【婚約者は溺愛のふり】第9話―自分の無力を嘆くラチエル【ネタバレ感想】
LaLa2023年1月号、やってきました! 前回お休みだった『婚約者は溺愛のふり』の本編です!
間は『イヴァ特別編』がありましたし、アレも良かったですが……やはり本編が気になっていました。
そんな本編ではとある事件が……割とほのぼのしていたこの漫画にも、ちょっとピリついた空気がついにやってきたっ?
ファハドのライバルっぽいのが出てきてもどこかほのぼのしてたからなぁ。
そこがこの漫画の魅力でもありますけどね。でもファハドとラチエルの仲が進展するにはやはりなにか事件がほしいなとは思っていたところで、今回! 今回なんと……?
ラチエルとファハドに何が起きたのかを先に見たい方はコチラ!
ということで第9話の感想をやっていきましょう。
前回のあらすじ
ラチエルはイヴァ(侍女)との会話で、ファハドに「恋人がいない」というのは嘘ではないかと疑ってしまい、もやもやとします。
そんな鬱屈を解決するために買い物に出たラチエルですが、そこでカザンと遭遇。
カザンの患者の子どもたちのためのおもちゃ選びを一緒にすることに。
その後家まで送ってくれたカザンとファハドはやはり表向きは和やかでありながら、どこかバトっている雰囲気を醸し出す。
ということに気づいていないラチエルの背後から手を伸ばしたファハドは、彼女の髪にそっと口づけるのだった。
※ラチエルは気づいていない。
カザンとファハドのやり取りはもちろん、ラチエルに向けるカザンの視線、ファハドの口づけなど見どころが盛りだくさんの8話でした。
さあ、今回はどうなる?
今回のポイント
今回はカザンは出てきません。カザン推しの方は残念ですが、いうなれば新章の始まりのような雰囲気があります。
ただたんに2人だけの話にとどまらない……そんなお話でした。
- カラー表紙が美しい
- 舞台は町の外へ!広大な物語が動き出す予感
- 大歓迎してくれる民たち
- しかし物語は良くない方向へ……
続きはどうなるのおお、と叫びたくなるお話。
表紙はカラー! 盃を交わす2人
ちょっと表紙載せるか迷いましたが、美しいしファハドの色気がすごいのでやはり載せることにしました。
迷ったってなんでまた?
実は『婚約者は溺愛のふり』はキャラの露出度が高いせいか、なんか「エッッッな絵を載せているぞ!」ということでグーグルさんから警告来たことがあります。
……えっ?
警告来た時は意味がわからず、分かったあとは思わず笑ってしまいました。普通の少女漫画ですよーってね。TLとかではないですよーって。
ただまあ、やっぱりきれいな表紙なので皆さんにもこの感動をお伝えしたく、載せます。
こういう優しい色使い、いいですよね。ザ・少女漫画って感じです!
ファハドとお出かけ~気軽な旅行?
さて本編ですが、最初にも述べた通りいつもと雰囲気が異なります。
今回は父親が手をけがしてしまったために、その代わりにラチエルがとある取引先にイヴァと2人で向かう……予定が、心配だからとファハドとイーサン(ファハドの付き人)が護衛としてついてくることに。
ほほお?
今まではずっと町中の話だったが、ついに外に行くのか……なにか起きそうだな。
起きそうだなって、それだけでも思っちゃいますよね。
金山羊の薬と市井の薬
向かう先はとある特殊な山羊を育てている一族(モルドーの民)で、色んな場所でキャンプしながら移動している人たち。
そしてこのモルドーの民というのが特殊で、金山羊の薬を作っている一族なんだそうです。
金山羊の薬!
なんかすごそうだな。
実際希少でよく効く万能薬なため、金に近い取引値がつくことからそう呼ばれているんだとか……相当すごい薬ですね。
悪い輩に狙われないか心配です。
もうすでに有名なために、逆に手を出しにくいのはあるかもしれませんけども。
ラチエルはそんな一族へのお土産として、ファハドから薬を提供してもらおうとします。
薬を土産?
すごい薬を作っている人たちに?
