり取りの続きが聞けるわけなのですが、どんな会話をしたのかは……ぜひ本編で確認してみてください。
終わったあとだからこそ、ここを見ると……ものすごく、なんとも言えない気持ちになります。
とても短いんですけどね。うん。いえ、とても短いやり取りだからこそ……もっとこの二人のやり取りが見たかった、聞きたかったと思うのかもしれません。
まとめ
はいっ、ということで『逃げ上手の若君』第二回の感想をお届けしましたが、どうだったでしょうか!
- 主人公(北条時行。若君)
- 諏訪頼重(神官。なんかすごく光る)
- 雫(頼重の娘で巫女。クール?)
- 北条邦時(主人公の異母兄。伯父の裏切りにより処刑される)
- 五大院宗繁(邦時の実の伯父。主君から任された甥っ子を秒で売るも、敵方からもその所業を忌み嫌われる)
- 弧次郎(諏訪の家臣の子。刀使い。主人公と同じ年)
- 亜矢子(諏訪の家臣の子。薙刀使いで体格が大きい。主人公と同じ年)
今回の登場人物はこんな感じでした。そのうちの二人が退場ですが、歴史ものですから今後も退場するキャラも多くなるんでしょうねぇ。
ひとまず、兄の敵をうてた若君ですが彼が失ったものの仇はやはり高氏となるでしょう(直接鎌倉を落としたのはまた別の人物です)。
逃げてばかりの若君ですが、兄の仇という逃げてはダメなものからは決して逃げない姿が今回は描かれましたが、次はまた何から逃げて、何からは逃げないのか。
それを楽しみに、次回へと続きます。とりあえず若君は可愛い。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
途中は胸クソが悪くなりながらも、最後のやり取りでちょっとだけ何かを取り戻せる、けれどやはり別の現在はなかったのかと考えたくなる第二回が見たくなったならば↓コチラ↓から!
漫画の方でしっかりバッチリ確認したくなったならば↓こちら↓もどうぞ!第2話から3話にかけてのお話が今回の分になります!