【逃げ上手の若君】第九回『わたしの仏様』――奪われ奪って奪って奪われた先にあるもの【ネタバレ感想】
いよいよ始まった戦。吹雪の立てた作戦や罠は上手く機能しているものの、敵も吹雪の作戦を理解し、動じない。
幹部たちの強さは突飛していた。
しかし若君たちに戦力の余裕はない。敵の頭領と幹部は若君達子どもが請け負わなければならない。
大人と子供。されど逃げることは許されない戦い。
若君は郎党たちの手を借りず、一人で敵の頭領、瘴奸に立ち向かっていく。鎧をしっかりと身にまとった重装甲な瘴奸に、吹雪から伝授された技がが炸裂!?
どうなったんだっ? 技って結局どういうもの? 慈悲深くて残酷ってどういうことだという疑問点ばかりで終わった前回。今回は勿論その理由が明らかになり、「たしかにそうかも」と納得できるものでした。
たしかにこの技は一見慈悲深いように見えて、残酷です。
そして逃げる若君はやっぱりエロ可愛い。
そんな【逃げ上手の若君】第九回の感想、やっていきましょう!
慈悲深いように見えて、残酷な必殺技ってなんだ!? と気になった方は記事を読まれる前に↓コチラ↓からどうぞ。
前回のあらすじ
悪党蟻VS逃げ上手
時行は吹雪から、今回の大将戦に向けた技を教えてもらう。
戦は吹雪が考えた策通り、敵を罠にはめて少数で抑えつつ順調にいっていたが、征蟻党の瘴奸(しょうかん)と幹部は罠を意に介さない。
そこで瘴奸を小屋に閉じ込め、瘴奸は時行が、他の幹部は吹雪や狐次郎、亜矢子が相手をすることになった。
狭い空間での戦闘にも慣れた瘴奸だったが、時行は吹雪の教えを思い出し、静かに刃を振り下ろす。
小屋に瘴奸の血が飛び散った。
前話より
その一振りは仏のごとく。
今回のポイント
居場所はどこかと探り探り、堕ちていく。
- 子どもであろうと、武士の器の広さは理解できる
- 仏は縦横無尽に飛び回る
- 冷たき雪は、隠れた刃を凍らせる
- 神の目に涙
流れ落ちたのは血か。悪か。
その身に宿りしもの
今回は速攻でOPから始まります。前回はOP前結構長かったですが……考えるとこれが普通ですよね。
しかしこのOP何回聞いてもいいなぁ。
私は記事を書くために速度上げて聞いてますが、それでもなんか聞いちゃいますねぇ。
プランAだろ!
OPが終わると回想シーンから。吹雪が若君に真剣の本質について語っています。刀に映っている若君がどこか緊張していますね。
刀は押して叩き切るものではなく、包丁と同じで引いて切る、か……ここらへんは西洋との大きな違いだよな。
引きながら切る、というのはたしかに逃げ上手のうちの若君に最適っぽいですね。
若君は不安そうです。それもそうでしょう。この優しい切り方ではすぐに命を奪えません。あの尊氏が行ったような一刀両断、がまさしく命をすぐに奪う剣術でしょう。
しかし吹雪はそれでいいと言います。それこそが『逃げ上手の剣』なのだと。
仏に祈りを捧げるようなあの構え方。あれにも意味があり、左手は照準。その間に太刀筋が通る瞬間を待ち、上半身を左に回転させ、刀を振り下ろすのではなく重さに従わせて下ろし、右に退いて逃げる。ただそれだけで、蟻男(瘴奸)の右手首(内側。内小手)に傷が走ります。
前回はこのシーンで終わったわけですね。
瘴奸は慌てることはありませんでした。鎧の弱点である場所ですが、すぐに止血せずとも大丈夫な傷。若君を倒してから止血すれば問題ない、と。
たしかにこんなところ狙いにくいし、装備者の動きを阻害するから無防備なのか。
瘴奸が凄み、若君が怯えるような顔をするわけですが……。
若君の呼吸が乱れます。ぜぇはぁ、と荒い呼吸を繰り返す若君。さすがに怖くなったのでしょうか。
赤い……蟻? のようなものがぐるぐると渦巻くシーンと若君のおかしな様子が交互に映され、そしてついに若君が顔を上げました。
頬を興奮に染め、目をキラキラとさせて。
きゃあああああっさっすが若君ぃいいいいい!
