【おすすめ少女漫画】転生悪女の黒歴史―いろんな意味で胸に刺さる!
少女漫画? いやいや、卒業したしさ。
少女漫画とか読まないよ。
という方にもおすすめしたいのが今回の作品『転生悪女の黒歴史』です! 絵柄は癖がありますが、結構コメディ色が強いので男性にもおすすめします。
作品に対してツッコミしながら読むのが好きという方には超おすすめ!
でも学生時代、中二病にかかっていた方は要注意の漫画!
いやそれどんな漫画なの? というと、こんな感じです。
【作品概要】1~9巻(22/12/20時点)
作品名:転生悪女の黒歴史
作者名:冬夏アキハル
出版社:白泉社(月刊LaLa)
物 語:自分が学生の頃に書いた物語(黒歴史)の中の悪女になってしまった主人公。自分の死の未来を変えるために奔走するが――?
転生、悪女って最近よく聞くキーワードだな
ですがこの物語のほかとは違う点は、黒歴史の部分ですね。
とても面白くておすすめなのでぜひこの機会に、この漫画について知っていていただき、一緒にこの物語を楽しめる同士になってもらえたら嬉しいです。
今回は『おすすめのポイント』と『気になる点』の2つに分けて書いております。
物語の根幹部分はネタバレしないように気を付けておりますが、内容に触れている部分もありますのでご了承ください。
【マンガ】転生悪女の黒歴史【感想】
佐藤コノハには「黒歴史」がある。
中学時代の全てを懸けて書いたそれは・・・伯爵令嬢コノハが騎士に愛される、恋と魔法の冒険ファンタジー!
ある日、「黒歴史」を母親に見つけられそうになったコノハは、焦って交通事故で本当に死んでしまう!!
次に目を醒ますと、そこは自分の創作した「黒歴史」の世界で、コノハの妹である、自分の考えた最強の悪女・イアナに転生していて?
黒歴史ってあれだろ?
恥ずかしい感じの――
goo辞書によると『俗に、人には言えない過去の恥ずかしい言動や前歴』とのことです。元ネタはガンダムらしいですが、今はそういう意味で使われていますよね。
このお話の『黒歴史』もそのような意味です。学生時代に自分の妄想を書き綴った物語のことを黒歴史としています。
それはたしかに……『黒歴史』だな
概要
あらすじだけで大体は分かると思いますが、主人公は現代から異世界へと転生(? 憑依?)した女性(佐藤コノハ→イアナ)。
読んだ人を殺すと言われている黒歴史でコノハを殺そうとしたイアナがその本の内容を見てしまい、現代でその物語を書いた佐藤コノハの記憶が蘇る、というものになります。
ちなみにイアナはけっこう幼いですね。
別の世界に転生し、悪女になる……もはや定番化してますが、そのどれらの物語とも違う点が一つ。
それは「その物語(せかい)が佐藤コノハにとって『黒歴史』である」ことです。
物語の主人公はコノハ。
この漫画の主人公は佐藤コノハ……そう。自分を主人公とした物語。しかも絶世の美少女でモテモテで、物語の中で聖女として成長していくという。
うおおっ、これは……イタイ!
そんな痛々しい佐藤コノハ(イアナ)を面白おかしく、時にはダメージを負いながら見守り、世界の住人として周囲の人たちと絆を結んでいく姿に感慨深いものを覚える、そんなお話です。
おすすめポイント
- とにかくイアナが可愛いしカッコいいし、面白い(!)
