【LaLa読切】海の向こうのトワエモア【ネタバレ感想】

今回の8月号に載っていた受賞作品(読切)が良いなぁと思ったのでご紹介!
海の向こうのトワエモア!(ふじもとまめ先生著)
トワ・エ・モアはフランス語であなたと私、を意味するそうですが……お話の内容がまさしくそんな感じで……私は読んだ後にタイトルを調べたんですけど「おお、なるほど」と納得しました。
続きとなるとどうなるかは不安ではあるのですが、この子達の今後とか他の子達のこことかも知りたいなぁというお話でした。
今回のお話は「長女」とか「長男」とか……「良い子」でいるように周囲から求められている人にとってはとても刺さるんじゃないかと思います。多分そういう方は「あー、あるある」と思うに違いない。
そんな『海の向こうのトワエモア』が早速気になった方は↓LaLa8月号(25年)↓を御覧ください!
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ふじもとまめ先生が描かれている他の漫画は↓コチラ↓も!
今回のポイント
東京から離島へ。
- 面倒……迷惑かけないように
- 気づいてくれた人
- それだけで十分
思う存分に原作漫画を読みたい方は↓コチラ↓もオススメです!

迷惑な存在
東京から、本土か離れた島にやってきた小鳥青(ことり あお)。
場面は転校生紹介からです。黒板に名前が描かれてあって、若い男性教師が紹介してくれてます。

ちょっとわかりにくいのが、特にセリフで青、という名前を紹介されておらず黒板に書かれているだけなのに、次のページのコマにいきなり「青姉」というのが出てきて「青姉って誰かな」と思ってしまいました。

たしかに他にも生徒がいるっぽくも感じるな……若干混乱するか。
自己紹介として当人にフルネームで語ってほしかった所……と、素人がなんか言っております(笑)。
そしていきなり両親の離婚でここにくることになった、と少し重たい事情が説明されます。
離島ということで教室にいる人数は少なく、しかも学年もバラバラで主人公の小鳥と同じ学年はもう一人だけみたいですね。

見える範囲だと小鳥合わせて6人だな。

その分仲が良くて2年生たちは先輩ではなく「名前+兄」や「名前+姉」と呼ばれたりしてるみたいですね。
先輩後輩システムより素敵な気がする。
ただ、小鳥はとても驚いて戸惑っています。……まぁ、私が彼女の立場でも慣れないでしょうね。授業はどうしているのかと思いきや、手作りドリル渡されて自習だそうです。
私は知らないんですが……実際そういう感じなんでしょうか? でも学校にいる先生の数考えるとそうでもしないと回らないですよね。それでわからない所は質問して教えてもらうとか。
正直、本土よりしっかりと教育してくれそうです。
しかも数式の授業やっているのに「分からなかったら辞書引けよ」と国語辞典を出してくる先生。適当にもほどがありますので……さすがにこれは誇張してるでしょうね。
体育で虫捕りに行くし、なんなんだここはと小鳥はひたすら心の中でツッコミいれてます。そしてあまりの考えの違いにここでやっていけるのか不安になってますね。

いやこれは……しょうがないだろうな。ただでさえ両親の離婚でまいってるだろうに、ここまで環境が違うとな。

虫取りなんて初めてって言ってますし、今どきの……それも女の子になるとあまり虫取りなんてしないでしょうね。
ちなみに私はしたことあります。小学生の頃ですが、プライベートではなくて学校の課外授業的なもので虫取りがありました(笑)。
昔は触れたんですけどね……今は虫全般無理です。蝶も無理。
ただそばにいる
小鳥は少しつかれたのか。みんなから離れて森? の中を歩きます。そして視界に海が……本土っぽい影が見えた気がして……ここに来る前の母との会話を思い出すのです。
離婚した後、父親は速攻で家を出ていったそうで……そして母も娘の世話をすることを「面倒をみる余裕がない」と言い捨てます。

うわぁ……青、これはつれぇな。

それで祖母のところに来たわけですが、もう少し言い方がありますよね……でもゆくゆくはこの母親のところで過ごさなくてよかったと思うかもしれませんねぇ。
いわゆる毒親にしか思えないので……けど、それは赤の他人だから言えることで、当人にとっては……高校二年生なら向こうに友達もいたでしょうしねぇ。
ともかく、そうして「迷惑かけるな」と言われてこの島にやってきた小鳥は文句を言いたくても言えないんですね。
ツッコミが全部心の中だったのも、そういうことかもしれませんねぇ。
そんな彼女のもとにやってきてくれたのは同じ学年の碧兄さん(みどりにいさん)と呼ばれていた男子生徒。
なんの用だろうかと後ずさる小鳥に対し、気にせず「虫見つかったか」とか「一緒に探そう」とか「ここらへん危ない(マムシの巣がある)」とか声をかけてくれます。

マムシがいるのはまじでやばい。
ついでに、と手を引っ張って島の案内もしてくれる碧。
やや強制的に案内してくれますが……小鳥は「もういいって」と強く手を払ってしまいます。しかしそれは自分に時間を割いてもらうわけにはいかない=迷惑かけてはいけないという気遣いですね。
碧はそれに対して……「アケビいらないの?」と気づいているのかいないのか。気遣いなのかは何度読み返しても分かりませんでしたが、小鳥の様子に気づいて追いかけてきてくれたのを見るに天然っぽそうに見えてこの子も気遣いできるタイプっぽいんですけどね。
小鳥が来てくれたことでみんなでできる遊びが増えた、ありがとうと言う彼に返事をしつつももやっとする小鳥。
アケビを食べつつちらっと碧を見て、なんとなく彼が寝不足っぽく思えて大丈夫かと聞く小鳥。
実際最近牛の散歩で寝不足だったそうです。しかし彼は昔から表情が読み取りにくいと言われていたのでどうして小鳥が気づいたのかと不思議そうで……そして同時に気づかれたことが恥ずかしいみたいです。