そこ気になりますよね。
たしかに彼らはすごい一族で、すごい薬を作っているのですが……薬の価値が高すぎて、自分たちでは使えないんだそうです。全部売ってしまうから。
おおふっ、悲しいなぁ。
実際、ありえそうな話ですよね。
だから何かの助けになればと気軽に使える薬を持っていこうとラチエルは思ったわけです。
ファハド、同行を願い出る
ファハドもその話を聞いて納得し、薬を提供してくれることに……が、その見返りとして旅に同行させて欲しいと言ったわけですね。
「ラチエルの仕事ぶりを拝見したくて……(中略)もちろんだめなら断ってくれてかまいませんが」
お? うまいやり方だな。
ラチエルだったら無償提供を嫌うし。
そうですね。今までの言動から、ラチエルはただ頼るとか、そういうのを嫌がる傾向が見えます。できる限り等価交換を行おうとするので、旅についていくファハドのメリット=ラチエルの仕事を見たい、をしっかりと提示しつつも、ダメなら断っていいと逃げ道を用意している。
さすがデキる男。ラチエルの性格把握していますね。
モルドーの民たちからの祝福
と、旅立つことになった経緯を思い返していたラチエル。
ファハドは薬屋で元々研究者であったため、金山羊の薬に興味があるからだろうなと思いつつ
「もしかして本当に私に興味あって来てくれてたらどうしよう…」
とか考えてしまうあたりが可愛らしいですよね。
ラチエルたちを一番最初に出迎えてくれたのは族長の娘ナルル。2人はテンション高く、装飾品についての話で盛り上がります。
まるで女子高生みたいなノリで微笑ましいです。
ラチエルたちはナルルを始めとしたモルドーの民と良い関係を築いているらしく、大歓迎を受けます。
さらに護衛としてついてきたのがイケメン婚約者とあって、みんなが祝福してくれるのです。
この祝福のシーンは2人並んで歩きながら声に答えているのですが、ラチエルは焦っているといいますか。照れている感じですが、ファハドの穏やかな顔がまたいい感じ。
モルドーの民たちも優しくていい人で……親戚からは疎まれているラチエルですけど、こうして暖かな人たちに囲まれているんだなと分かるとホッとしますね。
ちゃんとラチエルのこと分かってくれる奴らがいるんだな!
ラチエルは騒がしくてすまないとファハドに謝りますが、彼は嬉しいと答えます。
なにせこんなにも祝福してもらえたのはラチエルの両親以来ですからね……ファハドの家族はこの婚約を良いと思っていませんしね。
珍しくイヴァに褒められるラチエル
そしてとある女性が薬草のブーケをラチエルに渡してくれます。
そのブーケをファハドに向けて「何の薬草か分かるか?」なんて言います。はたから見るとちょっとイチャイチャしているように見えますね。
おっ?
ラチエルが珍しくいい感じだな。
はは、そうですね。珍しく……イヴァも同じく『お嬢いいじゃん、その感覚忘れないで』と心のなかでぐっジョブしてました。
周りのモブたちも二人の姿にきゃっきゃと頬を染めて見守っています。
ラチエルの仕事と目的
さて、この後で族長がやってきて本格的に仕事のお話。
気になるワードは呪具、修理、彫金師の実父、でしょうか。
え、呪具?