この状態で笑えるってまじでおかしいよなぁ、時行って。逃げの変態だぜ
余裕綽々に凄んでいた瘴奸は、その若君の表情を見て、ぞくりとしたものを感じるのでした。
彼らは誰より知っている――主君の器のデカさを
亜矢子と狐次郎は薙刀使いに苦戦していました。
ただでさえ体格が違う上に、薙刀ですからね。間合いに入れません。力も段違いでふたりは吹き飛ばされてしまいます。
薙刀使い……残念ながら幹部なのにキャラが薄い、キャラ薄男は格好良く「10年後には一端の使い手になっていたのに残念だな」と台詞を決めます。うん。声は格好いい。
キャラ薄男は子供の頃にお頭である瘴奸に拾われ、奪う快楽というものを教えてもらったんだとか。だから奪う快楽を知らずに死ぬなんて可哀想になと、キャラ薄男は言うわけです。
主の諏訪頼重には出来ないだろう、と言ってくるのですが……残念ながら二人の主はもう頼重ではありません。
背筋を正し、乱れ大幅を直す亜矢子。瓦礫の下敷きになっていた狐次郎が、瓦礫を持ち上げながら立ち上がって、自分たちの主は頼重じゃないと言います。
キャラ薄男は誰にせよ無能だろうと鼻で笑いました。部下に快楽を教えることなく、小さな村のために無駄死にさせるというのだからとね。
おっ、亜矢子と狐次郎の目つきが変わったな!
いいねぇ、こういうの好きだぜ俺っち。
黙り込んだこの間がいいですね。音も消えてる感じ。
そこに響く狐次郎の声……うぅ、やはりこの狐次郎のいざという時の言動がすごく好きです。狐次郎は自分たちの主君は逃げ腰な世間知らずだと言いつつも、その口元はどこか嬉しそうに笑っています。
そして雫たんが、木の上から吹き矢をしながら「弱者を虐げて肥え太ったキャラ薄男たちよりも、武士としての器は大きい」と言ってのけます。
亜矢子がそこに突撃をかけます。とはいえやはり膂力の差もあってその懐に入れません……が、亜矢子は刀を投げ捨てるようにし、空いた手で薙刀を掴みます。刃ごと。そして全身を使って薙刀を封じました。
一方、瓦礫から気合で抜け出た狐次郎が「10年など言ってられない」と刀を手に男に迫ります。
頼重が見た未来では1年半後に大戦が待ち構えているのです。子どもでも大人に勝てないといけません。
身体を回転させて、身が軽いながらも威力を増したその刀が男を切り裂きます。
そんなもってここお!
ここの狐次郎がめちゃくちゃ格好いいんです! 狐次郎ーーー!
「地獄で鬼に触れ回れ。
我らが主君は北条時行。
鎌倉殿の正統の世継ぎであられるぞ」
男の首を切り落とすのは亜矢子なんですが、モーションも迫力がありますし、BGMも好き! このBGM好き!
いやぁ、本当に狐次郎はこの「武士の子」っぽさがあるのがいい!
分かるぜぇ。
時行には武士の子っぽさないもんなぁ。
そうなんですよねぇ。
若君にはそういうところなくて、それが魅力的なんですが、やはりこういう武士っぽい感じは格好いい!
笑う怪物
そんな武士っぽさのない主君の方はというと……蟻男が情けない顔をしていました。その刀を振るえど振るえど、何も切れません。いえ、小屋の中にあるモノは切れますが、若君を切ることは出来ません。
焦る蟻男に対し、ステップを踏みながら余裕で攻撃を回避している若君。刀は本当に持っているだけですが、なんとも若君らしいので良し。
部屋中に、男の血だけが飛び散ります。
うわぁ……すっごい猟奇殺人みたいな飛び散りようだなぁ。
あ、仏のようで残酷って、こういうことか!
すぐに殺されるよりも、出血量多いでしょうしね。
さすがにそろそろ止血しないとマズイと思う蟻男ですが、焦れば焦るほど、攻撃が当たるわけもなく……そしてここで、逆に鎧を着ているのが仇になるでしょうね。なにせ重たいのですから。余計に体力も奪われます。
とはいえ、鎧がなければそれはそれで防御力は絶対に落ちるので、どちらがいいかは人それぞれでしょうが。
血を止めようとする蟻男に飛びかかっていく若君。男はまた刀を振りますが当たらず、自分の血をばらまくだけ。
振り回す男の刀に映る若君の楽しそうなこと。
まるで足に翼が生えたように軽やかに動く若君は、飛び散る男の血すら避けます。そう。部屋中が血で汚れているというのに、若君だけはきれいな状態だったのです。
わざわざ血も避けるという縛りプレイ……上級者のなせる技!