あー、あるある。気づかれてないと思ったら気づかれてて恥ずかしいの。

青は空気読むのがうまいからこそなんとなく気づいたんだろうなぁ。
恥ずかしがってしまった碧に余計なことをしてしまったかと慌てる小鳥。良かったら休むかと聞いて……碧は本当にそのまま寝てしまいます。
この時に「同じ年はいい」「今はお兄ちゃんじゃなくて良い」とぼやいてるのが……あー、うん。とこの子の感覚に覚えがあって共感できたんですよね、私は。
小鳥に甘えるようにもたれかかって寝てしまう碧。小鳥は戸惑ったものの受け入れて……そしてその時蝶が目の前をよぎります。つい手を伸ばしてしまう小鳥。ですが視界の先に本土が映って、手を伸ばすのを止め、ぎゅっと手を握りしめます。

青……。

個人的にはこの蝶へ手を伸ばして見える海と本土のコマの景色が美しくて好きです。切なさも感じると言いますか……。
みんなの所に戻る小鳥。碧が起きなかったため寝たまま引きずるように連れて行ったわけですが、碧が気を抜いて寝るなど珍しいそうです。ぼーっとしているように見えて年長者ということでしっかりとみんなの面倒を見ていたみたいですね。
碧兄が居眠り!? と、みんな驚いてます。
そして担任の先生が小鳥にお礼を言いながら碧を受け取ります。お礼言われるようなこと花にもしてないという小鳥に先生は「(隣にいただけで)十分だ」というのでした。
これだけで良い
島ではちょうどお祭りがあるようで、みんなで行くことになります。
小鳥は祖母が用意してくれた浴衣を着ており、それを見た碧が顔を隠します。またバレるかと思ってという彼に小鳥は首を傾げますが、読者には分かりました。

似合ってるねとか可愛いとかそういう系だろー! おばちゃんにはお見通しやで!

お前さんじゃなくても気づくっての!
お祭りは結構ちゃんとしたおまつりで賑やかです。楽しく過ごす小鳥。楽しい、楽しいのにどこか違和感を覚えているような雰囲気。
そうして皆と分かれるんですが、どうやら慣れない履物で足が痛かったようです。これもあるあるですよね。普段浴衣も草履も履きませんし。
ズキズキと痛む足。かがんで見えた海の向こうの本土。
ここでまた両親の会話のシーンが出てくるんですが……彼女の心の声である『2人にとって私は「迷惑な存在」だった』というのが心をえぐります。
だからこそ小鳥は人の顔色をうかがうことばかりしてきたのだと……。
顔色をうかがうこと自体は悪いことじゃないとは思いますけどね。円満なコミュケーション能力は大事です。……ただいきすぎちゃうと息苦しくなっちゃうんですが、小鳥の場合はまさしくそれな感じですね。
仮面の理由
足が痛くて立てなくなった小鳥の顔を覗き込む碧。どうやら様子がおかしい思って見に来てくれたようです。
そして足をけがしているのを見て抱えて帰ってくれようとしてます。が、大丈夫だとまた断ってしまう上に、言わなかった理由もだんまりする小鳥。しかし言わないとまた運ぶと言われて「迷惑かけたくなかった」「迷惑かけたら居場所がなくなる」と心の内側を吐露します。

うぅ、顔……。
つらいよなぁと思っていたら碧が聞くんです。今日、小鳥が肩を貸してくれた時とても安心したけど小鳥は迷惑だったか? と。
そこで本当は足が痛いことや、今まで心の中でいれていたツッコミも口にします。本土とあまりにも違うこと……だけどここにいたいと思っていることも。

で、ここの碧のひょうじょうがいいんですよ!
今まではなんとも言い難い読みにくい表情だったのに、ここは明らかな笑顔なんですよね!
碧のいい感じの笑顔を直接見たくなった方は↓コチラ↓で!笑顔すぎない笑顔な感じが良い!
で、最後に……。

最後の終わり方もなんとも良いんですよねぇ。
ここで終わってももちろん良いんですけど、二人のこれからを見守りたくなるような。

そうだなぁ。オレっちとしても、青には幸せになってほしいからちょっと先が知りたいぜ……。
定番の終わり方と言えばそうなんですが、でもだからこそいいという結末は本誌でどうぞ!
まとめ
ということで長女長男や周囲に迷惑かけてはいけないという思想が強い方はよく分かるお話じゃないでしょうか。
あとこまめに映る海と本土がなんとも切ない感じがして、個人的にはこの海が映るコマがとても印象的で好きです。

ここだけでもカラーで見たいですねぇ。
何かとても大きな事件が話の中で起きるわけではない……いえ、主人公にとっては両親の離婚や転校、それもまるで環境が異なる離島という大きな事件はあるんですけどね。
あと、離島でのお話ということで本土とは少し異なる環境という異質さの中で起こる物語に……私は惹き込まれてしまいました。
気になった方はぜひともLaLa8月号(25年)を御覧ください!

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!

まったなー!
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