- 作中に登場してくる『佐藤コノハの黒歴史』が面白い
- ギャグマンガかと思いきや、しっかりとシリアスもある
たくさん語りたいところですが、とりあえず3つにまとめました。
可愛さと格好良さと、面白さを兼ね揃えたヒロイン
イアナは事あるごとに周囲から悪女だ悪女だと後ろ指を刺されます。何もしていなくても、むしろ良いことをしていてもそういう風に見られるし、不細工だと言われます。
一度ついた悪女というイメージが先行しすぎて皆の視野が狭くなっている感じはしますけどね。
正直、仮にも「伯爵の娘に対して使用人がそんなこと言ったら大変なことになる」と思いますが、そこはまあ一端置いておきます。
悪女だと言われ続けるのは、佐藤コノハの記憶を取り戻したのがマンガの始まりの時だからです。それまでは佐藤コノハの描いた悪女イアナだったので、周囲にそれはひどい態度を取っていたようです。
周囲からどれだけ嫌われようと、イアナは頑張ります。というのも、物語通りだとイアナは殺されてしまうからです。
殺されないように。物語通りにならないようにと一人で頑張っていく姿は、コメディを交えつつも、どこか格好いい。少女漫画の主人公だけど、血みどろになるのもいい。
血みどろって、少女漫画じゃたしかになさそうだが。
そして時折現れるかわいらしさ。
イアナのどこが不細工なんだよおおお、と叫びたい。いや、そういう世界だと分かってるんですけどね。この世界はひたすらにコノハのための世界。コノハの美しさ、可愛らしさを引き立てるために佐藤コノハが作った世界なので、イアナの姿は周囲からはそう見える。
また、イアナは意識して悪女になることがあるのですが、その演技がまた良い。色気すら感じる。幼馴染のヨミ※が惚れるのも分かる。
※イアナのことが好き。ヤンデレ設定。美男子。佐藤コノハがヤンデレにはまった時に作られたキャラ。魔法が使える。物語通りだと、イアナを亡くしたことでコノハを殺そうとして、逆に死ぬことになる。
可愛いし格好いいのに、作中にて多彩な顔芸や体芸(?)を披露する多彩っぷり。このギャップが良い。
あと現代の記憶があるせいで感覚が庶民的。私はそこもイアナを好きな理由です。共感しやすい感覚があります。
伯爵令嬢だけど、中身は一般人だもんな。
たしかに共感しやすいかもしれねえ。
作中に登場してくる『佐藤コノハの黒歴史』が面白い
なんといっても、ここは外せませんね!
たびたび出てくる佐藤コノハの黒歴史。これが笑えるんですよ。
佐藤コノハは学生時代、理想の結婚相手を妄想の中に生み出し、母親に恋人について言われたらそのキャラクターのことを話したり、魔法とかのことを真剣に考えたり、書いていた小説を学校で落として掲示板に張り出されたり(上手ですね、という感想付き)……私には当てはまらないことが多いですが、面白いです。
そう、この佐藤コノハの母親も結構な頻度で出てくるのですが、このやり取りも魅力的で必見です。
あと笑ったのはシュノウという警察? が出てくるお話で警察が着ている衣装が「妄想服構造不明問題」という表現で表されていて思わず吹き出して笑ってしまいました。シリアスな場面のはずなのに。
ハハハ!
たしかに、どうやって脱ぎ着するか分からない服ってあるよな。
ちなみにそのお話は3巻です。
格好いいイアナの姿も見れるのでおすすめです。
+編集者とのやり取り&おまけや佐藤コノハのイラスト
あと単行本だと編集者さんとのやり取りがマンガとして描かれていますが、これもまた面白い。
私は他の漫画だとそこらへん読み飛ばすことが多いのですが、この漫画に関してはそこまでしっかり読んでしまう。
編集さんたちとのバトル……その末に出来上がったのがこの漫画かと思うとなお楽しめます。
そういったおまけも含めて楽しいですね。佐藤コノハが妄想した時に描いたイラストとかもめちゃくちゃ笑えます。
ギャグマンガかと思いきや、しっかりとシリアスもある
私のお勧めは5巻。
なんといっても5巻はとっても切ないお話なんです。
ですが同時にイアナの強さを知ることができます。
5巻の表紙だけでも……ぐっと来ます。
それ以外にもちょくちょく入るシリアスシーン。
イアナがどれだけ体を張って周囲を守ろうとしても周囲からは悪女として見られ、正当に評価されないし、何か事件があれば一番に疑われる。
でもそれをしっかりと評価してくれる人たちが少しずつ増えていく。