うっとりしている若君。セリフはないし、肌色があるわけでもないのにエロい。
蟻男はようやく気づくのです。自分が相手にしているのが、怪物であることに。
瘴奸と時行の表情の差がえげつねぇぜ!
孔雀の羽がイメージされたであろう炎のようなものが若君を包みますが、これもまた美しくていいですねぇ。
本当の隠し上手
そして残り、キャラ濃すぎ男、フランス君? と吹雪。濃すぎ男の変化する太刀筋を受け流していく吹雪ですが、受けそこねて怪我をします。
そう深い傷じゃなさそうだが、やばそうかっ?
濃すぎ男の剣術が珍しい、と吹雪が言う間にじんわりと着物に広がる赤い血が痛々しい。
変わった剣術なのでどこで習ったのかと聞く吹雪に、濃すぎ男は「言う必要はない」とあのハイテンションから一点、冷静に答えました。いいねぇ、こういうギャップは敵でも味方でも、なんか心惹かれるものがあります。
男はわざと能力を隠しています。能力があると頭に知られたら、その能力を使い潰されるだけだから、とね。
だから道化を演じて良い汁だけをすする。研いだ爪を使うのは自分の能力に気づいたものか、頭を殺して党を乗っ取る時、とね。
んー……でも、あの瘴奸はなんだかんだで頭切れるし、気づいてそうな気はするぜ。
特に今のところそんな描写はないですが、気づいてそうですよねぇ。
濃すぎ男は隠すことが乱世の処世術、と言います。たしかにそれはそうだろうなと思いますね。特にこうして乱れた時代、下手に頭角を現すと芽は摘み取られるものです。
どこかの伯父の「裏切りが処世術」というのよりはよっぽど説得力がありますね。
吹雪は冷静に考えます。隠す、ということについて。
たしかに男の太刀筋は隠されている、ように見えました。しかし濃すぎ男はその剣術への理解度が低かったようで、手首の動きは隠れていても、振りかぶった時の肘の動きは隠せていませんでした。
隠しきれていないその剣術を見破った吹雪。刀を受け止め、男を蹴ります。二刀を操るだけでなく、体術もかなりの腕前のようです。吹雪としてはもっと大きな物を隠していたと思っていたので、男にがっかりしたようです。
途端に顔色が悪くなる濃すぎ男。吹雪はどれだけその身に引き出しを隠しているのか、と格の違いを悟ったようです。
余裕そうに袖を触ってる姿がこれまた格好いいぜ!
吹雪は、隠された価値を、宝石の原石を見つけるのが喜びなようです。
土地の戦略的価値もそうですし、子どもたちの価値。そして……若君の価値。
どうやら若君が大きな何かを隠していそうだとは気づいているものの、それがなにかまでは分かっていなさそうですね。
そして吹雪はやぶれかぶれで襲いかかってきた濃すぎ男を「もう結構です」と興味なさげに斬り伏せました。正面を向いたまま、背後で切るのがこれまた格好いい。
負けセリフもなく、あっけなく退場し、血のシャワーを吹き出している濃すぎ男の存在などもう忘れたかのように、吹雪は若君の方もそろそろだろうと思うのでした。
仏は笑うのみ
蟻男の焦った息遣い。刀が振り回される音。しかし何かを切り裂く音はなく、部屋を男の血液と汗が怪我していく。
兜はすでに脱げ、己の兜にも自身の血を振りかけながらも、男は逃げられない。逃げるためにも、目の前の怪物を倒す必要があり、背を向けてドアを破壊しようとすれば、それこそ隙だらけのその身は刻まれるでしょう。
鎧を着ていたって、隙間はある。ただでさえ出血しているところでさらに小さくとも傷ができたら、それこそ終わりだ。
目の前の子どもを切り刻まなくてはいけないわけですが、未だに血しぶき一つ浴びずに笑っている若君を今の男がなんとかできるかといえば、無理でしょうねぇ。
二人の戦いが他とは一線を画すのは、室内というのもありますか、セリフというセリフがないところですかね。若君はただ嬉しそうな息遣いをするのみで、蟻男はただ恐怖の情けない声を上げるのみ。
無邪気に笑う若君の姿だけを見ていれば、大人と鬼ごっこでもしているのかと微笑ましくなりますが、相手をしている大人は血を流し、周囲はその大人の血だらけ。なのに若君だけ血を被っていない、という異常な光景。