呪いのたぐいが普通にある時代なのでしょうね。
私達からすると違和感ですが、服装や世界の雰囲気からすると当然かな、という感じもします。
今回の『仕事』というのがそれらの修理に関してのようです。
技術者は同行していませんが、ラチエルの亡くなった実父は彫金師であったため、彼女は技術的なことを知っているようです。
それらの会話を見ていたファハドたちでしたが、妙にラチエルが緊張していることに気づきます。
イヴァが「一人での取引は初めてだからかも」と首を傾げます。
とにもかくにも無事に話し合いは終わり……終わったかに見えました。
ラチエルの気持ちと手土産
背筋をぴんと伸ばしたラチエルが族長に差し出したのは、市井の薬でした。場の空気が変わります。
ふ、不穏な空気だな。
なんだって言うんだ、一体
族長は薬を持って帰るように言います。
なぜなら……モルドーの民が市井の薬を使うことは、金山羊の薬では治せないという証になってしまう。そうすると薬の価値が下がってしまうからです。
だからこそラチエルは信用できるファハドから内密に薬を手に入れたのです。
そもそも今回の旅、ラチエルの養父が手を怪我をしたということで中止になるはずでした。
そこをラチエルが手を上げて行くことになったのは、おそらく族長の反応を理解していたからでしょう。
関係がこじれてしまうかもしれない……それでも何かをしたかったラチエルにとって、今回『しか』薬を持ってくるチャンスはなかったんですね。
族長はどれだけ秘密にしたってどこからか秘密はもれる。だから薬を持って帰ってくれと言います。
自分たちには使えない金山羊の薬
でもナルルは……そんな族長に言葉を投げかけます。
弟のファズが死んでしまったときのことを……金山羊の薬を使うのを躊躇してしまったせいで死んでしまった家族のことを。
ラチエルはそのことを知っていたのです。
ナルルは薬を受け取ってくれと族長に言いますが族長は頑なで……ナルルは思ってもいないことを父親にぶつけてしまいます。
父親が苦しんでいることも、ちゃんと彼女は分かっていたのですが、口は止まらなかったんですね。
ラチエルは落ち込むナルルをただ抱きしめるのでした。
落ち込む婚約者を見て、ファハドは何を思うのか
イヴァがファハドに謝ります。
今回の旅は本当は中止になるはずだったのをラチエルがどうしてもと言ったのだと。養父を巻き込まないためだろう、と。
今回は泊まらずに帰り支度をしたほうがいいだろう、とそう告げるのでした。
ファハドはただ無言で……、薬を売って欲しいと言ってきた時の真剣なラチエルの表情や、薬草のブーケを照れくさそうに受け取った顔、真剣に取引に挑む姿を思い出すのでした。
で、9話は終わりでした。
ここで終わりかよおおん!
どうなるのか気になるぜ……。
いやほんと気になりますね。
どう解決するのかもそうですし、単純にファハドが解決したとしても、ラチエルはそのことを借りだと考えてしまいそうですから、ラチエルとの関係性の変化も気になります。
あまりにもファハドからの恩義を強く感じてしまった場合、ラチエルのファハドへの感情がますます恋愛から遠ざかりそうですしね。
たしかに……ラチエルならありえそうだぜ
ファハドの感情がまだよく理解できませんが、それでもラチエルを大事に思っているのは間違いなさそうなので、何か動いてくれるとは思いますし、きっとそれは無理やりなやり方ではない……と信じています。
薬屋ならではの方法で……たとえば一緒に新しい薬を研究する一貫でうんぬん、なら……うぅん。
来月まで待ち遠しいですねぇ。
まとめ
父親の代わりとして訪れたモルドーの民(特別な薬を作る一族)との取引。 婚約したこともみんなから大歓迎を受けて、良い雰囲気。 と、順調そうに見えたものの、ラチエルの心からの手土産をきっかけに雲行きが怪しくなった。 金山羊の薬。 金にも等しいと言われる価値のある薬だが、価値が高すぎるがゆえに作っているモルドーの民たちは使うことができず……大切な人を失ってしまった。
だがかといって市井の薬を使えば、金山羊の薬よりもそちらの薬のほうが効果が高いと思われて、金山羊の薬の価値が下がってしまうかもしれない。
彼らは病気になったとしても、市井の薬も使えない。
そう苦しむ彼らにナニカしたいとラチエルは考えて、土産に持ってきた。
しかし受け取ることを断られてしまい、族長親子の雰囲気も悪くさせてしまった。
悲しむラチエルを見つめるファハドは何を思うのか――?
ということで、次回が待ち遠しいお話でしたね。
どういう解決になるんだろうなぁ
ほんと気になりますね。単純に力技での解決、とはならないと予想していますが、かといって具体的なのは思いつきませんし……。
とにかく、ここまでお付き合いいただき、ありがとう御座いました!
落ちこむラチエルとそんな彼女を見つめるファハドが見れるのはコチラ!