よくある展開と言えばそうかもしれませんが、そうした過程を読んでいくと、「良かったなぁ、イアナ」と素直に思えて、気持ちが向上するのです。
ああ、わかるぜ。
苦労している姿見ている分、良いことあったら「良かったな」て思えるよな
イアナに幸せになって欲しいと願うのは、こうしたシリアスな流れがあるお陰。ぜひともイアナにはまっていただきたい。
私は完全にイアナ推しです。
気になる点
大好きなマンガゆえに批判めいたことは言いたくありませんが、気になる点があるのは事実なので素直に打ち明けます。
そりゃ、万人にとって優れた作品ってのはねーからなぁ
苦手な方もいるかも知れませんので、お伝えしておきます。
- 衣装の露出が激しい(特にコノハ)
- 貴族なのに気軽に護衛なしで出かけすぎ
- 世界設定がゆるい
衣装の露出が激しい(特にコノハ)
衣装は佐藤コノハの妄想の産物であり、可愛らしくはあるのですが露出が激しい。コノハが恥ずかしそうに「足の露出が」と言っている衣装は「いや胸の露出もすごいよ?」と思うデザイン。
特にコノハは胸が大きいので、余計「大丈夫?」と心配になる衣装が多いです。
た、たしかにすごい格好してるな
貴族のご令嬢が着る衣装でないのは間違いありません。
貴族なのに気軽に護衛なしで出かけすぎ
姉妹2人で町中に出かけて見たり、アルバイトしたりとこれまた貴族の令嬢が気軽すぎる行動をとっています。
現代人としての記憶があるイアナにとってはその方が過ごしやすいでしょうが、一般的な貴族の令嬢設定からは逸脱してます。
ただこれはこの世界の貴族の姿だと言われれば、反論はできません。
でもやはり、この世界における貴族の概念が少々行方不明。
世界設定がゆるい
上記2つに関係しますが、子供の頃から書き溜めていた世界ゆえなのか、その世界観はわりとめちゃくちゃです。
そういった設定が「しっかり」していないと違和感があって読み進められない、という方には残念ながら向いていないマンガです。
+α 戦闘シーンの絵がいまいち
あくまでも少女漫画ですからそこに力を入れる必要もないのでしょうが、戦闘(アクション)シーンの絵は微妙かなと思ってます。
元々線が荒く、キャラクターのポーズもちょっと、といった感じですが戦闘シーンになるとさらに違和感があります。巻を増すごとに段々と良くなっている感はありますけども。
なんていうと偉そうですけど、私は少女漫画より少年漫画派だから余計に気になるのだろうなと思います。
そりゃ、少年漫画とアクションシーン見比べたら、なぁ
ですが、少女漫画において大切な顔のアップは美しいです。
まとめ
転生悪女の黒歴史とは、佐藤コノハが現代で亡くなった後、自分が学生時代に書いた物語の中の悪女に生まれ変わり、死んでしまう悪女の未来を変えるために奔走する物語。
- とにかくイアナが良い……良い
- 時折『黒歴史』部分が胸に突き刺さる
- コメディとシリアスの境目が曖昧
イアナに惚れる漫画。やはりヒロインを好きになれないと読み進められませんね。
そしてただたんにコメディ要素満載ではなく、しっかりとシリアスな側面もある。でもこの物語はどこまでがコメディでどこからかシリアスなのかが、割と曖昧というのが特徴かなと思っています。
- 世界の設定作りが甘い
- 絵柄にクセがある――戦闘シーンの絵がいまいち
絵柄の好き嫌いや世界設定に関しては気になる点です。
ツッコミたいところがわりとたくさんありますが、そこも『学生が作った世界観』と考えれば痛々し……いえ、ホホエマシイですね。
イアナは悪女と設定されてしまったがゆえに登場人物たちから悪女としか見られない。それはもう頭の中でイメージされすぎたからそうとしか見えなくなっているのでしょう。
でもそんな中でめげずに頑張るイアナは可愛らしく、キャラクターたちへの愛情を原動力に行動する姿は格好良く、それでいて顔芸は作品内一達者で面白い。
もう私のところにお嫁においでよ。作品内の野郎どもにはもったいないよ。
黒歴史部分は、あまりにも佐藤コノハのがすごすぎて共感は基本できないのですが、それでも時折刺さることはあります。
お、俺っちはここまでイタクはな……いぞおおおっ
と、魅力がたくさんです。そんな魅力たっぷりの『転生悪女の黒歴史』、一度読んでみていただきたい(特に電子書籍がおまけが付いていておすすめ)。
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