普段は子どもだなと思うんだが、こういうところ見ると頼重が時行を怪物と呼ぶ理由もわかるぜ。
瘴奸が胸の内で絶望します。彼にもう道はありません。重たい甲冑と刀を振り回し、血も大量に失って体力も気力も限界に来ている瘴奸に対し、体力こそ多少消耗しているでしょうが、ひたすらに楽しそうに笑っている若君。
もう、ろくにちゃんと刀も触れなくなってきた瘴奸は、自分の死を悟ります。出血多量で死ぬ、と。意識が遠のいていく中、昔を思い出す瘴奸。
そして昔を思い出します。彼はやはり武家の出だったようですが、土地が少ないため彼に分け与える土地がなく、兄の部下として過ごせと言われます。彼が刀や戦術を学んできたのは自分の土地を守るためでした。
自分の居場所を作るために誰かのものを奪おうとし、しかしそうしているとあちこちから追いやられる立場になります。当然ですが。
では戦に出て活躍しようとしてみたものの運悪く負け戦になったようでそれもかなわず。
現代の価値観で考えるべきじゃないだろうが、同情はしにくいよなぁ。
自分が堕ちたのだから、他も自分と同じように追い落とそうとするのは……残念ながら現代でもあるので、そういう意味では分かりやすい人物かもですね。
未来を奪われた自分のように、子どもたちの未来も奪ってそこに快楽を見出す……いつの時代もきっとそういう輩は消えないのでしょうね、人間の業。
奪うことが快楽になったとのことですが、結局……欲しかった居場所は奪うだけでは得られないことに、なんとなくでも気づいていたんじゃないですかね。奪った居場所は、結局誰かに奪われるもの。そんな絶望を誤魔化したくて、そこに快楽を見出した。
クスノキ殿、という人物が「逃げなさい」と瘴奸に言いました。――いつか光指すこともあるだろう、とね。
死んだような目をして「嘘を付くな」と言う瘴奸。光などあるわけ無いと……そう思いながらも彼は逃げ延びて、今まで生きてきたわけです。
ここらへんもこのアニメの得意ないろんな絵のタッチが組み合わさっていて、複雑な世界観を生み出してますねぇ!
同情はできないが、闇の中で、コイツなりにもがいていたのは、なんか伝わるな……本当に同情はできないが。
闇の中で、しかし蟻男は光を見ます。小さな火花のようだった光がやがて翼を広げた鳥になり。
その光の向こうには、笑う若君の姿がありました。
そして刀を落とした瘴奸は気づくのです。勝てるはずがなかったと。こんな状況でこんなにも無垢に笑える相手に、勝てるわけがなかったと。
若君のことを人ではなく、仏に見えたようです。いないと思っていた仏様が、外道の自分にまでも笑ってくれるなんて、と。
完全に倒れる瘴奸(しょうかん)。
意識が朦朧としている中での幻だったでしょうが……その目には初登場時からあった暗い輝きはなくなっていました。光に出会えた、ということで救われたのかもしれません。
救われるべきなのかはわかりませんがね。
立っているのは若君のみ。
ここでナレーションが入り、説明してくれます。
始まりは静かで、優しい慈悲深い刃ですが、終わる時には地獄絵図、とね。
うわまじで周囲血みどろでやべぇ光景だな。
しかも下手に長生きする分、痛みも死の恐怖も長く感じなければならない、という。……エグイ。
クイズ! 主君はどっち?
そんな若君のもとにやってくる郎党と吹雪。
若君を褒めますが、臆病剣すごい、という褒め方は褒めてないと思いますよ、亜矢子。
あとは大将の死を伝えれば残りの敵は逃げ出すだろう、と吹雪は言いますが……なんとここで貞宗が援軍に来たのでした。おちゃめなところもある目玉ですが、戦のことをよく知っている武人、さすがですね。
ここで子どもたちと貞宗がギャーギャーと騒ぐのですが、やり取りが面白いのでぜひ実際に↓コチラ↓で見てみてください。こういうところがあるから貞宗は敵なのに憎めない目玉なんですよね。
吹雪はさすが小笠原貞宗、と思いながら他の様子も伺いますがどこも手一杯。ここは南から逃げるしかないかと思っていた時に南からも多数の兵が。
敵かと思いきや、それは諏訪頼重が率いる諏訪の本陣でした。
そして別人のようにイケメン顔している頼重がいます!
貞宗はそれを見てあっさりと兵をひきますが、引き(逃げ)時を分かっているのは名将の証ですね。
こういう逃げ時を分かっていない敵だと簡単なんですけどねぇ。本当に、敵ながら優秀です。
そして逃げつつ、貞宗はとある小屋に気づきました。戦は外であったにも関わらず、部屋の中が血だらけになった奇妙な小屋に。
さすが目玉おやじ、気づくか。
そして頼重は冷静に指示を出していきます。貞宗を国境まで追い払うように。そして周辺の賊の掃討についても。
歴史上、とっても影が薄いと言われる頼重の子、時継が出てきます。記述がほとんどないらしいです。
逃げ上手の若君の中では存在感を発揮できるのか。そんなところにも注目したいところですね。
そんな注目の仕方はやめてやってくれよ!
若君が頼重と向き合います。頼重は周囲が慌ただしい中、若君に駆け寄ってその身を抱きしめました。無事で良かった、と。涙を流してます。
ここの、驚いてどうしたらいいのかわからない、という顔をしている若君と痛いくらいに抱きしめている頼重が、なんともいいですね。
今の頼重は未来が見えないのもあって余計に不安だったのでしょうが……どういう感情なのでしょうね。実の子は他にもいますし、そもそも主君ですし。
まぁ、名前のつけられない関係ってのいいんじゃねーか?
たしかに……それもいいですね。
一方、目を開けたのは蟻男もとい瘴奸。どうやらあの時貞宗が気づいて助けてもらったようです。あともう少しで出血多量で死ぬ、というところだったみたいですが。
ここの貞宗がね……目玉なのに格好いいんですよねぇ。
領民を虐殺などしてどうする、と叱る貞宗。彼は領主ですからね。民のいない土地では税収という旨味も増えませんし。
しかし貞宗は瘴奸を罰せず、戦略眼を買い、土地を与えるから今後は賊ではなく武士として仕えろ、と言うのです。
静かに頷く瘴奸の目からは賊が消えていました。声も表情も穏やかですね。
村では、功労者として若君が吹雪を頼重に紹介していました。報酬をと望む若君に、若君を守ってくれた相手だからと頼重はうんうん頷きます。
やった! いつものぎらついた笑顔の頼重だ! 安心する!
……イケメン好きの銀づちがイケメンじゃない時の頼重の方で安心するって相当だな。
郎党にしたい、という話ができた時に吹雪だけが困惑します。友人にはなりたくとも、郎党。主としてとなるとまた別。彼は天下をとるような人物に仕えたいわけで、まだ若君の正体を知らない吹雪からするとそういう反応になるでしょう。
しかし諏訪頼重が「主はこっち」と若君を指さしました。そこで若君はようやく本名を名乗るのです。
さすがの吹雪もそこまでの人物とは思っていなかったようで、食べていた握り飯を吹き出してしまいました。
これ、今までちゃんと気づいてませんでしたが白米ではないんですよね。白米は贅沢品ですし。
隠していた大きなものが、ここまで大きいとは思ってなかったみたいだなぁ。
背後で何故か自分のことのようにニヤついている頼重が平常運転で何よりです。
あ、やっぱりそっちに目が行くのか。
吹雪の心に炎が灯り、彼は膝をつくのでした。
ちなみに最後、雫たんに諏訪大社では粟じゃなくてお米食べられるよ、と聞いて吹雪はめちゃくちゃ喜んでました。
まとめ
はいっ、ということで逃若党にとって、初めてと言っていい戦争でしたが見事な勝利、と言っていいでしょうね。若君以外は負傷したものの、若君は血しぶきすら浴びずに、それでいて自分の力で倒したというのだからすごい。
なんていうか、改めて時行の変態っぷりと言うか、怪物っぷりが分かった話だな。
特に今まですごいとは思っていても、怪物という表現が若干ピンとこなかったりもしましたしね。
なにせ尊氏が分かりやすい怪物だったしなぁ。
若君の怪物っぷりはちょっとわかりにくいですもんね。吹雪が全部を見抜けなかったように。
今回はきれいに話の切れ間で終わったので、ここからどういう展開になるのか全く読めませんが……またあの瘴奸も出てきたりするんでしょうね。その時に彼がどうなっているのかも楽しみですし、頼重の子の時継が存在感を発揮できるかも楽しみですね。
だからそんな楽しみ方は止めてやってくれよ!
では、ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
まったなー!
若君がエロ可愛いだけじゃなく、本物の怪物だ、というのがよくよく分かるお話が直接見たくなった方は↓コチラ↓からどうぞ。